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私たちチームでしょ!?

ゲーム繋がり…というわけではないのだけれど、
同じタイミングでDISCASからレンタル発送されてきた
「ハンガー・ゲーム2」を鑑賞しましたので、本日は
この作品のレビューを行いたいと思います!

貧困地区と富裕地区に隔離された未来の世界で、
政府がガス抜きのために提供する、殺戮のサバイバル・
ショー「ハンガー・ゲーム」第74回の出場者・カットニスは、
もう一名の出場者・ピータと恋愛を「演じる」ことで史上初の
二人同時勝ち抜きを果たしたが、彼女のカリスマ性は
彼女の望まぬ形で貧困層希望のシンボルとして祭り
上げられ、各地で反乱が頻発するようになってしまった。
この傾向をよしとしないスノー大統領はカットニスを
巧妙に抹殺するべく、第75回ハンガー・ゲームの
出場条件を「歴代優勝者」に定め、彼女とピータを再び
かつての戦場へと戻すのだった…というあらすじ。

「バトルロワイヤル」かはたまた「バトルランナー」か、
ていうか源流は「デスレース2000」なんだけど、ってな
感じの青少年同士のハチャメチャ殺人サバイバルゲームを
描いて、海外の頭の出来がよろしくないティーンエイジの
人気をかっさらったという「ハンガーゲーム」の続編である
本作品は、ふんぞり返りすぎてもはや半分ヤケクソ起こした
ようにすら見える状態の政府の画策によって、またまた戦場に
戻されてしまったカットニスの数奇な運命を映していきます。

前回はとにかく状況に押し流されるようにしてただただ
被害者でしかなかったカットニスと、その最中に「はい
死んだー!」って感じでついでみたいに参加者がどんどん
殺されていく演出のせいか、一体誰にどういう形で感情
移入していいのかわからないまま口を半開きにして
スクリーンを眺めるしかなかったわけですが、続編である
今回はカットニスとピータ、それにウディ・ハレルソン演じる
アドバイザーのヘイミッチにも前作の描写のおかげでキャラに
はっきりとした輪郭がつき、それぞれの立ち位置が明確に
なっていくと同時に、被害者であったカットニスが単なる
勝利者のみならず、復讐者や反抗者としての複雑な側面を
本作で更に加味して魅力を増幅しているのは大きいです。

前作の「これあかん奴や!」っていうハンガーゲームの
クソゲーっぷりは本作でも健在、でもこれが伏線という要素に
ちゃんと生かされているのも進歩で、貧困層のみならず
富裕層もこの理不尽な残酷ゲームにはいい加減飽きの色を
見せているという描写は、スクリーンのこちら側にいる観客も
納得と共に安心して物語の行く末を見守れるというもの。

陰謀渦巻くゲーム会場で、百戦錬磨のプロを相手に
時には手を組み、時には血で血を洗うという展開を踏まえ、
誰が敵で味方かわからないキャラ付けも上手いし、加えて
周囲の人々が「カットニスの可能性に惹かれていく」という演出に
より、彼女とその環境が相乗効果で魅力倍増していくため、
ほんと前作に比べると信じられないくらい今回は面白い…
あ、あと、カットニスとピータのイチャイチャするシーンが実況に
映る度に「くぅっ!」って顔する故郷のボーイフレンド・ゲイルが
前作で一番面白いポイントだったんですが、本作でもある意味
それは健在で、カットニスが煮え切らない態度で二人の男に
依存し、実質二股かけてるような状態なんで、男の方は
それぞれ常にNTRされてる気分を味わわされてるのが面白い。
いや、ダメなんだけどな、このビッチ!

ただ、やっぱり前作でやらかした続編っていう位置の時点で、
前作で脱落した人はそりゃもうしょうがないよねってなるし、
トリロジー構成のおかげで本作もものっそい中途半端な
ところで切れるしで、「前回からここまでよく持ち直したな」
という評価にはなるけど、ようやくゼロに戻って来ただけで
次で更にどこまでプラスにできるのか?という話でもあります。
まあ、でも、これは素直に次回作にも期待したい展開。

「ナチュラル・ボーン・キラー」なウディのキチガイ大暴れが
次回でようやく観られるのか!?というのはあるんですが、
本作を撮り上げた後にオーバードーズで鬼籍に入ってしまい、
実質これが遺作となってしまったフィリップ・シーモア・ホフマンの
存在が惜しまれます、やっぱさらっと死んだことにされるのかしら。
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永遠に隠れてはいられない

新作レンタル「エンダーのゲーム」を鑑賞
しましたので本日はこの作品のレビューをば!

