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青天の霹靂

過去の話題作をもう一本チェック!というわけで
本日紹介するのが2001年のインド映画「ラガーン」!

19世紀末、インドを植民地とするイギリスは
地方にもその手を伸ばし、年貢(ラガーン)を
徴収することでその勢力を更に増強させていた。
そして日照りによる水不足から人々が飢えている
にも関わらず、気まぐれにして暴虐な地方責任者・
ラッセル大尉が今年の年貢は二倍だと言い放つ。
村長たちが免除を求めると、大尉は「クリケットの
試合で勝てば三年間免除してやろう、ただし負ければ
取り立ては三倍だ」と無茶な要求を返してきた。
人一倍反骨精神の強い若者・ブバンは「これに勝つ
以外生き残る道はない」と周囲の反対を押し切り、
限りなく分の悪い賭けに身を投じるのだが…
というのがおおまかなあらすじ。

近年の経済的成長に伴い、全世界から映画製作の新たな
土壌としても注目されつつあるインドの中にあって、
09年の名作「きっと、うまくいく」でその名を不動にした
名優アーミル・カーン主演の本作は、植民支配下にあって
なおも折れない人々の力強さを描いた感動のスポ根ドラマ。

歌って踊ってのインド映画要素を含むとは言え、
まさかの上映時間合計224分というとんでもない
長尺の作品ではありますが、お話の骨子自体は圧政を
強いる領主に決して屈しない主人公が果敢に立ち向かう
姿と、二人のヒロイン、幼馴染と領主の妹がそんな
彼へ同時に恋をしてしまう淡いラブストーリーを描く
という、実にオーソドックスな作りとなっています。

その上で、お互いが国の威信を賭けて戦う舞台が
血みどろの戦場ではなく、スポーツのフィールド
という設定のために、一見清々しさや爽やかさを
与えてはいますが、しかし絶対に負けられない戦いを
抱え、死に物狂いで立ち向かってくる雑兵を相手に、
絶対に勝てると踏んで鼻で笑っていた連中も徐々に
舐めプから汚い手段へとシフトしていく…という
ドロ沼の様相も描く絶妙なバランス感覚が、話を
熱い火花の飛び散るドラマへと昇華させています。

キャラに関しては主人公とボス、ヒロインのみならず
関連キャラクター全員がコテコテのテンプレに
則ってたりもするのですが、横恋慕が故に全てを
台無しにしようとするクズだけれども本気出せば
基礎能力はかなり高い男だとか、差別を受ける身体
障害者がその独特のクセ故に実は思わぬ勝利の鍵と
なる…なんてあるある設定について、スポ根ドラマで
いちいち突っ込みを入れるのは野暮ってもんで、
素直にエンタメとして気持よく受け止めるべし!

そしてバランス感覚という点で言えば「努力なくして
神は微笑んでくれない」という教訓の扱いも上手く、
大勢の仲間たちが己の長所を活かし、互いに信頼する
ことでか細い光明を見出し、それが結果としてほんの
一つの小さな奇跡を生み出しても、そこから更に底力を
振り絞ることができなければ本当の勝利を勝ち取る
ことはできないという、「あくまで神様は少し背中を
押してくれるだけで、最後の一歩を飛べるかどうかは
自分次第」と、単なる神頼みではない、個人に決断を
委ねると同時にその強さも認めてくれる、まさに
人間賛歌な感動の展開に繋げてくれるのがありがたい…

そして何よりも本作を名作たらしめているのは
ラストの演出にあって、とある一つの出来事が
一般的には凶兆と考えられていても、土地と文化が
変われば吉兆として映ることもあるわけです。
例えばモンゴルの遊牧民族には「雨の一滴は衣服に
落ちればただの水だが、地に落ちればバターになる」
という諺があるそうで、それと同じように、全ての
物事は受ける側の気持ちの問題に過ぎず、持ち方一つで
いくらでも変えられることを本作では示しています。
そしてまたこの演出は、前述した「努力が生んだ
神の采配」にも再び繋がってくるので、これら一連の
計算づくの展開は素晴らしいと言う他にない!

