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山の方をサンダ、海の方をガイラと名付ける!

国内外を問わず非常に高い評価を得る特撮映画
「フランケンシュタインの怪物 サンダ対ガイラ」。
「パシフィック・リム」の影響もあって、そろそろ
鑑賞する時が来たのではないかということで、今回は
この作品のレビューを行いたいと思いまーす!

東京湾に突如現れた、人喰いの巨大なモンスター。
その姿形が、かつて日本で研究されていた、不滅の細胞を
持つ人造生物「フランケンシュタイン」に酷似していた
ことから、所長のスチュアートが糾弾の槍玉に上げられる。
しかしフランケンシュタインによくなつかれていた助手の
アケミには、彼が人間に危害を及ぼすなどとは信じられず、
所長と共に自ら事態の解明に乗り出すこととなる。
しかし有力な情報や証拠も遅々として入手できないまま、
怪獣は日本本土へと上陸してしまい、なし崩し的に
自衛隊との徹底抗戦が開始されてしまうのだった…
というのがおおまかなあらすじ。

本多猪四郎と円谷英二という、日本の特撮界における偉大な
先駆者である二人のコンビで撮られた怪獣映画が本作品。
雷鳴轟く荒れ狂う海をバックに、二匹の怪獣が漁船を挟んで
対峙する…というオープニングはまさに「パシフィック・リム」が
丸々オマージュしていたという事実に笑うのですが、
悪の怪獣を倒す正義の怪獣かと思いきや、実は両方とも
人間を食べるために食料の奪い合いをしていただけだった…
というショッキングな演出も鮮烈な印象を与えてくれます
(「俺のイェーガーはKAIJYUから漁船を救うんだぜ!」という
デルトロ監督のドヤ顔が浮かんでくるようでまた微笑ましい)。
その他タンカーを武器にする、海底火山で大バトル等、
これでもかとパシリムのパクリ元が判明するわけですが、
パシリムに限らず、特撮における基盤の殆どは66年公開の
本作で既に構築され、完成しているという点に驚嘆。

さておき、怪獣の出現から「人造生物研究所が京都に存在する」
という設定をさらっと出してくる、突飛かつスピーディーな
展開にも吹きますが、何故怪物が人を襲うのか?そしてもし
怪物がかつての研究対象でないならば、今暴れている怪物の正体は
一体誰なのか?という謎を追いながら、視覚的には大破壊バトルで
大衆の目を楽しませてくれるエンタメ精神にも感心させられます。
しかし傍目には派手なエフェクトにも関わらず、「人間の都合で
勝手に産み出された生き物」が「人間の開発した超兵器で虐げられる」
様には爽快感が薄く、むしろ悲壮感の方が際立って見え、
これこそが本田と円谷の描きたかった本当のテーマなのでしょう。

本作を通して背景から透けて見えるのは、戦争を経験した後に
高度経済成長期のまっただ中にあるという、激動にして特異な
舞台に立たされた日本人の視点から描かれた、急進的な
国家主義及び資本主義の危うさであり、加えて地震大国と呼ばれ
原爆も経験したからこそわかる、理不尽な暴力に対し、己を
過信した科学にる武力で抗うことへの虚しさと愚かさです。
特撮において、人間は徹底して無力な群衆として描かれることが
基本のように思われますが、それは大災害に対しそれが
過ぎ去ることをただひたすら待つか、或いは自らが生み出して
しまった超自然的な脅威の罰を身をもって受けなければいけない
という業の顕れであり、結局は時としてウルトラマンのように
偶像的に顕現する、「神の奇跡」や「大自然の愛」に期待する他は
ないという無常感を、改めて見せつけられているようでもあります。

本作発表から既に半世紀近い現代、日本は今こそ全体主義的な
警察国家の誕生が危惧されていたり、ipsだのstapだの未知にして
禁忌にも成り得る医療分野へ足を踏み入れようとしており、現実に
サンダとガイラが生まれる事態に陥る可能性もないとは言い切れません。
本作ではサンダとガイラが人間そのものの姿の映し身ともなっていて、
地球を滅ぼし兼ねない強大な力を持っているその生物に残された
唯一の希望が、「ヒューマニズム」だということも示しています。
丁度今このタイミングでこの作品に触れたというのは、改めて人類の
立場や存在意義を問う上で大いに意味があったように思えます。
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鉄あるところに錆あり!

