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I LOVE US

映画通や映画オタクの間で評価が高いと聞く
「(500)日のサマー」を鑑賞しましたので、
本日はこの作品のレビューをしたいと思います!

グリーティングカードライターとして働くトムは、
いつか運命の女性が自分の元に現れると信じ、
そして新入社員のサマーこそがその人だと思い込む。
あの手この手で彼がアプローチを努めた結果、
気まぐれで変わり者の彼女のハートを一ヶ月で
射止めることに成功するのだが…というあらすじ。

「最初に断っておくが、これはボーイ・ミーツ・ガールの
ストーリーであっても決してラブストーリーではない」
というナレーションから入る本作品は、どこにでもいる
冴えない青年・トムと、平均的な容姿をしながらも、
どこか男性を惹きつけて止まない不思議な魅力をたたえた
女性・サマー、二人の出会いとその顛末を描いたドラマ。

主演にはこれが出世作になったというジョセフ・
ゴードン=レヴィットで、どこかチャイルディッシュで
童貞臭さがぬぐえない彼の風貌と演技が、本作の雰囲気を
構築する上で大きく貢献しているのは間違いありません。
監督はミュージックビデオ出身であり、本作が長編映画
デビュー作だというマーク・ウェブで、学生のような切ない
ラブ・ロマンスの本作を描いたことがきっかけとなり、
後に「アメイジング・スパイダーマン」監督を任される
ことになったのだろうというのも想像に難くありません。

さて、そんな本作で着目すべき目玉はと言うと、
クリストファー・ノーランを連想させる、時系列を
カットアップして複雑に再構築した脚本と、それを
効果的に見せる、ミュージックビデオ監督ならではの
自由な発想に基づいた様々な映像技法、これに尽きます。

物語自体は、有り体に言ってしまえば、一組の男女が
見解の相違からくっついたり離れたりするだけの話でしか
ないわけですが、物語の構築の基本「起承転結」の
見せ方が面白くて、「起」から描き「結」は隠すと
いうところまでは同じでも、「ボクとサマーの付き合いを
描いた500日」というカレンダー形式で進行させていく手法を
最大限有効活用し、「好きな女の子と結ばれてバラ色の人生」と
「好きだった女の子と上手く行かなくて灰色の人生」を交互に
描くという「承」の展開が、トムの悲喜劇の度合いを強めると
同時に、あらかじめ提示される情報量が多い分、隠された
「転」と「結」に興味をぐいぐい引っ張られる形に。

じゃあってオチはというと、これも実はお話的にそんな
突飛なものではないのですが、童貞臭い主人公「トム」の
これまでに蓄積してきたキャラクター性が最高に炸裂する
シーンでもあり、今まで自分と同じく冴えないオタクな面子に
囲まれ、女性の知人で親友と呼べる子は小学生に一人だけ
(これが名子役クロエ・グレース・モレッツなのもたまらない)
だった彼が、「あ、ああ…そうだよね…だって俺一人が勝手な
思い込みで盛り上がって暴走してただけだもんね…」と
ふと我に返らざるを得ない展開は、人間誰もが人生で一度は
するであろう苦い経験で、大いに共感を呼ぶことしきり。
そこから転じて「人生は理屈じゃねえんだ!」「いや…
やっぱ理屈かな?」「あ…あれ…どっちだ!?」という
畳み掛けによる感情の揺さぶり方も本当によくできていて、
狂気の練り込みによる脚本には感心する他ありません。
この、ひとしきり凹んだ後「うわはははーっ!」って
吹っ切れつつも結局「うん…うん?」ってなったりする
終盤の展開は、若干の島本漫画臭がしないこともない。

ちょっとこすい分析をすると、「本当に自分がほしい物は
手に入らない」「でも努力をすれば光はある(かもしれない)」
「あと自分を慕ってくれるロリがいる」といった、オタク
特有のこじれた悲観・楽観・願望が入り乱れ、その要素が
一通り揃っているのも、本作が映画オタから高い評価を
得ている理由を裏付けているのではと思いました!