全体を通した感触としては「ラブコメも含めた
非常に手堅く作られたスポ根ドラマ」であり、
そこまで突き抜けた真新しさを含む映画ではなく、
エキゾチックな文化とその特色に目を惹かれた
結果として海外からは作品が本来持つ内容以上の
評価が加味されている…という言い方もできるとは
思うのですが、「イギリス人=悪」という単純な
構図にせず、素直にスポーツマンシップを湛える
嫌味のなさも観客がスッキリ気持よく観れる要素に
なっていて、色眼鏡を抜きにしても十二分「名作」と
呼べる水準を満たしているのではないでしょうか。
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どんどん残酷になるぞ!

過去の話題作をチェックしておこうということで
今回鑑賞したのは2010年の韓国映画「悪魔を見た」!
本日はこの作品をレビューしたいと思います!

冬の山奥、車がパンクし一人レッカーを待つ女性は、
更に不幸なことに猟奇殺人鬼に捕まってしまう。
婚約者をバラバラにされた特殊捜査官・キムは
心に復讐を誓い、己の立場と能力の全てを用いて
殺人鬼を追い込もうとするのだが…というあらすじ。

人生を狂わされた一人の男が復讐劇に身を投じた
ことで、物事が思わぬドロ沼の様相を示していく
誰も救われない・報われないスリラー映画の本作品。

04年の「SAW」以来、「ソリッドシチュエーション」という
ジャンルが再び注目を浴び、後に続けとばかりに、
様々な奇をてらった作品が世に送り出されてきました。
そしてまた、日本の漫画が韓国で映画化された異色作
「オールド・ボーイ」の血脈も色濃く受け継いでいる
ことを本作では伺わせ、テーマの一つとなっているのは
常に殺人鬼の動向を監視し続けるという形態の「監禁」。

また、フリッツ・ラングの名作「M」では、殺人者と
思しき男の背中に「M」の刻印をつけ、群衆が暴徒と化し
容疑者を追い詰めていく狂気の様が描かれましたが、
その意味では本作も「M」の系譜を受け継ぎ、群衆ではなく
たった一人の男が踏みとどまるべき一線を超えてしまい、
哀しい獣へと変貌してしまう姿を描いた話とも言えます。

んで、思わず顔を覆いたくなるような血みどろチキチキ
殺人復讐レースに目を奪われがちになりますが、本作に
おける核心は「正常な人間の心の弱さ」であり、「深淵を
のぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」という、
世界の虚無とそこから生み出される大いなる理不尽に、
真っ向から歯向かってはいけないという教えであります。
主人公は感覚的な人間ではなく、本能的に殺しを恐れ、
なまじっか言葉に頼った正常な思考ができるばかりに、
やがて「復讐者である自分」が「殺人鬼を生かしておく」
という依存にシフトしていき、結果として彼の吐く
言葉がどんどん情けなく、哀れな、言い訳じみた
空虚な響きへと変わっていく様の描写が実にお見事。

本作の構図は、端的に言ってしまうと「ネットの変な子」と
「そいつをなんとかしてBUZAMAにしてやりたい変な子
予備軍」の対立にも例えられて、変な子に構えば構うほど
変な子は喜んじゃうし、片っ端から火の粉をまき散らして
気がつけばとんでもない炎上が起こっているという塩梅。
マトモな思考を持っている人間が変な子と同じ土俵で勝負
できるなんて間違っても思ってはいけないし、もし本気で
戦おうと思ったら相手と同じレベルに自らも貶め、常人の
理解を超えた変な子にならなければいけないわけです。
そうして最後には第三者に近い無実の人間を巻き込んで
ひとまずの決着をつけたところで、自分が何をやりたいのか
わからなくなっているし、何の解決にもなっていない…。
二人の男のあまりに破天荒な転がり方と対立を描くことで、
改めて司法と警察の重要性を、そして何よりも、正常な
人間としての理性の大切さを説いてくれる作品であります。