「アイアン・フィスト」っていうとマーベルヒーローの
実写化だと普通思うだろ誰だこの紛らわしい邦題つけた奴ぁ!
というわけで本日はこの作品のレビューをしたいと思います!

中国の山奥の寒村「叢林」。
国の金塊を輸送するにあたり、皇帝は凄腕の武術集団として
知られる「猛獅会」にその護衛を依頼するが、野心溢れる
門下生、銀獅子と銅獅子はこれを機に金塊の強奪を企て、
あろうことか師匠・金獅子を暗殺し、会を乗っ取ってしまう。
欲望の限りを尽くす横暴な集団と化した猛獅会は、
金獅子の一人息子、「Xブレード」の異名で知られる
ゼン・イーもその手にかけようとするのだった…
というのがおおまかなあらすじ。

ヒップホップ集団「ウータン・クラン」のリーダーであり、
クエンティン・タランティーノとは「オタク映画同好の士」
としても知られるRZAが、自ら原案・脚本・音楽・出演・監督と
文字通り作品へ全面的に関わったカンフー映画が本作品。

ヒップホップをBGMにへっぽこ、しかし残酷カンフー演出で
始まるヘンテコなOPは、「NEU!」の「SUPER」で始まる
往年の名(迷)作「片腕カンフー」を連想させ、
「あかんやつやこれ!」と早速期待と不安でドキドキ。
そして「中国の山奥で何故か鍛冶屋をやっている流浪の
こくじん」というRZAの登場にも吹かされるのですが、
この映画、キャラの設定とストーリーが無駄に良い!

まず主人公の名無しの鍛冶屋は、敵味方もなく誰からも
武器の作成を依頼されるという職業特性により、
あくまで脇に立ちながらも舞台の状況を俯瞰して
解説できるという狂言回しの位置に存在していて、
しかし争いの火が強まると同時に自らもその業火に
巻き込まれ、単なる鍛冶屋から「復讐者」としての
転生を余儀なくされる…という展開が熱く、「なんで
こんな中国の山奥にこくじんがいるんだ」という理由も
(割りと無茶苦茶ながらも)ちゃんと説明がつく上、
後の伏線としてしっかり活かされるのも素晴らしい。

「復讐者」は一人だけではなく、師匠でもある父を
殺されたという一番主人公らしい復讐の理由を手にする
ゼン・イーや、謎の英国人…というかなんでか登場する
「ジャック・ザ・リパー」の敵か味方かわからない曲者な
彼の口から、自分が現れた真の理由が明かされることで、
「三者三様の復讐とそれぞれの敵」の輪郭がはっきりと
浮き上がり、これまで交えてきた複雑なストーリーの糸が
綺麗な一直線の道筋となってピンと張る構成もお見事!

端を固める登場人物も粒ぞろいで、娼館の主「黒蜘蛛」から
殺し屋拳法家「金剛」、夫婦の用心棒「双飛」といった
それぞれ独特の出自を持ったキャラクターが見せる、VFXや
ワイヤーアクションの大きく発展した現代の技術と、往年の
ショウ・ブラ時代を思い起こさせる、けれん味溢れる
コミカルな演出の融合に感動すると同時に、要所要所で
「キャラとしてやりきれることはちゃんとやる」ことにより、
心情や設定まで掘り下げてくるってんだからしゅごい…