あと、監督のマークが後に「スパイダーマン」の監督を、
主演のレヴィットが「バットマン」出演を果たす他、
トムの務める会社社長には「アベンジャーズ」の
「サイン欲しいマン」ことエージェント・コールソン役
クラーク・グレッグが出演していたりするところにも、
やっぱり何かオタクを惹きつける要素があるのかもしれない。
そういや、クロエグレースモレッツだって「キックアス」の
ヒットガール役だもんね…俺彼女と結婚するまで童貞守る!

「映画史に名を残すかどうかはともかく一般大衆から高い
人気を誇る」という形容がすっぽり当てはまるような、
カジュアルに親しめる味の映画なので、是非オススメしたい!
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全く怖くない怖いもの知らずの怖がらせ屋

新作ソフト「モンスター・ユニバーシティ」を
鑑賞しましたので、本日はこの作品のレビューをば。

チビで一つ目の怪物・マイクは、全く怖くない外見と
裏腹に、将来の夢は「怖がらせ屋」となることだった。
必死の努力を積み「モンスター・ユニバーシティ」の
門戸を叩く彼は、そこで名家出身にして体格にも
恵まれた、生まれついての天才怪獣・サリーと出会う。
どんなに頑張っても外見のハンデを埋められないマイクと、
一方で己の才能によりかかり努力を知らないサリーの二人は、
いつしか揃って「怖がらせ学部」を追放されてしまう。
初対面の時から全くウマの合わない二人だったが、ある時
学部復帰を賭けて「怖がらせ大会」へ参加することとなり、
落ちこぼれ集団のクラブ「ウーズマ・カッパ」と共に
猛特訓を積むこととなるのだが…というあらすじ。

01年に公開されたピクサーのCGアニメ「モンスターズ・インク」
から12年という時を越えて製作されたまさかの続編が本作品。
前作はモンスター界で必要不可欠な電力のため、人間界の子供の
「悲鳴エネルギー」を集めるという危険な作業を行う企業
「モンスターズ・インク」における史上”最恐”のコンビ、
怖がらせ屋のサリーとそのマネージャー・マイクのドタバタ活劇を
描いたのに対し、本作はその二人がどういった経緯で出会い、
コンビが形成されていったのかを描いた前日譚となっています。

前回はモンスター界にうっかり迷い込んでしまった少女を
サリーが成り行きで保護することになり、「怖がらせ屋」が
生業の怪獣でありながらも、本来は気は優しくて力持ちという
側面を見せていく彼が立場的には主人公だったわけですが、
あくまで社会のしがらみに捕らわれてしまうリアリストで
ありながらも、同時に夢を追うことも諦めない努力家タイプ故に
その二面性に苦しみ、しかもツンデレホモという性格の相棒・
マイクの方に人気の比重が行くは当然であり、それを受けてか
今回は彼を主人公に据えた波瀾万丈のストーリーが描かれます。

「モンスターズ・インク」がモンスター世界の一つの大きな
変革に至るまでを描いた作品であり、ひとまずのハッピー
エンドを迎えてしまっているので、今回は「それはそれ」
として置いておいて、キャラクターの基本設定を持ってきて
より更に深く掘り下げる、ストーリーよりは世界観を楽しむ
作りになっており、この辺は「過去編をやるしかない続編モノ」
には最早宿命と言ってもいい、避けられない道ですね。

しかし前日譚ということで決まったオチが用意されているだけに、
その結果に至るまでの過程を描く自由度と、それを扱うために
払った注意の練度は非常に高く、特にマイクがどうして
「ツンデレホモ」になったのかの理由が本作であますところなく
語られ、その要素であるホモのナード集団「ウーズマ・カッパ」と
可愛いツンデレババア「アビゲイル学園長」に萌えると同時に、
実は入学当時はいけすかないジョック野郎だったというサリーや、
うぶで気弱だったランドールがどうしてこじれていったのかという
ありふれたテンプレ展開も安心して観れ、気持ちがいい。

「史上最恐のモンスターになることが至上であり命題」というのが
本作のゴール地点であり、それが後の彼らにも繋がる以上、彼らが
そこに向かって一直線に突っ走るのも当たり前なんですが、でも
「それは誤りだった」と証明されてしまう展開も究極的には待ち受けて
いるわけで、必要以上にそこのテーマを持ち上げてしまうのも問題が
あるっていうのが本作が根本的に抱えた最も難しい部分であり、
確かにみんな間違った価値観に突進してるのは正直どうなんだろう
っていう違和感もあるにはあるんですけど、「努力する天才」の
マイクを主人公にすることでそれらの緩和にいくらか貢献して
いるのがやはりピクサーは計算高いというか抜け目がないというか。

続編モノという点も踏まえ、あくまで観客はキャラ萌えに
徹するべしという完全に前作ファン向けに作られた作品なので、
面白いには面白かったけど、ストーリー的な感動はちと薄い。
いや、キャラ萌えとしてだけでも十分観る価値はあるけどね!