この手の作品にはありがちな、序盤から一貫して迂闊な
警察組織とか、ちょっと韓国の山奥キチガイ殺人鬼多すぎ
じゃね!?とか、あと殺人鬼これ絶対死ぬだろって殴打を
何度となくされてるのに死なないとかHP高すぎね!?とか、
ご都合主義に沿った突っ込みどころは多々見受けられますが、
鮮烈なバイオレンスと、そこから生み出される異様な
エネルギーが観客をどんどん作品にのめりこませていきます。

「復讐なんて映画だけの話だ」「もう一人の男を獣に
してはいけない」と、台詞回しで作品としての回答と、
そして何よりも人間としての在り方を示してくれるのも
ありがたい一本、確かに噂に違わぬ素晴らしい作品でした!

Have Faith

2012年のアカデミー外国語映画賞において、
惜しくも「愛/アムール」に敗れたノミネート作の
一本である「コン・ティキ」を鑑賞しましたので、
本日はこの作品のレビューをしたいと思います!

幼少の頃から人一倍目立ちたがり屋だった
トール・ヘイエルダールは、成人後妻の
リヴと共にポリネシアに移住し、約十年間を
彼らの文化とその起源の探求に費やした。
そして彼はポリネシアンが従来の学説である
西のアジアン伝来ではなく、東のアメリカ・
インディアン伝来であるという新説に辿り着くが、
それを信じる者は誰一人とていなかった。
己の説に自信を持つトールはその証明として、
当時を再現したイカダを用い、8000kmにも亘る
長い海域を数名のみで横断するという無謀な
冒険に踏み切るのだった…というあらすじ。

その功績によって、当時の冒険記録の本は全世界で
ベストセラーとなり、映画はアカデミーをも獲得した
という実在の冒険家、トール・ヘイエルダールの
苦難の冒険を、2012年に改めて映画化した本作品。

一人の冒険家が海路のみならず、人生という名の
広大な荒野へ、己の信ずる道をただひたすらに
突き進んでいくという姿を描いていくわけですが、
そこから浮かび上がり、そしてまた彼の姿と重なり
合うのが、彼の信仰の根源である、ポリネシアンの
偉大な先祖コン・ティキの存在という構図が見事。

トールが新たな学説を身をもって証明したという事実と
功績は確かですが、彼はただ偉大な先人の足跡を踏み
直しただけに過ぎないという言い方もでき、正確な海図も
無線機もインスタント食品もアスピリンもない、1500年前の
当時の人々が海に乗り出すのは遥かに自殺行為であり、
想像を絶する孤独と絶望に見舞われたことでしょう。

そして見渡す限りの空と海に囲まれ、太古であり
原始である状況に置かれた時、人間が本来、根源的に
持つ”探究心”の素晴らしさに気付かされるのです。
「砂漠でサーモンフィッシング」で語られた
「釣り糸を垂らし魚を待つのも宗教と同じだ」という
台詞同様に、人々が大海へ乗り出すのも「向こうに
何かが存在しているに違いない」という信心に
他ならず、本作では「アインシュタインとて原爆を
作るために相対性理論を発見したわけではあるまい」
とでも言いたげな皮肉も交え、人類が如何にして
今日の発展を遂げてきたのかも説いてくれます。

その一方では冒険を求める男、家庭を求める女の
違いもそれとなく描かれ、「世界の何処かで同じ
夕陽を観ているはずだ」というほのかで切ない
ロマンスがほんのり心に染み渡ります。

人間の知恵と信仰が勝利をもぎ取るという爽やかな
ドラマで文句なしの感動作なのですが、改めて
冒険家トールやコン・ティキ号について調べてみると
「実は色々あって実験的価値はそこまで高くない」
みたいなことが書かれてあって、やっぱり史実モノは
「そんなこと知りとうなかった…」ってことが多いし、
この辺のケチのつき方がアカデミーを逃した要因の
一つなのかな?なんて邪推もちょっと頭をよぎります。

とは言え、それが作品を台無しにする要素になって
いるかと言えばそんなことはないので、困難に
立ち向かう人間の強さを描き、こちらにも元気が
みなぎってくるような素敵な作品として、
文句なしにオススメできる一本です!

