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静かに…許すよ…

今回はアカデミー脚色賞を受賞した作品
「ファミリー・ツリー」を鑑賞しました!

ハワイで弁護士を務める男・マットは、
法律の変化により、一族が受け継いできた広大な
島を拘束期間内に売却しなければならない
という大きなビジネスに携わっていた矢先、
絶縁に近い距離を置いていた妻が突然の
モーターボート事故により昏睡に陥ってしまう。
彼は混乱と失意のまま、7年も会っていなかった
二人の娘とよりを戻すべく自宅に呼び寄せると、
姉・アレックスから妻についてとある重大な
秘密を打ち明けられる…というのがあらすじ。

「スーパーチューズデイ」同様に、注目作での
活躍が目覚ましいジョージ・クルーニー主演の
本作品は、突然の事故を迎えた家族がその
悲劇を乗り越え、再起する様を描いたドラマ。

「WIN WIN」から若干遅れる形で世に出された
本作もまた不思議なことに「ダメ親父奮闘記」とも
言える様相を示しており、「優男のタフガイ」から
「カッコつけでその実ダメ男」に近年シフトしつつ
あるジョージ・クルーニーの演技が実にマッチ。
「怒りに任せてサンダル一丁でダバダバ走る」
なんて姿がここまで似合うとは思ってなかったし、
作品を象徴したいいキャラに仕上がっています。

さて、「WIN WIN」と共通点が多い本作、
「家族のためによかれと思って働いてきた
弁護士」が主人公なところまで同じなのですが、
砂の城を守るために嘘を積み重ねる「WIN WIN」の
主人公・マイクに対し、本作の主人公・マットは、
牙城の一つが欠けたことによって、自分の家庭が
予想を遥かに超えて穴だらけだったことを知らされ
愕然とさせられるという展開であり、そこから
語られる再起の道は当然平坦なものではありません。

キーマンとなる二人の娘については「十代の
目線」がよく描けており、「環境に虐げられる
ばかりではけ口を知らない妹」、「母親への愛と
現実のギャップに悩む姉」という感情や立場を
明確にし、彼女たち自身が正しく立ち直らなければ
ならない存在であると示しつつも、「両親のことを
よく知っているからこそ精神的に遥かに大人な
ことが言える」というキャラ作りに好印象。
まあ、それはそれとして、本作で注目を浴びる
ことになった姉役のシェイリーン・ウッドリーが
歳相応の見た目と振る舞いをしている分、無駄に
リアリティを帯びたエロさをかもし出しててヤバい。

で、そういったシビアな家庭環境を描く中にあって、
姉のガールフレンドという、殆ど他人に近い立場の
ちょっとおバカな青年・シドが癒し的存在で、
ヘラヘラ笑って軽口を叩きブチのめされつつも、
姉妹のお兄さんのように面倒見がよく、お約束では
ありますが「実は彼も家庭に問題があった」という
アピールまでかましてくれて、「なんだかんだで
いつも側にいてくれる」頼れないけどありがたい
存在として好感度が上昇していくこと請け合い。

「大道廃れて仁義あり」という言葉が示す通り、
今の世の中は「父親」として、「母親」として、
いっぱしの「大人」として振舞うこと自体が
難しいと思われる様相を示しており、しかし
同時に隣人を見渡せば誰もが善き人であろうと
努力している者が大半で、とりわけ悪人だと
あげつらうほどの人間はそういないわけです。
「アメリカの良心」とも揶揄される、昨今の
等身大の群像劇で「奇跡なんかない」「それでも
我々はなんとかやっていくしかないんだ」という
メッセージを見るにつけ、かえってなんだか
楽観的に、「なんとかなるんじゃないか」という
気分にさせられるのだから不思議なものです。

「カンパニー・メン」や「WIN WIN」の系譜にある、
現代におけるヒト・モノ・カネ、転じて「幸せ」の
価値を改めて見直すという意味でも、本作は
晴れやかな気分にさせてくれる良作です。オススメ!
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プロフィール

マイケル・チバ

Author:マイケル・チバ
シルバーレイン
マイケル・チバ(b30277)
薬師寺・米(b41960)
を経て、
現在はエンドブレイカー!
マーヴィン・ジェント(c06527)
にて稼動中。

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