外宇宙からの侵略者「フォーミック」を退けてからの
五十年間、人類は敵の殲滅を念頭に置き、子どもたちに
ゲームをさせることで艦隊司令官の育成に励んでいた。
中でもとりわけ高い成績を誇る生徒・エンダーは、
しかし高い暴力性と同時に傷つきやすい繊細さも
持ちあわせており、部下を従える身分には不相応と
思われていたが、新兵教育官のハイラム大佐だけは
彼の底に光る素質を見出していた…というあらすじ。

同名小説を原作にしたというSF映画の本作は、
「エイリアン侵略モノ」や「ゲームによってパイロットを
育成する」といった、今の創作界隈となっては今更
珍しくもなんともない要素で構成されており、昆虫の
ような異星人と戦うため訓練訓練日々訓練!更に
まだ訓練訓練訓練!という展開もまた「スターシップ・
トゥルーパーズ」をそのままなぞっているようであります。

対戦ゲームのハイスコア保持者が現実でもより高い地位に
つける…なんていう設定も少年マンガではあるある展開
すぎるのですが、「誰もが高い能力と一芸に秀でているが
協調性に欠ける変人集団」を主人公が束ねるなんて
ベタベタのお約束もかましてくれるのは素直に面白い。

で、「エンダーのゲーム」の正体が展開と共に観客にも
ある程度想像のつく物で留まっているなら、その後に
エンダーの取った行動もまたやっぱり予想し得るオチの
範疇を越えてはいないと思うんですが、けれどもこの
落とし方があるからこそ、本作が凡庸なスペオペの一つ
として埋没せず、一定の評価を得ているのだと思います。

近年では名作「ゼロ・グラビティ」、或いは日本のアニメでも
「ガンダムUC」が存在したように、人類が容易に宇宙へ
飛び出せる世界があと一歩として迫っている、科学万能の
時代という輪郭が強まっている今だからこそ、より他者との
「対話」と、そこから繋がる「絆」というテーマに重きを
置いた作品がかえって増えているように感じられます。

「他者」というのは遠い宇宙の異星人でも、家一軒隔てた
隣人でも相違はなくて、かつては征服こそが人類の
歴史だと、相手を打ち負かすことに全力を尽くしていたのが、
例えそうすることに疲弊してしまったのが原因だとしても、
歩み寄ることが重要だと大きな視野で物を見て、それこそが
人類が宇宙へ上がると同時に進むべき、新たな精神的
ステージだと説くのはとても大切なことだと思います。
そりゃまあ、このテーマだって別に「E.T.」とか古典的名作で
十分汲み取れることだし、「インデペンデンスデイ」みたいに
「ヒャッハー!エイリアンは皆殺しだー!」って娯楽大作は
それはそれで大好きだしなくなって欲しくはないけどね?

あと個人的に評価したい、もしくは世間一般における評価にも
なってるかもしれない要素には「過剰にラブシーンを盛らない」、
転じて話が全体的に「童貞臭い」っていうのがあって、
最近で思い出すのは「パシフィック・リム」とか「クロニクル」とか
オタクが真に喜ぶ傾向を映画界全体が掴み始め、また
そうした作品が続いているのは喜ばしいことだと思います。
「童貞臭い」っていう意味では意味も脈絡もなく突然現れる
おっぱいシーンとかもおじさんは全然否定しないけどね!?

作品の全てにおいてある程度は予想がつくので、奇想天外には
遠く名作とも言い難い作品ではありますが、逆に全てにおいて
そつがなく手堅い作りになっていて、期待した分の額面は
裏切らない佳作に仕上がっており、今の世界情勢を照らし
合わせても、観ておきたいタイミングにある映画かもしれません。

可能性の獣

動画有料配信と同時に一部劇場で限定公開も
されたアニメ「ガンダムUC EP7・虹の彼方に」を鑑賞
してきましたので、本日はこの作品をレビューします!