役者陣も無駄に豪華な上に配役もよく考えられていて、
女好きのジャックにはこれまたリアルで女たらしとして有名な
ラッセル・クロウがドハマリの演技を見せているし、娼館の
女王・ブロッサムにはカンフーヒロインとしても申し分ない
ルーシー・リューが堂々と立ち回り、カメオ出演として登場する
「少林三十六房」等で知られるリュー・チャーフィ師父や、
「ブラックスプロイテーションの女王」として知られる
パム・グリアといった面子もB級映画マニアには嬉しい限り。
というか、パムが母親でリューが師父とかいう作中設定は
冷静に考えるとRZAのオナニー過ぎて吹かざるをえない。
肝心のRZA自体は殆どカンフーができないのだけれど、
宿敵として持ってくるのがWWEスターのバティスタで、
プロレスに持ち込んだのも実に好判断だと思います。

カンフー映画って、基本的に話を煮詰めすぎるきらいがあり、
その結果キャラのスタンスもコロコロ変わったりして
精神分裂具合がひどくなったりすることも多いので、
ここまで各キャラの立ち位置をブレさせず、しかもそれぞれ
見せるとこは見せてくれるっていうのがすごく完成度高くて、
まさかこんな面白い作品だったとは思ってませんでした。
あ、いや、あくまで「カンフー映画マニア」が思わず
唸ってしまうという内容であって、一般の評価は知らんよ?
「え、タランティーノの腰巾着みたいなRZAが映画製作?
どうせクソなんでしょ?」と舐めてかかってただけに、
良い意味で期待を裏切られたその反動もあるにはあるん
ですが、カンフー映画として見ると異例の奇跡の出来で、
観る前からバカにしてたのはほんとごめんなさいRZA。

長寿と繁栄を!

J.J.エイブラムス監督の最新作「スタートレック
イントゥ・ダークネス」を鑑賞しましたので、
本日はこの作品のレビューをしたいと思います!

かつては地球の危機を救った英雄、エンタープライズ号の
艦長ジム・カークは、己の運と直感に頼った独断専行が
原因で数々の規約違反を犯し、その任を解かれてしまう。
一方、かつて宇宙連邦にその身を置いていたという謎の男、
ジョン・ハリソン中佐は大胆不敵にも連邦本部を突然
襲撃し、ジムの恩師・パイクもその凶弾に斃れてしまう。
復讐に燃えるジムは総司令官マーカスの協力を得て、
ハリソンを暗殺するべく彼の潜伏先と目される惑星クロノスへ
潜入を行うが、そこは銀河列強種族クリンゴンの居住地と
しても知られていた…というのがおおまかなあらすじ。

「スターウォーズ」と双璧を成すスペオペ作品として
語られることも多いと思われる「スタートレック」。
実はその「スタトレ」に触れるのが私はこれが初めてとなるの
ですが、本作の鑑賞にあたり前作も一緒にチェックしました。

「JJトレック」とも呼ばれるらしい、新たに仕切り直しを
図った新生スタートレックは、高度な技術で武装された
宇宙戦艦を率いて突如地球と惑星バルカンに攻撃を仕掛けてきた
ロミュラン人の「復讐」と「タイムパラドックス」を背景に、
生まれついての反射神経と天才的操縦技術に優れた「右脳的」
存在であるジムと、何よりも論理を重んじる高い知性を備えた
「左脳的」存在であるスポックがお互いに反目しつつも、
数々の戦いを経るうちそれぞれに根付く「生存本能」に
気付かされ、同時に「愛と憎しみ」を受け入れることで
人間の、宇宙に息づく全ての生物の「可能性」を信じるように
成長していく…という、コッテコテなスペオペの定石を
踏まえつつも上質なストーリーでスタートを切りました。
ジムの父親・ジョージ役にマーベルのソーさんで馴染み深い
クリス・ヘムズワースを配し、主人公に流れる高潔な血を
演出する他、エンタープライズのクルーにはカール・アーバンや
サイモン・ペグといった「基本どこか情けないオッサン」を
配置するという、絶妙なキャスティングにもニヤリ。