人生は祭だ 共に生きよう

名作と名高い63年のイタリア映画「8 1/2」を
鑑賞しましたので、本日はこの作品のレビューをば。

映画監督のグイドは過労によって温泉治療を施す傍ら、
温泉地で尚もスタッフから最新作の製作を迫られていた。
彼が様々な美しい女性に囲まれ、色恋に妄想を走らせて
いる間にも計画は膨張と空回りを繰り返し、次第に彼は
のっぴきならない状況へと追い込まれていく…
というのがおおまかなあらすじ。

イタリア映画の巨匠…とは言われちゃいるんですが、
実は私が彼の作品に手をつけるのはこれが始めての
フェデリコ・フェリーニ監督、そしてまた名優と
名高いマルチェロ・マストロヤンニ主演の本作品は、
元々浮気性と妄想癖の強い男が追い詰められ、現実と
虚構を行き交う様をシュール・レアリズムたっぷりに
描いたラブストーリーにしてヒューマンドラマ。

渋滞に巻き込まれた男が余りある不快感に耐えかね
その場から逃げ出すという、「フォーリング・ダウン」は
これそっくりそのままパクったんじゃないかと思える
オープニングから始まって、どうやら主人公らしい
グイドという男は湯治を受けていて、そして映画業界
関係者らしいという、可能な限りキャラ設定の説明を
省いているため観客は「らしいらしい」で各キャラの
成り立ちや相関図を推測するしかない一方で、「これは
前衛映画として失敗作となるかもしれない」等と、
作中の状況に応じて本作品そのものの趣旨が入ったりと、
試みや手法そのものは確かに趣きがあり興味深いのですが、
このスタイルを最後まで貫き通すので戸惑うことしきり、
理解が追いつかなくてラスト手前までは正直しんどい!

しかし、追い詰められた男が一つのある種の「死」を迎え、
「無駄な創作をするぐらいならいっそ破壊してしまえ」
「この世に残すほどの価値がある作品などあるものか」等と、
慰めとも罵倒ともつかない言葉をかけられ、それが転じて
「ゼロからの再起」に繋がるという演出を通すことで、
仕事に追い回され、美しい女に囲まれるという、一見荒唐無稽で
まるで筋道が見えなかったストーリーこそ、「この筋書きのない
ドラマが人間の人生、一生ではないか」と改めて気付かされ、
俄然彩りのある感動の輝きを放ち始めるのが最高に美しい!
そして同時に、観客に最低限作品とその展開を理解させるために
挿入されてきた説明的台詞が蛇足に思えてくるのも面白い。

「映画こそ人生」「人生こそ映画」という優しさと美しさ、
そしてラストの演出まで含めて「蒲田行進曲」を思わせ、
肥大化したプロジェクト、しかも何故かロケットまで出てくる
という点が「幻の湖」すら暗示しているようでもあり、それらを
踏まえると、映画業界の縮図を描いて見せることで人生の縮図も
描くという、二重構造の大変深い作品になっていると思います。

最も、人間の人生は理屈をこじつけた時だけが意味を成すと
するならば、「本作こそが人生だ」と言うこと自体もこじつけで、
作品に散りばめられた様々な要素だって観客一人一人が
ああだこうだと各自適当に都合よく理由を大仰につけている
だけに他ならず、果たしてそれが本当に正しい意味なのか、
或いはそこに意味があるのかもわからなければ、本作を
「ただ難解に見せかけた退屈で凡庸な作品」と切って捨てる
人がいるとしたら、それもまた正しい姿だと思うのです。
正直、自分もほんと中盤あたりまで意味わからんくて眠くて
仕方なかったのが、ラストの演出がすごく好きだったから
突然化けたわけで、ここで「結局意味わからん」とか「自分には
受け入れられない」とか言う人がいても、それはしゃーなしだな!