増えすぎた人類を宇宙に移民させたことで始まった
「宇宙世紀」の歴史は、スペースコロニーの独立を
主張する「ジオン」と、それを良しとしない「地球連邦」との
長きに亘る壮絶な戦争で血塗られた歴史でもあった。
未だに各地で戦の火が燻り続け、最早100年という
節目を迎えようとした宇宙世紀0096年に、長い間
ジオンと連邦の間で暗躍し続けた「ビスト財団」が、
ジオン残党である通称「袖付き」へ、「ラプラスの箱」なる
宇宙世紀の歴史を根底から覆し兼ねないとも言われる
重大な機密を受け渡すという話が持ち上がる。
しかし「箱の鍵」を握るとされるガンダム・ユニコーンは、
謎の少女、オードリー・バーンと運命に導かれるように
何の変哲もない青年、バナージ・リンクスへ託される。
結果として、自らの意思とは関係なく、連邦とジオンの
謀略と戦争へ巻き込まれ、憔悴していくバナージ。
そして彼とユニコーンを旗下に置いた連邦軍所属
ロンド・ベル隊指揮官のブライト・ノアは、両陣営
どちらにも箱を渡してはならないとし、独断専行で
バナージに箱の入手を要請し、その運命を託す。
個々のエゴが渦巻き、敵と味方の境界線も曖昧な
魑魅魍魎蠢く最終戦の火蓋が切って落とされた。
果たして箱を、未来を手にするのは誰なのか―――
というのがEP1~6までのおおまかすぎるあらすじ。

「機動戦士ガンダム」が世に送り出されてから既に
35周年を迎え、「宇宙世紀」シリーズとしても一つの
大きな節目として描かれたのが本作「ユニコーン」。

EP7上映前に特別編として、本作の鍵を握る重要人物、
宇宙世紀の100年を見守ってきたサイアム・ビストが
狂言回しとなってこれまでのガンダムを振り返ることで、
本作の主人公、バナージ・リンクスは「ガンダム」の
アムロ・レイの人類の革新を信じる心、「Z」の
カミーユ・ビダンの自分を貫く強い意思、そして
「ZZ」のジュドー・アーシタの純情さとひたむきさを
持った正当なニュータイプであることが描かれ、
この時点で感慨深いものがあり思わずむせび泣き。
そしてまた本作のテーマの一つとして存在する
「父と子の絆」は、「使いようによってはマシーンが
家族を結ぶ」というF91、「今できなかったことは次の
世代に託せばいい」というVにも受け継がれていく
ことも暗に示しており、まさしくこれまでの作品で
培ってきたガンダムエキスが煮えたぎっています。

当然ビジュアル面・技術面でもそのノウハウは
生かされていて、本編でまず目を引くのは作品で
最もウリの一つであるMSの派手で美麗な戦闘シーン。
フルアーマーユニコーンがサイコフレームの力を得て
キラキラ光を発しながら飛び回る姿や、ジオン最後にして
最強最大の決戦兵器ネオ・ジオングのトンデモギミック
満載っぷりはもとより、敵がジオンの残党という設定を
生かし、数十年前の作品に登場したメカが現代の
スクリーンで所狭しと大暴れする様もまたファン感涙必至。
恐らく恐竜的進化の頂点だった「ZZ」世代のMS、
ザクⅢやバウに見せ場があったのが個人的に良し。

「ガンダムUC」は「ZZ」という作品を全体的にとても
大事に扱っているのが好印象で、プルのクローン体・
プルトゥエルブと、かつてはハマーンの作り上げた偶像
であり傀儡だったミネバ様の二人が、ジオンという名の、
神にも匹敵する亡霊とその物語に終止符を打ったという
事実に感動するし、キャラクター面でも慈愛の女神っぷりを
惜しげも無く晒すマリーダお姉さんと、ツンのフリしてその実
「あんたのお嫁さんはあたしだけだかんねっ」と言わん
ばかりにどんどんデレッデレになるオードリーに悶え狂う。

一方本作初登場キャラの中では、作品の展開的に
どんどん不遇な扱いになっていくリディ先輩が大好きで、
これまで誰にも相手にされず粘膜の幻想に囚われ
まくっていたのがニュータイプに覚醒することで突然
主人公キャラっぽいフリを始めるところで爆笑、最後の
最後でまだちょっとオードリーが諦められないというか
まだ目があると思ってるっぽい未練を漂わせる
追い打ちまで入れてきて腹筋が持ちません。