シーユーレーザー!

なんというかダメ映画臭がすごくして気になった
新作レンタル「マンボーグ」を鑑賞しましたので、
本日はこの作品のレビューをしたいと思います!

突如地上に現れた地獄軍団の地獄戦士たちの攻撃に
より、人類の大半は殺戮され服従を強いられた。
地獄総司令ドラキュロン伯爵に兄を殺され、
自らも命を奪われたはずの男は、遠い未来に
冷たい金属の箱の中から改造人間として蘇った!
というのがおおまかなあらすじ。

「アストロン6」なるインディー映画製作集団が
手がけたという本作品、表題こそ「マンボーグ」と
なっていますが、実際はフェイク予告編や短編も
含めて一つのオムニバスという趣が強いです。

んで、この21世紀になってやっていることと
言うのが「80年代ビデオバブル期リバイバル」
とでも形容できそうな内容で、当時のオタク
メディアにおいて至るところで氾濫していた、
ゴテゴテに煮詰まったサイバーパンクで
ヘヴィーメタルな臭いがプンプン、いい歳こいた
おじさんほど郷愁を覚えること請け合い。

表題作「マンボーグ」はその背景と設定に
よりかかって「ギャグでやってるからいいよね」と
照れ隠しとも取れるおちゃらけた展開に流れるのが
玉に瑕ですが、モータルコンバットなカンフー男、
ブリティッシュパンクな銃使い、野生児の妹と
コッテコテな立て方したキャラが妙に魅力的で、
特に実験体である野生児に恋してしまう男爵が
無闇矢鱈に萌えキャラぶるのが個人的にツボ。

前後に挿入されているフェイク予告編の方が
遥かにヤケクソ起こしている分面白いというのも
ヤバくて、ゾンビ化したアインシュタインが
殺しにやってくるという「レーザー・ゴースト2」も
さることながら、ゾンビ化した主人公がひたすら
虐待され続ける「バイオ・コップ」がお気に入り。

作品としては全く褒められた内容でもないと
思うんですけど、異様とも言える80年代への執着が
伺え、なんだか優しい気持ちにさせられてしまう一本。
「超低予算でどこまでやれるか」という点も含め、
タランティーノ&ロドリゲスの「グラインドハウス」
プロジェクトにも通じるものがありますので、
アレが好きな人はこれも観ておいて損はなし!

カネの色は緑だ!

新作レンタル「42 〜世界を変えた男〜」を鑑賞
しましたので本日はこの作品のレビューをば!

第二次大戦が終結を迎え、アメリカの球場にも
かつてのメジャーリーガーが戻りつつあった。
しかし世間は未だに人種統合への嫌悪感が根強く、
メジャーは白人のみの構成が慣習化されていた。
ドジャースのオーナー・リッキーはこれに対し、
注目を集める興行とチーム戦力増強の両面から
「初の黒人メジャーリーガー」投入を思い立ち、
そこで白羽の矢が立ったのは、ニグロリーグで一際
反骨精神溢れるジャッキー・ロビンソンだった…
というのがおおまかなあらすじ。

「L.A.コンフィデンシャル」や「ミスティック・
リバー」、「マイ・ボディガード」等で知られる
名脚本家、ブライアン・ヘルゲランドが自ら監督を
務めた本作品は、メジャーリーグに人種の融和を
もたらした実在の英雄を描いたヒューマンドラマ。