それからもう一つ特筆しておかなければいけないのは、
本作がなんとなく最後まで観れてしまうのが、雰囲気だけでも
楽しめる「オシャレ映画」としてビジュアルに強く注力した
結果であり、主演のマストロヤンニのジゴロな色男っぷりが
様になっているなら、グイドの妻にしてヒロイン・ルイザ役の
アヌーク・エーメの貞淑な人妻という控え目な佇まい故に
かえって感じずにはいられない立ち上るエロス、そして
場面自体は少ないのにその強烈な美貌で観客を魅了する、
本人役で登場するクラウディア・カルディナーレ等々、
よくもこれだけ演技もこなせる美人をかき集めてきたなと
感心させられると同時に、主人公の妄想をありとあらゆる
舞台装置や特撮を用いて描写することで、浮遊感溢れる幻想的な
空間を作り出すことにも成功しており、いざ振り返ってみると
本作の狂気の作りこみと緻密な計算には戦慄させられます。

まあ、ほんと、前述した通り中盤まではほんとかったるいし、
受け入れられるかどうかは人次第なので、万人にオススメ
できる内容ってわけじゃないと思うんですけど、個人的には
ラストの演出で全てが許せ、そして名作の理由を実感しました。
BDで気軽に借りられるようになった今こそ、観て欲しいと勧めたい
反面、「いや、つまんなかったけど」とか返されるとそれはそれで
ムッとしそうなので、自分の中だけのプレミアム感を大切にしたい。

俺が…俺たちが兵器だ!

特に他に観るものがないから新作というだけで
レンタルリストに放り込んでおいたのに、なかなか
発送されずにイライラさせられた映画「オブリビオン」を
鑑賞しましたので本日はこの作品のレビューをば。

突然飛来し、月を破壊した謎の宇宙生命体「スカブ」との
核交戦により、人類は勝利と引き換えに地球を荒廃させた。
残された人々は土星への移住計画を着々と進行させていたが、
未だ反抗が根強いスカブ残党を狩るため、ジャックとヴィカは
たった二人で広大な土地のパトロール任務にあたっていた。
ある時ジャックは任務中、宇宙から砂漠へ墜落した地球製の
緊急脱出ポッドと、冷凍睡眠カプセルを発見する。
そのカプセルの中には、ジャックが毎晩夢に見る、しかし
現実には一度も出会ったことがない女性の姿があった…
というのがおおまかなあらすじ。

「トロン・レガシー」のジョセフ・コシンスキー監督が
トム・クルーズ主演で撮ったSFスリラー映画である本作品、
「異星人との徹底交戦」によって荒廃してしまった地球と、
残されたハイ・テクノロジーを壮大なスケールで描くことが
セールスポイントとなっているわけですが、そのビジュアル
こそが本作の全てであり、ぶっちゃけてしまうと正直
ストーリーの中身はスッカスカだしそれを水増しした話の
進行スピードもえらくスットロく、中盤以降はかったるい。

壮大な世界観さえ楽しめればいいんだよっていう人もいるかも
しれないんですが、それに対して立ちはだかるのが主演のトム・
クルーズの存在で、最近では「アウトロー」でも見せていた
徹底した「俺サマ至上主義」、この所謂ミー・イズムに溢れた
自己顕示欲の塊みたいな男が、本当いつも何処かしら画面の端に
映っていなけりゃ気がすまないとばかりにチラチラチラチラ
登場するので、彼のファンじゃなきゃうざったいことこの上ない!
ストーリーの核心に迫る設定まで「トム・クルーズ最強説」
極まれりで、ここまで来ると逆に拍手したくなってくる。

スリラー部分の種明かしは「ああ、そうだろうね」という
SF作品では今更全く物珍しくもない予想の範疇内にある
凡庸なもので、昨今のVFXの進歩でようやくその世界観を
映像として再現できるようになったからやってみた以上の
内容でしかなく、じゃあそれは置いといてアクションシーンに
目を向けてみるとこれはこれで撮り方クッソ下手クソ過ぎる!
完全自立型殺人マシン「ドローン」との交戦シーンが目玉に
なると思うんですが、モブを殺る時とネームドキャラと
殺り合う時で明らかに手心の加え方が違うだろおかしいだろ!
もっとめくら滅法に銃撃しろよなんで休むのねえナンデ?