ただ、リディ先輩がはっちゃけられたのは、裏を返せば
ガンダムというシリーズが最早歌舞伎のような伝統芸能の
領域に殆ど足を突っ込んでいて、暗黙の了解とも言える
文脈を製作側が汲み取り、観客側にもある程度の知識や
教養を必要とする敷居の高さを物語っているのも事実。
本作のラスボス、フル・フロンタルが語った理想の
ジオン像や、「ラプラスの箱」の種明かしが、聞いてみれば
存外地味で大したことがないという内容も、「増大した
個のエゴが宇宙をも巻き込む火種を生む」という解釈に
取れるかもしれませんが、しかしどちらかと言えば、
本作もあくまで「宇宙世紀」というシリーズの中における
枠組みに置かれた一つでしかなく、その限られた空間で
窮屈そうに、小さくまとめるしかなかったという「作品の
向こう側」が透けて見えてしまった気がしたのです。
本作はミッシング・リンクを埋める上で実に洗練された、
計算された非常に上質で上等な解答だったと同時に、
スキマにねじこまれたが故に、鳥籠の範囲以上の
飛翔は見せられない、悲しい作品でもあったのです。

いい歳こいたおじさんが、見せ場のシーン一つ一つで
ボロボロ泣いた、ほんともうガンダムファンには何も
迷うことなくオススメできる、宇宙世紀モノとして何ら
恥じることのないまごうかたなき名作ではあるのですが、
一方ではそれなりに作品を知ったファンでないと価値の
多くが理解できないだろうし、旧来のシリーズと一線を
画するような真新しさを提供できたということもないという、
まとまった視点で評価するにはなかなか難しい作品です。

ホルスの目

なかなかレンタルできなかった新作
「グランド・イリュージョン」を鑑賞しましたので、
本日はこの作品のレビューをしたいと思います!

ストリートマジシャンのダニエル、ヘンリー、メリット、
ジャックの四人は何者かの手によってアパートの
一画に集められ、とある「計画」を知らされる。
一年後、「フォー・ホースメン」としてグループを
結成した彼らは、ベガスの会場でパリの銀行から
300万ドルを盗み出すマジックを成し遂げてみせる。
彼らの繰り広げる奇想天外なショーを通じ、彼らの
黒幕は一体何を目的にしているのか?そして正体は
一体何者なのか…?というのがおおまかなあらすじ。

「トランスポーター」に始まり「インクレディブル・ハルク」、
「タイタンの戦い」と、視覚的に楽しめるアクション大作を
数々世に送り出してきたルイ・ルテリエが今回仕掛けて
きたのは、華々しい舞台でマジシャンたちが仕掛ける
一世一代のショーを描いたクライム・エンターティメント。

意外と単なるキチガイ殺人鬼だけじゃなく様々な
役をこなせる器用な男、ウディ・ハレルソンがけれん味
たっぷりに催眠術師・メリットを演じているのですが、
注目の若手俳優筆頭のジェシー・アイゼンバーグが
主人公のダニエルを担当し、スリのジャックはすげえ
ジェームズ・フランコに似てるけど誰かと思ったら
彼の弟だというデイヴ・フランコと知らされ納得。
インターポールのアルマには「イングロリアス・
バスターズ」でキュートなキチガイ復讐者シュシャナを
演じたメラニー・ロラン、マジックのネタ暴きを生業とする
破廉恥な男、サディアスにはモーガン・フリーマン、
鼻持ちならない億万長者にはマイケル・ケインと
キャストには有名セレブがギッチリ詰め込まれて
いるわけですが、そんな中うだつの上がらないFBI
中間管理職員に当てはめられたマーク・ラファロが、
この人もどっかで見たなあと思ったら「アベンジャーズ」の
ハルクだと後で思い出し、彼の良い意味で目立たない
地味なキャラクターもまた絶妙なキャスティング。

さて、肝心の本編の内容ですが、顔も明かさない
謎の仕掛け人に集められた四人のマジシャンが、
まるで石川五右衛門かはたまたねずみ小僧か、
義賊のように人々に施しを与える「奇跡のマジシャン」
として世界を回る様、そしてまた彼らに振り回される
周囲、やがて徐々に明かされていくマジックのタネと
彼らの真の目的を楽しむのが筋道になります。

作品の性質上ネタバレが避けられないため、展開に
ついて具体的に触れられないのですが、最終的には
「マジックは夢を与える商売でなくてはならない」という
理念に基づき、あくまで軽快かつ爽やかな話に終始
しているのが気持ちよく、ある人物が長年募らせた
「復讐の念」も、拷問や人死にを介する血なまぐさい
ものではなく、他人への施しを通じて解消するという
「義」によってさらっと軽く流すのも嫌味がない。