本作における特徴は「過激な暴力色を抑える」という
ところにあって、当時の現実にはもっと無知で
苛烈で理不尽な妨害活動があったに違いないという
臭いが十分伺えるのですが、「差別を当然と捉える
人々」を単なる「悪」として描写することを極力控え、
そんなことよりも主人公である黒人のジャッキーが、
人間が本来持つ強さで世間の荒波に立ち向かう姿と、
「他人によりかからず生きてきた」と豪語するそんな
彼の元へ、背中を預けるに値する相手が次々と現れる
様にこそ重きを置いているのは、嫌味がなく大正解。

ドジャースのオーナー・リッキーの存在も作品に
大きな説得力を持たせていて、彼が例えば敬虔な
メソジストだとか、野球を通じて過去に黒人と遺恨を
残していただとか、あれこれともっともらしいお涙
頂戴のエピソードを抱えていても、彼の行動原理の
根底としてカネが絡んだショウビズがまずあるという
こと、この清濁併せ呑む彼の態度と演出こそが
かえって奇妙なリアリティをもたらしていて、過程や
理由はどうあれ結果的に歴史に大きな功績を残した
ことに違いないという事実をストレートに受け止め、
変に穿った見方抜きで素直に感動ができるというもの。

「イングロリアス・バスターズ」でナチの高官が
「アメリカ野郎共はオリンピックでメダルを数多く
獲得するが、殆どはクロの功績じゃねえか」なんて
会話をするシーンがあったり、「ムービー43」で
圧倒的戦力の黒人バスケチームに挑む白人へ観客が
喝采するなんて皮肉が描かれたりもしていましたが、
スポーツにおける黒人の排斥には「身体的能力に
関する白人の劣等感及び恐怖感」も入り混じり、
より複雑な様相を見せているという要素も本作では
ちゃんと描かれていて、その上で「今後はもっと
ハングリーな奴がフィールドに現れる、ユニフォームに
袖を通したら肌の色は関係ない、文句があるなら実力で
示せ!」とバッサリ斬ってくれるのも気持ちいい!

話は変わってキャスト面、ほぼ無名の新人である
チャドウィック・ボーズマンが屈託なく爽やかに
笑う黒人青年の主人公・ジャッキーを好演。
オーナーのリッキーは、本人の増量やメイクもあるの
だろうけど、ハリソン・フォードが演じていたと
エンドロールで知り、すげえ老けたなあとビックリ。
人生の様々な経験を顔の深い皺一つ一つに刻み込み、
神や野球に対する愛でたまにクソコテにもなるリッキーの
存在感は、彼の演技によるものも大きいと言えます。
完全実力主義だが私生活はちょっと女にだらしないという
ドジャースの監督・レオには「マン・オブ・スティール」で
大佐を演じたクリストファー・メローニ、徹底的な
人種差別主義者として描かれるフィリーズの監督・
チャップマンには「セレニティ」で操舵手を演じた
アラン・テュディックと、キレたら怖そうなクレイジー
サイコ顔の役者が端を固めてるのも個人的には嬉しい。

スポーツを通じ、人種を超えた友情を育むストーリーと
言うと、一見安易なテーマに思えてしまいますが、監督の
確かな手腕が冴え渡り、名作「タイタンズを忘れない」に
勝るとも劣らない静かで熱いスポ根ドラマに仕上がっており、
「野球への愛は神への愛にも通じる」という「みんな
野球が大好きなんだなあ」って想いはまた「フィールド・
オブ・ドリームス」をも連想させる、良い作品でした。
ていうかタイカッブみんな好きすぎでしょ。僕も大好きだ!

センキューユアハイネス!

新作レンタル「47RONIN」を鑑賞しましたので
本日はこの作品のレビューをしたいと思いまーす!