続編である本作にようやく話を移しますが、まずはあまりに
ありふれたスペオペ演出のオープニングに一抹の不安を覚え、
そこから畳み掛けるように、地球を救ったという増長に加えて
己の才能に胡座をかくというチンカスプレイを早速かましてくれる
ジム、それに加え前作で辛くも救出されたキャラ・パイク提督が
冒頭の流れでご都合的にいきなり殺され、それが原因で突然興奮する
クソコテキチガイ属性までジムに追加されてしまい、結果として
重要なクルー、サイモン演じるスコッティを怒りに任せ艦から
下ろしてしまい、結果としてクルー全員を窮地に陥れてしまう
という、坂を転げ落ちるように悪い方悪い方へと向かう展開は、
正直観客から観ていても気持ちの良いものではありません…。

じゃあ何処までその損失を後半で取り返せるかというのが
重要かつ作品の見どころになってくると思うのですが、
遺伝子操作により誕生した優生種にして独裁者・カーンと、
彼を利用しようとした黒幕との板挟みにされたジム、
それぞれが三すくみの関係でわちゃわちゃやってる間に、
結局「規則と理性に従うべきか」それとも「感情に任せ
復讐に走るべきか」どちらが正しいのかも曖昧なまま、
「ジムとスポックがお互いに抱えたしがらみを乗り越え更に
深い友情を育む」というぼんやりした場所になんとなーく着地。
なんというか、カーンさん確かにやることに容赦がないのは
確かなんですが、でも地球人の悪意から生まれた被害者だし、
しかも主人公からも都合よく利用されてしまうアホの子なので、
人類に牙を剥く悪役になるのも「仕方ない」側面は否めなく、
最終的に「人類が勝利した」というトロフィーを獲得
するための便利アイテムに成り下がっちゃうのはなんか
モヤモヤするし、勿体無い使い方だと思ったんですよね…

「スペオペなんだからこんなもんでいいんだよ」って言うなら
これでいいのかもしれないし、「本来トレックなんてこんな
もんなんだよ」と言われたら全く反論の余地がない初心者なので、
自分が正当な評価を下せる立ち位置にはいないかもしれませんが、
個人的には前作の方がすんなり受け入れて楽しめたかなーと。
「スタートレック」や「スーパー8」を観た感じ、J.J.エイブラムス
という監督はコッテコテなテンプレに則った上で「何故そうなる!?」
という突っ込みどころを用意してくれる人だという印象なのですが、
今回はコッテコテを重視してあんまり意外性もないまま正直に
突っ走った結果、物足りなさを感じた部分はあるのかもしれない。
「おおーい!?」ってシーンは本作にもないわけじゃないけどね!?

ABCの階段でー

ちょっと気になったので地雷覚悟で踏んでみた
「ABC・オブ・デス」のレビューを行いたいと思います!

本作は26人のホラー映画監督に約5~10分という短い尺と
低予算、それからAからZまでのアルファベットを
それぞれに与え、頭文字として連想するタイトルで
製作された短編作品を集めたホラー・オムニバス。

そもそも本作が気になったのは、今最も邦画界で勢いがある
熱い監督だと私個人が勝手に思い込んでいる井口昇監督も
本作でタイトルを一つ担当していると知ったからでして、
元スカ映画監督という自らの特異な出身を活かした、
というかそれ以前に「これ本当にホラーなの!?」という
独自性が溢れすぎる世界観を爆発させ、期待に応えて
くれたと同時に異様な存在感を見せつけてくれました。
この時点で割と本作観た元をちゃんと取れたわーと満足。