とは言え、あっと驚く脚本の仕掛けとハイスピードな
展開、視覚的なアピールをひとまとめにしてワッと
勢いで一気に突っ切ろうという作品なので、マジックを
扱う映像作品としてはある意味「禁じ手」とも言える
VFXに頼ってしまった姿勢や、「流石にそこまで
無能なのはどうなの!?」というFBIの迂闊ぶりは
観客によって好みが分かれそうではあります。

「一体誰が黒幕なんだ!?」とああだこうだと
予想を立てて、結果当たらずも遠からずな場所に
着地できた自分の身としてはなかなか楽しめました。
様々な俳優のせめぎあい、スッキリ観れる脚本、
エンターティメントとして安心してオススメできます。

ほんのちょっと前には「レッドライト」もありましたし、
科学万能という輪郭を更に強めつつある現代にあって、
想像力溢れる創作者たちはマジックを通じ、改めて
「夢」や「可能性」を求めているように感じられます。
我々は目の前にある情報を鵜呑みにして、「常識」
というおぼろげな枠組みに寄りかかりがちですが、
本来は人と人との色恋もまた大自然が生み出した
不確定要素の一つであり、その美しさを知り、愛し、
楽しむ必要が今こそ必要なのではないでしょうか。

神は物言わぬ動物を愛す

HDリマスターとして新たにレンタルリリースされた
93年の作品「ピアノ・レッスン」を鑑賞しましたので、
本日はこの作品のレビューをしたいと思います!

6歳の時に言葉を発するのをやめたというエイダは、
ピアノの演奏を唯一の心の拠り所としていた。
彼女は父の意向により、毛布数枚でマオリ族から
土地を取り上げる開拓者・スチュアートに嫁がされる。
嫁入りの際、ぬかるんだ湿地の上を運べないとして、
エイダ愛用のピアノは浜辺に打ち捨てられたままに
されるが、それを不憫に思った使用人・ベインズは、
スチュアートからピアノと自らの土地を交換する。
当然、ベインズは単なるお人好しというわけではなく、
「エイダからピアノレッスンを受けたい」と口実を使い、
密かに下心も抱えていたのだが…というあらすじ。

言葉を話さないピアニストの女性が、密林で出会った、
粗野の中に純粋さを隠した男との禁断の恋を描いた、
奇妙かつ官能的でありそして切ないラブロマンス映画。

ピアノの演奏と手話を自ら実践し、言葉に頼らない
演技でエイダという女性の個性と魅力を見事に描いて
見せたホリー・ハンターがアカデミー受賞も納得の
出来なのですが、一抹の童貞臭さを感じさせるピュアな
原住民おじさんを演じるハーヴェイ・カルテルや、
強引な地上げ屋のくせに女に関しては今ひとつ押しが
弱く、女心も理解できない結果寝取られ旦那になって
しまう情けない男、スチュワートを演じるサム・ニール
という各男優陣のチョイスもいい味を出しています。

テーマとして「人類のコミュニケーション」とそれに
深く関わってくる「言語」の存在があって、エイダが
持論とする「本当に聞く価値のある会話は少ない」は、
今やあまりに膨大な情報量を持ちながら、その九割
九分は無価値と切り捨てても良いインターネット時代の
到来を省みると、殊更にその意味を強く実感します。

そしてエイダの立場から見ると、ベインズは原始と芸術を
司る感覚的な「右脳」的、スチュアートは社会性や理性を
司る「左脳」的な存在として描かれており、また彼女の
一人娘・フローラは、エイダがどんなに感覚寄りの人間で
あっても、現代社会との関わりを拒絶することはできず、
「社会と自分を繋ぐたった一つの絆でありしがらみ」の
象徴的存在として描かれていることがわかります。

やがてエイダは自らの、そして右脳と左脳それぞれの
欲求に挟まれて葛藤することになるわけですが、
社会に順応することを一つの幸せと上辺で繕いつつ、
原始への憧れを「言葉」でしたためる禁忌を犯した
ために冷酷な社会的制裁を受けてしまうという展開や、
左脳も「感覚」への恐怖を抱きつつ、最終的には
あるがままを受け入れることを望んだという結果は、
中庸であることが如何に難しいかを物語っているし、
人生においてどちらが、誰が、何が正しいかの選択は
結局個人の判断に委ねられるという事実でもあります。

ピアノは壊れてもまた買い直せばいいが命は一つ、
或いはあの時既に一つの命として死んでいたのか?
みたいな、終盤はかなりスピリチュアルな方向に
振りきれているせいで観客も置いてきぼり感を多少
食らう作品であり、必ずしも全てにおいて両手放しで
褒められる内容でもないとは思うんですが、全編を
彩るマイケル・ナイマンの美しいスコアのせいで、
やっぱりなんだか額面以上に素晴らしい名画を
観せられているような錯覚に陥るし、この「良い物
見せてもらった」って感覚と感動を大事にしたい。

Life in space is impossible.

