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家族が大事

そろそろめぼしい新作にはあらかた
手をつけてしまったので、見逃していた
過去の注目作にも…ということで今回
鑑賞したのが「家族の庭」でございます。

お互い定年に近い年齢でなお仲睦まじく暮らす、
心理カウンセラーのジェリーと地質学者の
トムを通じて1年の出来事を描いた本作品。

一番最初にスクリーンに映し出される「不眠症に
悩まされる名無しの女性」が主人公なのかと
思いきや、その最中で脇役のように登場する
心理カウンセラーの老女が実は主役という
アプローチに戸惑えば、夫婦揃って農作業をし、
仲良さそうに台所で飯を食う等、至って地味な
日常の風景が淡々と映し出され、一体どういう
風に話が転がっていくのか全く見えず、
こう言っては何ですが初見殺しすぎて
寝る人も出るんじゃないかというハードルの
高さが、惜しくもアカデミーを逃してしまった
要因なのではないかと思えてしまいます。
しかしこの地味な、ドラマ性の低い当たり前の
日常がキャラクターにリアリティと輪郭を与え、
後の展開と感情移入に影響してくるのも確か。

そして本作は極々普通の、どこにでもいる人々を
並べつつ、明確に、そして残酷なまでに浮き彫りに
していくのは「幸せな人」と「そうでない人」。

「トムとジェリー」という名前をまるで皮肉った
ように、仕事に家事に勤しみ日々を謳歌する
夫婦は、三十路で独身だった一人息子にも
ようやく春の兆しが見え、何もかもが順風満潮。
そうかと思えば、長年の友人のケンは年齢の
衰えと共に、友人の死を省みて深く落ち込み、
トムの兄であるロニーもまた、突然の妻の死や
息子との不和に心ここにあらずといった様子。
日常におけるほんの些細なボタンのかけ違いが、
歳を経る毎に重くのしかかり、人間を二種に
分断するのだと、だからこそ日々の心がけが
大事なのだと本作に説かれている気がしますが、
同時に「わかってる、人間の人生ってそんなに
単純じゃないもんね」とも言われている
ような気もするのが本当に意地悪で!

それらを象徴する最たる人物が、話の進行と
共に影の主人公として印象を強めていく、
ジェリーの同僚・メアリーでして、あけすけで、
横柄で、自分本位で、好き嫌いも思い込みも激しい
彼女の本性が徐々に暴かれていくうちに、
幸せな夫婦と寂しい一人の女性、どちらに
感情移入していくかと問われれば言うまでも
ないし、そうなった時、観客もまた「自分は
どちら側の人間なのか」を思い知らされるのです。

そういう意味では最後までもの凄く残酷な話で、
先日レビューした「最強のふたり」とは全く
対照的な、「憐れみと同情の中で生かされている」
とても救われない結末が待ち受けています。
地味だからこそ身につまされる、「日常に潜む
絶望」をここまで描ききった手腕に脱帽。

最も、いたずらに悲観的になることが決して
作品の本位ではないことも明らかでしょうし、
メアリーという反面教師な存在から、我々は
「人の好意は無駄にしない」、「けれども
依存し過ぎてもいけない」という中道を行く
教えを受け取ることこそ命題なのでしょう。
まあそんなに簡単に行ったら世話ないわな!
大道廃れて仁義あり、いつの世も当たり前の
ことを当たり前にこなすのは難しい。

幸せな夫妻とそうでない人々を描き、
一抹の毒っ気を含む話ということで、
ストーリーは全然違うのに鑑賞中はずっと
「ファーゴ」に似た感触を覚えていました。
何にしてもほんっっっとに地味な作品なんで、
観る人選ぶ内容ではありますが、個人的には
こういうお話大好きだ!
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まとめ【家族が大事】

そろそろめぼしい新作にはあらかた手をつけてしまったので、見逃していた過去の注目作にも…ということで

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プロフィール

マイケル・チバ

Author:マイケル・チバ
シルバーレイン
マイケル・チバ(b30277)
薬師寺・米(b41960)
を経て、
現在はエンドブレイカー!
マーヴィン・ジェント(c06527)
にて稼動中。

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