「荒廃した地球」と「徹底管理されたシステム」という二点で、
序盤は「エリジウム」とも似た感触を覚えたのですが、
中盤以降はもう作品のジャンルとかそんな瑣末な垣根を
超えた「トム・クルーズの俺サマ映画」以外の何物でもなく、
トム・クルーズのファンでもないのにこの映画を観てしまった
俺の方に非があって、そしてまたどうこう言える立場では
ないような気がしました、本当に申し訳ございませんでした。

ユーアージーニアス!ユーアージーニアス!

予告編を観て気になった映画「ルビー・スパークス」を
鑑賞しましたので本日はこの作品のレビューをば。

若くして文芸界にその名を知らしめたカルヴィンだったが、
その後10年はスランプに陥り全く筆が動かず、未だファンの
根強い支持がある一方で「一発屋」と嘲笑もされていた。
ある時、彼は精神科医からセラピーの一環として、最近彼の
夢に出てくる女性をレポートにしたらどうだと勧められる。
夢の中で「ルビー・スパークス」と名乗ったその女性に
ついて、寝食も忘れカルヴィン自身驚くほどのスピードで
小説に書き連ねるうち、なんとルビーは実在する人間として
カルヴィンや彼を取り巻く人々の前に現れたではないか…
というのがおおまかなあらすじ。

「リトル・ミス・サンシャイン」で知られるジョナサン・
デイトンとヴァレリー・ファリス監督最新作である本作品は、
「理想の女の子が小説から飛び出して僕の目の前に現れた!」
という、「はれときどきぶた」をラノベ寄りにしたような
ラブストーリーなのですが、予告編の時点で「突飛な設定で
目を引き」、同時に「どんなラストなのか気にさせる」という
キャッチーなセールスを観客に行えた時点で、映画として
まず一つの勝利をもぎ取ったと言っても過言ではありません。

さておき、「オタクな男と非実在系美少女のラブストーリー」
というと「スコットピルグリム」、ヘンテコな登場人物が
織りなすヘンテコな世界観は「ロイヤル・テネンバウムズ」に
代表されるウェス・アンダーソン、「もしかしたら既に主人公は
拘束衣に繋がれて真っ白い部屋に置かれているのかもしれない」
という、少し足を違えればホラーに突っ込むような危うい
バランスの上で成り立った、非日常の中の日常感は
「恋はデジャ・ブ」を連想させ、これまで様々なハリウッドの
監督が突飛な設定で挑んできたラブストーリーの系譜を
踏まえた上で、今の時勢に合わせた作品であると思います。

主人公のオタクが脳内設定で理想の女性をつらつらと紙に
書き連ねていたら、ある朝彼女が台所で料理をしていた…
なんて展開は確かに非常に安易で突飛でバカげているとは
思うのですが、それこそヒロイン・ルビーのツンデレな
揺さぶり方が本当に上手くて、「彼女がツンな行動をした
結果、主人公が彼女の実在を確信する」という展開が
卑怯すぎて、問答無用で泣けてくるからズルい。

キャラクターに深みを与えると同時に、虚構と現実の
境目を曖昧にするのに役立っているのがカルヴィンの
両親の存在で、ヒロインが具現化した一方、家族にせかされ
彼女を紹介するために主人公が実家を訪れると、両親は絵本から
飛び出したような家を構え、スローライフを楽しむヒッピーな
老後を満喫していたという、主人公の書く小説よりも遥かに
メルヘンな世界観に住んでいたという演出も面白い。

ルビーという不思議な存在を通じ、恋愛と創作両面の
共通点を重ね合わせ、物語を複雑な多重構造的に構成して
いるのも大変興味深く、自らの創作物に熱狂し、それが
自由気ままに動いている自然な姿をこそ本来愛していたはず
なのに、ある時点から作者にとって「気持ちのいい・都合の
いい展開」を望み、キャラクターを好き勝手に捻じ曲げた結果、
物語としてのオチを迎える前に創作としての死を迎えてしまう…
というのは、例えば長期連載モノの漫画等を読む読者視点として
見た場合、誰しも覚えがあり、経験したことがあるはず。