新作レンタル「ゼロ・グラビティ」を鑑賞
しましたので本日はこの作品のレビューをば!

アメリカの宇宙探査船「エクスプローラー」の
クルーが機体を整備している最中、ロシアが
自国スパイ衛星の一つを破壊したとの報が入る。
飛び散るデブリは瞬く間に周辺の衛星を破壊し、
そしてまたエクスプローラーも被害は免れなかった。
奇跡的に生き残ったライアンとマットの二名は、
僅かな希望に賭けて国際宇宙ステーションまで
宇宙遊泳で辿り着こうとするが…というあらすじ。

「トゥモロー・ワールド」等で知られるアルフォンソ・
キュアロン監督の最新作にあたる本作品は、宇宙に
取り残された二人の人間の奮闘を描いた映画。

「宇宙には重力も気圧も酸素もない」とぶっきらぼうに
前置きした上で、一体どうやって撮影しているのかと
皆目見当がつかないVFXによる無重力表現により、
宇宙の孤独と閉塞感をありありと描き出してきます。
時と共にその顔色を変える、地球の美しい情景にも
思わず息を呑みますが、そんなことよりも観ている
こちらの方まで無重力酔いしながら窒息しそうな
臨場感が勝り、この絶妙なバランス感覚が観客を
一気に作品へ取り込み、一体感を演出しています。

そして大事故を発端に、リアルタイムで進行する
おおよそ90分に亘る二人の宇宙飛行士の大冒険が
展開されるわけですが、たった一つのデブリが
人間はおろか宇宙船をも大破する様を観ていると、
「スターウォーズ」のミレニアム・ファルコン号の
ように隕石や機雷群の中を飛べるようになるのは
到底不可能な話に思えるし、ひっかかって邪魔な
ケーブル一本を切り離すという作業にも膨大な
手間と労力を要する様からは、レーザーライフルも
ライトセーバーも存在しないという現実に絶望し、
「一体何故宇宙なんかに出る必要があるんだ!」と、
無謀で愚かで理不尽に見える行為に頭を抱えます。

しかしそれでも人類が地球を飛び出したがる理由は
「その向こうに何かがあると信じているから」に
他ならず、それはつまり人類の科学がどんなに
進歩しても、絶望と不可能の壁にブチ当たる度に
「神的な力」への信仰の輪郭が強まっていくという、
ある種の矛盾を本作では興味深く描いています。

原題の「GRAVITY」もその意味を強く反映しており、
ガンダムのニュータイプ的な、重力の鎖を解き放ち
人類が革新を得るという霊的でオカルトな話も展開
しつつ、最終的には人と人がお互いに引かれ合う
「引力」がテーマとして濃厚となっていきます。
なのでなんで邦題に「ゼロ」とか余計な言葉
つけたんだふざけんな死ねって思ったりしますが、
それはさて置き、人間というものは誰しもが
宇宙船の中で今にも窒息しそうな孤独な漂流者
だけれども、他人との間に発生する「引力」が
あればこそ力強く立つことができるし、それが
「悔いのない人生だったと笑って死ねる」覚悟にも
繋がるんだという教えが本当にありがたく、美しい!

プロモーションとしての売り込みはSFモノですが、
時としてホラーの様相を見せ、最終的には感動の
ヒューマンドラマに着陸するという、ジャンルの
垣根を超えた全能感に溢れた本作、視覚的にも
ストーリー的にも完璧なアカデミーも納得の名作!

悪いジョナは強い!

新作レンタル「ディス・イズ・ジ・エンド」を
鑑賞しましたので、本日はこの作品のレビューをば!