全体で観てもA・B・Cあたりの監督のちょっと他に配慮
したような抑え目のスロースターターな展開から徐々に
爆裂していき(Fに井口昇監督がいるのも良い采配)、
あまりに奇をてらい過ぎたり芸術性に傾倒しすぎたり
するとホラーなのか疑わしいよくわからない作品ができて、
一方控えめにしすぎるとやっぱり無難で記憶に残らない
作品になってしまうという、個人々々の試行錯誤と互いを
見極めるためのチキンレースが透けて見えて大変面白い。
三つの作品がとある舞台で三つもネタ被りしたり、
Qとか無茶ぶりされたりWあたりの絶妙な位置に配されて
しまった監督が「こんなん無理や!」とぶっちゃけて
ヤケクソに走るのも傍目から見る分には楽しいよね!

終盤に行くに連れて監督も「失敗できない」という気概
からか、それぞれの作品に勢いと覚悟、そしてアイディアの
光る個性がプンプン臭ってきて、V以降のタイトルはどれも
特に見応えがあるんですが、Zはやらかしちゃった感が…
日本人アーティストの「西村喜廣」という監督なんですが、
一体どういう経歴なのかと思ったらジャパニーズホラーの
かなりの作品で美術や特殊効果を担当した方だそうで…
井口昇監督の殆どに関わっている右腕的存在らしいですが、
今回撮り上げた作品については正直井口監督の劣化コピー
という印象しか残らない演出な上、センスの欠片もない
不謹慎なネタが散りばめられ、つまらんを通り越して不快。
トリ任されて調子乗っちゃったんだろうね…
もしくはこのぐらい開き直らないと他者に追随した
上で大役を果たせないと思ったのかもしれないという
見方もできるにはできるけど、だが、許さん!

最後の最後で「あー…」にはなっちゃうんですが、個々の
作品評価は揺るがないというのがオムニバスのいいところ。
思った以上に粒ぞろいでさっくり観れるし、実は地雷
どころか良作の部類に入るんじゃないかと錯覚させられる
本作品、ホラー好きは話のタネに観ておくのもいいかも。

金の海だー!

何が「ハードラッシュ」だ馬鹿馬鹿しい!
洋題「Contraband」の映画がこれまたよくわからない
残念な邦題つけられていつの間にかレンタルソフトに
までされていましたので、本日はこの作品のレビューをば。

かつて凄腕の運び屋として知られたクリスは、妻と二児に
恵まれ今は警備会社でカタギとして生活していた。
しかし未だ稼業から足が洗えずにいた義弟・アンディの
ドジで一家はギャングから70万ドルの損失補填を迫られる。
そのため結局クリスは再び運び屋の世界に舞い戻り、
かつての仲間を呼び寄せパナマからニセ札を密輸する
一世一代の大仕事に取り掛かるハメに陥るのだが…
というのがおおまかなあらすじ。

かつては「ブギー・ナイツ」に端を発し、「ザ・ファイター」や
「テッド」を経て「駄目なおっさん役」というポジションを
着実に確立しつつあるマーク・ウォールバーグ主演の本作は、
魑魅魍魎渦巻く裏社会へ戻されてしまった運び屋が、数々の
陰謀と裏切りを切り抜け一発逆転を狙うクライム・アクション。

誰もが認める一流で引く手数多なクリスが足を洗ったのは
家族のための他、同じく大御所と知られながらも最後には
手が後ろに回った父親の存在があり、裏の世界から抜け
出したことは父親自身嬉しくそして誇りに思っている…
という主人公の背景設定から、身内の尻拭いのため再び
自分の手を汚さなければならなくなる…というきっかけへの
繋ぎ方で、「悪事に培ってきたスキルを泣く泣くフルに
活用することになる」という状況の演出はよく出来てます。

カタギのクリスに家族がいる一方、彼らを追い込むことに
なる麻薬売人の元締めギャングであるブリッグスにもまた
愛娘が一人いて、クリスの親友・セバスチャンはそんな
彼らの間をウロチョロしながら独り身で家族に飢えており、
同時にクリスの妻ケイトへ密かに横恋慕している…ってな
複雑な人間関係も、キャラの魅力を引き立てています。