時の将軍・徳川家康の威光を授かり、赤穂を
治める浅野家に嫉妬する吉良は、その野心から
妖狐に魅入られ、浅野の暗殺を秘密裏に企てる。
そして将軍を赤穂に迎え入れての上覧試合の際、
妖狐の術中に嵌った浅野は乱心し、その責任を
問われて彼は切腹を申し付けられると同時に、
彼直属の臣下全員が侍の任を解かれてしまう。
これこそは吉良の陰謀だと目する浪人たちは、
復讐を禁じた将軍の命に背き、仇討ちの機会を
じっと待ち続けるのだった…というあらすじ。

日本人には毎年の大晦日で馴染み深い「忠臣蔵」を
まさかのハリウッドナイズしたことで知られる本作、
あらすじの時点で「忠臣蔵ってこんな話だっけ…?」と
首を捻らされるなら、明らかに国籍不明っぷりが
際立った日本のビジュアル、主人公には何故か
キアヌ・リーブス、そして吉良なのに浅野という
忠信と、あまりにも矢継ぎ早に突っ込みどころを
押し付けてくるもんだから「これはもうそういう作品
として観るしかないんだな」とある種の諦観を伴って
妙に冷静な目で観ることが出来…いややっぱ無理。

まず主人公の身分が別にSAMURAIでもないGAIJIN
という設定の時点でどうなんだろうというのは
あるにしても、「気高い精神を持てば誰もがSAMURAIに
なれるし他のSAMURAIもそれに応えてくれる」的な描写が
したかったのだろうと汲めるのでこれは別にいいです。
でもGAIJINのハーフという意味で鬼子なのはわかるけど
師匠が明らかにこの星の人間じゃないのはどうなの!?
まあ、でも、やっぱ別に主人公を日本人の武士以外に
設定する必要性はあんまりなかった気がする。

復讐の手順を踏むことに関しても、AKOからNAGASAKIの
DEJIMAへ向かいパイレーツと交戦し(敢えて海賊では
なくパイレーツと表記)、その後KATANAを揃えるために
FUJIのJYUKAIへ足を踏み入れるという日本縦断っぷりも
面白く、GAIJINから見たら日本狭いから仕方ねーよな!
とか思ったりするのですが、さっきから突っ込みしか
入れてない気がするのでこの辺で一旦止めます。

とは言え、浅野と吉良の確執に実は妖怪が関わっていた、
という明らかにおかしい発端や世界観を除けば
「亡き主君の仇を討つ」という基本的な忠臣蔵の
ストーリーラインには違いがないので、「とりあえず
画面の端々から面白いポイントを探す」というプレイに
走らざるを得ないというのが日本人としての実情。
こいつら公用語は英語みたいだけど実は日本語
喋れないというわけでもないらしいとことか。

あとは「囲んで棒で叩く」とか「ハイクを詠め、
カイシャクしてやる」等々、ネオサイタマめいた
アトモスフィアに溢れまくっていて、「日本人が
想像するGAIJINの考えそうな日本のイメージ」を
この上ないほど完璧に描き切っているために、
誘い受けされている部分はちゃんと突っ込みを
入れてあげなきゃならないけど、時代考証とか
これっぽっちも考えてないところ等の細かい
部分にいちいち指摘を入れるのは野暮ってもんで、
監督の提示する「ぼくの作りたかったSAMURAI
ワールド」にうんうんと頷いて生温かく見守って
あげるのがやっぱり正しい視聴姿勢なんでしょう。

結局一から十まで突っ込みしか入れてなかった
気がしますが、「監督本人はきっとクソ真面目に
作ってる」という気概は伝わってくるので、
間違った日本観という屈辱を享受する背徳感と、
それに反して地味な話の作りが混ざり合った結果、
有象無象の一つとして埋もれる中途半端な
作品に仕上がってしまったという感はあります。
ネタとしては面白いし話としても悪くないんだけど!
だけど!無理して鑑賞に踏み切ったりわざわざ
話題に上げるほどでもない、実に惜しい作品でした。

ハンガリー(コマンドー風に

新作レンタル「デッドマン・ダウン」を鑑賞
しましたので、本日はこの作品のレビューをば!