L.A.へ遊びに来たジェイ・バルチェルは、親友の
セス・ローゲンの誘いでジェームズ・フランコの
マイホーム新築パーティーへ嫌々顔を出す。
錚々たるハリウッドセレブが顔を揃えてバカ騒ぎに
興じているその最中、アメリカ全土を突如未曾有の
天変地異が襲うのだった…というあらすじ。

「スーパーバッド」で知られるセス・ローゲンが
今回世に放ったのは、ハリウッドスターが本人役で
登場し、世界の終わりに直面するコメディ映画。

基本的にはセスの仕事へ共に関わってきた仲間で
まとめられた、こぢんまりとした同窓会かつ
学芸会的な要素と趣が強いのですが、クスリでハイに
なったマイケル・セラが嫌がるクリストファー・
ミンツ=プラッセに無理やり絡んだ挙句むごたらしく
死ぬ展開とか、一体どういう層に向けているのか全く
わからない演出が満載で、俳優である彼らが普段演じて
いるキャラを掴んでいればいるほど笑えるのですが、
逆に俳優に全く詳しくないと「知らないおっさんたちが
延々内輪揉めしているだけの映画」になってしまうので、
ジェームズ・フランコ以外日本での知名度は正直
どうなんだろう…ってこの面子では、日本で劇場公開
されなかった事情もちょっと理解できちゃったり。

実際のところ、自分も主要メンバーのうちジェイ・
バルチェル、クレイグ・ロビンソン、ダニー・
マクブライドについては殆ど知らなくて、経歴を
調べてみると「ナイトミュージアム」とか「ファン
ボーイズ」「トロピックサンダー」にいたらしいけど
やべえどんな役だったか殆ど覚えてねえや!ってのと、
あとはセスが脚本を手がけた「スモーキング・ハイ」の
面子で固められているっぽいのですが、こちらも未見。
そんなわけで、俳優を知らないと楽しめないけど、
その出演作がかなり偏ってるせいでかなり間口が狭いため
実はとんでもなくハードル高い映画じゃないですかねこれ。

ストーリー自体はいい歳こいたおじさんたちが世界の
終末をもたらした謎の影に怯えながら、少ない水と食料を
巡ってくだらない小競り合いを繰り返すのが基本な
わけですが、主要登場人物全員の性格がチンカスなのは
ともかく、何故かみんなセス大好きのホモなのに吹く。
ハーマイオニーことエマ・ワトソンが半分ヤケクソ
起こしたような演技でキレ芸を見せてくれますが、殆ど
カメオ的にすぐフェードアウトするのも狙いすぎやろ!
「G.I.ジョー」で知られるマッチョアニキのチャニング・
テイタムもチョイ役で犠牲になるし、最後の最後で
召喚されるとあるアイドルグループも…というか
アイドルグループって時点でやっぱりホモ映画。

ソリッドシチュエーション的に殆ど一つの家屋内で
話を進めているだけなのに、圧倒的な会話量とジョーク、
そして端々に散りばめられたパロディで飽きさせず、
序盤のミスリードにもなる伏線が後半で上手く機能して
いたりと、相変わらずセスの切れ味ある脚本は健在で、
それ以上に俳優たちがみんな心底楽しそうに伸び伸びと
演技しているのを見て心がほっこりしてしまういい映画。

世界の終末をテーマにしたホモ映画っていうと、全く
同時期に製作されたエドガー・ライト監督の新作
「ワールズ・エンド」も連想し、こちらも現在えらく
小規模ではありますが日本で劇場展開していますので、
地元映画館に回ってくるのがすごく楽しみです!

世界は変わった

新作映画「キャプテン・アメリカ:ウィンター
ソルジャー」を鑑賞してきましたので、本日は
この作品のレビューを行いたいと思います!

チタウリによるN.Y.の襲撃を経て、国防組織
S.H.I.E.L.D.は極端な対テロ軍備拡張に走り、
情報の共有されない極秘任務が増加したことを
受け、キャプテン・アメリカことスティーブ・
ロジャースは組織とその長官、ニック・
フューリーへ次第に不信感を強めていく。
しかしその最中、突然フューリーは何者かの
凶弾に斃れ、彼はスティーブに謎のUSBメモリと
「決して誰も信用するな」との一言だけを残した。
メモリには一体何のデータが?そして彼をも
倒した凄腕の暗殺者「ウィンターソルジャー」
とは一体何者なのか?…というあらすじ。

一大クロスオーバー「アベンジャーズ」の後、
マンダリンのテロと交戦していた「アイアンマン」、
神界でダークエルフと死闘を繰り広げた「ソー」に
対し、では「キャプテン・アメリカ」はその頃何を
していたの?という問いへの答えにあたる本作品。