誰もが悪人でありお互いがお互いを裏切る可能性を持ち、
それと同時に足を引っ張る馬鹿が至るところに配置され、
時にはプロと言いがたいようなあまりに迂闊で危険な橋を
渡らされることもあるというスピード感もなかなか良し。

んじゃあ何が腑に落ちないかっていうと、最終的には
どこかで主人公が待ち受けていなければならないはずの
「罰」とか「償い」という概念が希薄で、こんなあっけらかん
としたハッピーエンドのフリしていいのかなー?ってこと。
そもそも義弟が運び屋を止められなかったのは元々
クリスと一緒に仕事をしていたからという理由があり、
即ち彼にも言い逃れできない責任の一端があるわけです。
その上で彼は昔の仕事に舞い戻ったことにあろうことか
思わず「ワクワクしている」と漏らしてしまい、だが
時を同じくしてギャングの暴力の矛先は、全く事件に関与
していない妻と二人の息子にも向けられてしまいます。
彼が発した不用意な発言に対して彼自身が「心の底から
後悔する」という瞬間が用意されていないし、全く懲りない
様子のまま締めてしまうのは、見た目スッキリ中身モヤモヤ。
大体が今回はたまたま上手く切り抜けられただけで、
いつかはまたギャングが、商売相手が、親友が、父親が、
義弟が、どんなきっかけで再び彼を闇の世界に引き込み、
家族を脅威に晒すかは全くわからないわけです。
そういう中で、散々虐待されまくった妻が最後まで夫に
連れ添うのは展開に無理があるというか、ちょっと女とか
家族とかいう存在を舐めとりゃーせんかと思う。
確かにそれぞれの要素は万一次回作が作られた場合の
フリにはなると思うんですが、このまま続編が出ても
観たいかと言われたら私はそうは思わないすぎる…。
「96時間リベンジ」みたいな失敗作も前例にあるし。

「家族を守る」という前提がありながら今ひとつ煮え切らない
感じで終わっちゃったのは、妻を徹底的なイノセントであり
被害者として描いておきながらも、結局は犯罪者との同居
というオチを選ばせてしまったというところにあるかも。
例えば「トゥルー・ロマンス」のように、女性も愛のため
ならば犯罪にどっぷり首まで浸かるという「覚悟」さえ描いて
いたら、観客の受け取り方もまた変わってたんじゃないかな…と。

キャラ一つ、描写一つで映画の舵の切れ方が大きく変わる
という意味では、なかなか面白い体験ができたのかもしれない。
或いは、クライムアクションかクライムサスペンスか、
どっちに重きを置くか悩んだ末に二兎を追った結果なんとも
中途半端な出来の作品になってしまっただけかもしれない…

人生は愛か戦争だ

万年リピート視聴確定の「シュガーラッシュ」はさて置き、
今年一番に観る映画は何がいいだろうということで
手にとったのが、本日紹介する「きっと、うまくいく」!

10年前、両親の要望と期待のままに、エンジニアとなるべく
エリート大学へ入学させられたファルハーンとラージューは、
かつての同級生・チャトゥルが当時強引に取り付けた
「とある約束」のため古巣・ICE工大の校舎へと戻ってくる。
三人は卒業と共に行方を行方をくらましてしまった親友・
ランチョーの足取りを追って彼の生い立ちを知ると同時に、
当時の甘く苦い青春の追憶にも浸ることになる…というあらすじ。

ラジニ様の「ロボット」も記憶に新しい、今ハリウッドが新規
開拓分野として熱い視線を送りつつあるとされるインド映画。
本作ではお馴染みのダンスもほどほどに、「ロボット」や
「ラ・ワン」で見せたVFXアクションからうって変わった
奥深い感動の青春ドラマを演出することにより、インド映画が
持つジャンルの手広さと潜在的な可能性を見せつけてくれます!