交通事故で顔に酷い傷を負った女性・ベアトリスは、
向かいのマンションに住む謎多き男・ヴィクターの
とある「秘密」を掴み、これをネタに脅迫することで、
自分の人生を破壊した飲酒運転の張本人を殺害
するよう彼に指示するのだが…というあらすじ。

コリン・ファレル主演の本作は、「復讐」を
テーマにしたクライム・サスペンス・アクション。

殺してやりたいと心の底から憎んでおきながらも、
自ら進んで踏み込む勇気がない故にマフィアの一人を
恐喝して見せるなどという更なるリスクを犯す女と、
脅された男の方は彼女よりも遥かに暗く深い闇を
抱えていた…というキャラクター設定が面白く、この
時点で観客へのアピールが十分整っていると言えます。

顔や心に二度と癒えない傷痕を残した一組の男女が、
「復讐」というネガティブな感情の交錯と傷の
舐め合いを経たロマンスの最中芽生えていく真の愛、
そしてお互いに生きて新たな人生を模索したいという
ポジティブな感情が時に一方を生かし、時に一方を
争いの渦中へと巻き込んでしまうという、世の中の
矛盾やままならなさをよく描けていると思いますし、
復讐を完遂させるために最後の一歩を踏み出すことが
できないという状態を、人間的な「弱さ」から転じて
最終的には「誰も望んでいないことは奥底では
わかっていた」と、復讐の無常感や無意味さを通じ
「強さ」へと繋げる展開もかなり好印象でした。

しかしお話は上述の初期設定に寄っかかっている
部分がかなり大きいため、煮詰まり気味なプロットを
消化するための序盤が難儀で冗長だったり、素人連中に
マフィアやギャングが迂闊にも散々かき回されるという
ご都合展開の穴、クライマックスでは色気を使って
そこまでドンパチやらかす必要はあったの?なんか
作品変わってない!?等々、要所々々で突っ込みを
入れざるを得ない部分が点在してたりもします。

これらの穴を補おうと奮起しているのがキャスト面で、
何処か顔に暗い影を落とした頼りなさげな巻き込まれ型
主人公としては最早鉄板としか言い様がないコリン・
ファレル演じるヴィクターと、ポール・ハギス監督作
「クラッシュ」での印象も未だ鮮烈なテレンス・ハワードに
よる、大物ぶってはいるがあくまで中間管理職の
迂闊で残念なマフィア・アルフォンスの対決が
なんとなく話に説得力を持たせ、そんなことよりも
「プロメテウス」でリプリーに代わって新たな強すぎる
女主人公を演じて見せたノオミ・ラパスが、スカーフェイスの
ヒロインを堂々たる姿で振る舞い、彼女の持つ暴力的かつ
退廃的な奇妙なエロスや、女性本来の繊細さや力強さが
作品に異様なまでのエネルギーを賦与しており、本作の
キモは彼女の存在に集約されていると言っても過言では
なく、彼女のために本作を観る価値はあると言っても良い。

初期設定で観客の目を引いてそのまま突っ走る作品と
言えば最近では「崖っぷちの男」、無意味な血みどろの
復讐譚を見守る作品と言えば「完全なる報復」で、本作も
また洗練された完全無欠の名作とは決して言いがたい
けれども、エンタメ方面への色気の使い方も含め、
必要最低限の楽しみは保証された佳作と言えましょう。

全てのアホ共のクソのついたケツに!

新作レンタル「悪の法則」を鑑賞しましたので、
本日はこの作品のレビューをしたいと思います!