キャプテン・アメリカというと、怪力ハルクや
雷神ソー、そして歩く核弾頭のアイアンマンに比べ
「なんだか地味」と言われがちですが、いかなる
魔法にも兵器にも頼らずに、己の肉体一つだけを
駆使して立ちまわることができるヒーローという
存在は、「リアルさ」を追求した実写作品においては
逆に有効に働き、今回のヒロイン、ブラック
ウィドー及び宿敵ウィンターソルジャーと互いに
繰り広げるスニーキングアクションやガンファイト、
一対一の格闘戦はどれも手に汗握り、見応え抜群!
そして今まで裏方に徹することが多かったニック・
フューリーのカーチェイスシーンや、キャップの
親友となる新キャラ、鳥人間のファルコンが魅せる
華麗な空中戦と、思いつく限りのアクションがあの手
この手で詰め込まれ、決して目が飽きることがない!

ですが本作は「動」のアクションに留まらず、「静」の
サスペンスフルなストーリーにもぬかりはありません!
何やらきな臭いS.H.I.E.L.D.の動きに、キャップは
ニックやウィドーすらも信じられなくなる疑心暗鬼に
囚われ、やがて浮上する彼の忌まわしい過去の因縁。
そしてそれがもたらした運命の皮肉とは、スティーブ
生涯唯一無二の親友との最も悲しい再会だった…。
だが、組織の崩壊や運命の悪戯を乗り越え、なおも
キャップは「己の理想とする世界」と、その先にある
「彼が守りたいと思う人々」のため拳を振るうのだ!
…ってな熱い展開と同時に、サブストーリーとして
サムとの友情を育んだり、ウィドーや新キャラ、
"エージェント13"シャロンとのちょっとしたラブ
ロマンスまで交えてくるというのだから、本作の
狂気の脚本の作り込みには驚嘆する他ありません!
神経衰弱に陥りアウアウ言ってた(言ってなかったかも)
アイアンマンや、ギャグの色が強かったソーに比べると、
今回の仕上がりは明らかにレベルが一つ上です。

また、本作は「ウィンターソルジャー」の名こそ
冠していますが、映画化にあたりストーリーは完全
オリジナルとなっていて、その上で原作のキャラクターや
ストーリーラインを尊重し、イメージを損なわないよう
考慮した上手な落とし込みにはアメコミファンも満足。
原作に比べオリジンに大幅な変更が加わったのは、
鳥と会話できるタイツ男のファルコンが元特殊空挺部隊の
退役軍人になった程度で、これぐらいなら許容範囲。
「キャプテン・アメリカ」という作品になくては
ならないキャラとしてシャロンの他、テロリストの
クロスボーンズも顔を出していて、今回は顔見せ
程度だった二人が今後どんな形でキャップに影響を
与えていくか、続編にも大きな期待を抱きます。
変わったところでは電脳変態男、アーニム・ゾラが
出演を果たしたのも原作ファンには嬉しいのでは?

その他トニー・スタークやブルース・バナーの
名前をちょいちょい出してきて、「じゃあソーさんは
どこで絡んでくるの?」と思ったら最後の最後で
「そうきたかぁ~ッ!」という引きに爆笑させられたり、
アベンジャーズ2に向けて「例の問題児の姉弟」が顔を
見せたりとか、ほんともうネタで笑かせに来るだけじゃ
なくて次回へのお楽しみを煽りに煽りまくって来るので、
最後の方は喜びで半分気が狂いそうになってました。
あと、また落ちそうになってるっていうか今回は完全に
墜ちたヘリキャリアに吹いたのも忘れちゃいけない。

今回でニックとウィドーが苦しい立場に追い込まれ、
キャップもまた盤石とは言いがたい状態となりました。
流石に「シビルウォー」には行かないだろうなという
流れではありますが、一足飛びに「シークレット
アベンジャーズ」的な分断も十分起こり得る、ヒーロー
たちにとって予断を許さない状況には変わりありません。
アベンジャーズの今後を占う上で、一つの重要な
位置を占めていると言える本作品、必見の出来です!
プロフィール

マイケル・チバ

Author:マイケル・チバ
シルバーレイン
マイケル・チバ(b30277)
薬師寺・米(b41960)
を経て、
現在はエンドブレイカー!
マーヴィン・ジェント(c06527)
にて稼動中。

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