物語はというと、天才的頭脳を持ちながらも規則には反抗的な
青年・ランチョーとその二人の親友の熱い友情を軸に描いていく
ということで、初見「グッドウィル・ハンティングか!」と
思わず突っ込んでしまいそうになりますがそれは早計というもの。
かつては第三世界と呼ばれたアジア諸国が急速な発展を遂げ、
それと同時に失われつつある、かつての文化とその教えの価値観を
改めて思い起こさせてくれる、深くてありがたいお話なのです…。

さて、「高度経済成長期のバブルに支えられた」「学歴社会の弊害」
という言葉で表せばお分かりの通り、実はテーマそのものは日本人に
とって既に通過した道であると同時に、未だその深い爪痕が遺した
トラウマに悩まされている問題でして、だからこそコッテコテな
昭和臭に溢れた舞台や登場人物が懐かしく、慣れ親しみやすい!
社会の規則に囚われ凝り固まったクソコテ学長が主人公を退学に
追い込もうと執心する傍ら、主人公が惚れてしまった生意気美人は
実は学長の愛娘でもあった…なんて設定、今時逆に珍しいよ!?

インドの大地にたゆたうガンジス川のような、大らかな心を持ち
人生を悟っている風でもある「ランチョー導師」の教え自体も、
「暗記と得点だけの学問に意味はない」「自由な発想とその科学は
人類をより高みに導くものでなくてはならない」といった、有り体に
言ってしまえばありふれた、凡庸なものかもしれませんが、一方で
学歴社会に殉じ、それを信奉することそのものを根底から否定する
わけではなく、努力すればそれだけの見返りはあると提示してくれる
懐の広さと優しさまで持ちあわせているのが、本作で評価するべき点。
この辺、観客は「俺の人生にもランチョーがいればまた変わっていた
だろうか…」と思いたくなる傍ら、ランチョーと反目し、己の道を信じて
突き進んだ結果人並み以上の資産と名声を勝ち取ったチャトゥルの
存在が、ありもしない奇跡にすがる甘えは許されず、あくまで努力
なくして成功はついてこないという厳しさの象徴にも置き換えられ、
それぞれの着陸点の見せ方と、それを通じた教えまでお見事。

そしてどんなに学術に長けた主人公でさえも、色恋にあっては
人並みの臆病さを見せ「人は誰しも些細なことに悩む生き物だ」とし、
また「無重力下で使えるボールペンが作られたが一方ロシアは鉛筆を
使った」という有名な小話を通じ「人は誰しも間違いを犯す生き物だ」
として、「完璧な人間などいない」と前提しておきながらも、お互いが
それを許す「寛容さ」さえあれば、妥協のない「納得」の向こうに完全な
世界があるという展開及びラストの締め方も本当に素晴らしい!

青春の1ページを切り取って、社会のままならなさとそれに抗う
人間の美しさを見せ、輝ける人生の美しさを描き切った名作!
青春映画としての出来は歴史に残すべきと断言してもいい
金字塔的作品ですので、文句なしにオススメしたい一本です。
そしてこれを今年最初に観る映画に決めて、本当に良かった!

HAPPY NEW YEAR 2014

あけましておめでとうございます!
昨年は大変お世話になりました、
今年も何卒よろしくお願い申しあげます。
2014_nenga.jpg
ヴァネロペちゃんのような躍進の年に
なることを願って精進していく所存です。

日の出観に行くまで結構ヒマがあるので
後で年明け一発目のシュガーラッシュ観る。
プロフィール

マイケル・チバ

Author:マイケル・チバ
シルバーレイン
マイケル・チバ(b30277)
薬師寺・米(b41960)
を経て、
現在はエンドブレイカー!
マーヴィン・ジェント(c06527)
にて稼動中。

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