恋人・ローラとの婚約を取り付けた弁護士の男は
順風満潮な人生に見えたが、その裏ではドラッグ
ディーラーのライナーと新たにビジネスを開始した。
しかし彼の預かり知らぬところで2000万相当のブツが
何者かに盗まれてしまい、突然彼と彼を取り巻く
人々は窮地に立たされることに…というあらすじ。

巨匠リドリー・スコット監督の最新作は、マイケル・
ファズベンダーにペネロペ・クルス、ハビエル・
バルデムからキャメロン・ディアズ、果てはブラッド・
ピットに至るまで華のあるオールスターを揃え、
麻薬裏社会を描いたサスペンス・スリラー映画。

とある「名無し」の弁護士が何の因果か世界の無常さを
まざまざと見せつけられるというのは、「ゴースト
ライター」に代表されるロマン・ポランスキー的で
あったり、ハビエル・バルデム出演作という意味では
「ノーカントリー」のコーエン兄弟、メキシコと
アメリカの国境で繰り広げられる麻薬戦争ならば
「トラフィック」のスティーブン・ソダーバーグと、
往年の名作クライム・サスペンスを幾つも連想させ、
豪華キャストによるエンタメ性溢れる展開で観客を
魅了しつつ、迫り来る静かなバイオレンスで背筋を
凍りつかせるアプローチをリドリー自身も挑戦して
みたいと思ったのが本作という感じなのでしょうか。

要所要所で会話に小粋なポップカルチャーを交えて
キャラの輪郭を強める手法なんかはタランティーノの
「レザボア・ドッグス」ぽかったりと、監督なりに
色気を使い、一貫した画面への気配りが伺えるのですが、
ゴミと砂塵の渦巻くメキシコという不毛の地における
アトモスフィアに対し、リドリーの持つ「巨匠」という
風格はあまりにもお上品過ぎる気がして、これが例えば
「トゥルーロマンス」や「マイ・ボディガード」を
撮り上げた弟のトニースコットなら、本作をどう料理
しただろう、というところに想像が及んでしまうのですね。

動物には狩る者と狩られる者がいて、自らを仔兎だと
思うのならば、社会という檻の中で善人として振る舞う
べきだ、という教訓が多分に含まれていると思いますが、
あまりに理不尽な世の中を描写している割にそれが
作品という一つの小さな箱の中で綺麗に完結している
ことを、よく出来た話と思うか物足りないと思うかで
本作の評価が二つに分かれるような気がします。

主人公である名無しの弁護士はあくまで名無しとして
背景が殆ど語られず、同時に転がる草のようにただ
状況に弄ばれているだけなので感情移入できず、
結末で「勝者」が口にする思わせぶりな台詞を
出すだけ出して幕というのは個人的には残念。
フェルナンド・メイレレスの名作「ナイロビの蜂」の
ような、世界の理不尽にたった一人対抗するには
愛のために己の命を燃やすことだ、というお膳立てが
最後の最後でようやく揃い、ここからがようやく
スタートに立ったところだ!とは思うんですが、
この弁護士じゃ多分無理だろうな…とも思っちゃう。
現実じゃ麻薬組織が映画の比になんかならない酷い
ことをやってるなんて話は幾らでも耳にできるの
だから、そこを超越して一矢報いるだけのカタルシス
まで描いて欲しかったというのが正直な感想。

そんなわけで、本記事に述べた数々の名作に比べると
「悪の法則」は今一歩パンチの弱い作品な気がします。
世界情勢的に今メキシコが熱い!ということでそれに
乗った感じもあると思うんですが、近年活躍が目覚ましい
中南米系映画監督と、彼らが本来持っている「熱さ」を
持った作品へ触れる機会も多くなった昨今、リドリーという
監督が本来持っている無機質で冷たい質感と、本作で扱った
題材には、いささか噛み合わない違和感があったのでは?

追記。
脚本が「ノーカントリー」と同じ人だったのね。
そりゃ似たような印象覚えるわけだ。
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マイケル・チバ

Author:マイケル・チバ
シルバーレイン
マイケル・チバ(b30277)
薬師寺・米(b41960)
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現在はエンドブレイカー!
マーヴィン・ジェント(c06527)
にて稼動中。

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