クライマックスから結末にかけては割りと予想の範疇内
というか、無難なところに落ち着いた感じがあって、
「リトルミス~」の荒唐無稽さ・破天荒さと比べて
しまうと若干物足りなくはあるのですが、とは言え及第点。
ただ、結局ルビーが何者で、どういうわけでカルヴィンが
「創作」できてしまったのかという説明は最後まで明かされ
ないままだったのが、「そこまで突っ込む必要はないでしょ」と
言う声もあるにはあるんでしょうけど、残念と言えば残念。

別に自分も明確な理屈を求めているというわけではなくて、
例えば上述の「ロイヤル・テネンバウムズ」ではそもそも
「テネンバウムズという架空の一家を扱った寓話」という
前提があったり、「スコットピルグリム」においては
「スコットの住むカナダのトロントはゲーム時空だから
つまりそういうことなの」みたいに割り切ってるし、
「恋はデジャ・ブ」に至っては「お祭りの日だからきっと
神様が奇跡を起こした」ぐらいの感覚でしかなくて、
要するに理由だとか整合性その他諸々なんかどうでもいいから、
ほんの一言だけ「なんでこんなことになったのか」を軽く
言ってくれさえしたら、話はもっと納得や想像、議論の
余地が深まったんじゃないかなーということで、この辺からも
創作物がさじ加減一つで如何に変わるかということが伺えます。

興味を引くには十分で、そして楽しむにも十分な出来では
あったけど、十二分というには少し詰めが甘い本作品。
「リトルミスサンシャイン」が奇跡の出来すぎたというのも、
あるにはある。

ターキーを撃とうぜ!

新作ソフト「ラストスタンド」を鑑賞しましたので、
本日はこの作品のレビューをしたいと思います!

麻薬王にして、今はFBI監視下にある死刑囚、
ガブリエル・コルテスが護送中に脱走をした。
彼はフルチューンのスタントカーを操り、数多くの
部下の手引きで一直線にメキシコ国境を目指すが、
そんな彼にもたった一つの、そして大きな誤算があった。
国境手前に位置するネバダ州の田舎町・ソマートンには、
かつて凄腕麻薬捜査官として悪人を震え上がらせた男・
レイが保安官として隠棲していたのだ…というあらすじ。

「ターミネーター3」以来10年ぶりになるという、
アーノルド・シュワルツェネッガー主演アクション映画の
本作品、メガホンを取ったのはこれがハリウッドデビュー
という新進気鋭の韓国人映画監督、キム・ジウン。

「ザルなFBIの警備をかいくぐって大悪人が逃げ出す」、
「しかしなんでもないクソ田舎にとんでもない怪物が
潜んでいた」、「しかもそんな彼をとあるきっかけから
怒らせてしまう」という、実にハリウッドナイズされた
テンプレ展開には安心を覚えるし、実際のところ観客が
シュワに期待するところとして「そうそうこういうので
いいんだよこういうので」という落ち着きはするのですが、
シュワ登場までの「こういう悪人がいるんですよ」という
紹介パートが若干冗長で、それこそこの辺りは10分20分
もっとバッサリカットして90分台にまとめちゃった方が
気持よく綺麗にまとまったんじゃないかなという気も。

ちょっと話は飛ぶのですが、本作を通じて連想するのは
彼もカメオ出演を果たした「エクスペンダブルズ」の
ことで、例えばスタローン一人では最早観客を魅せる
だけの動きを見せることができないという理由から、
開き直ってとんでもないアンサンブル作品に着手した
ことは英断だし、結果大成功を収めたわけで、一方では
ウィリスも同様に「RED」等といった作品でアンサンブル
キャストの一人に留まると同時に、最近では主演は控え目、
代わりにちょい役だけど主人公を影から支えるような重要な
脇役へとそのポジションをシフトさせつつあるように思います。
で、何が言いたいかと言うと、やっぱり元々大根のゴリラ俳優が
動けなくなったらピンで立ちまわるのはやっぱりしんどくて、
そうなるともっと舞台装置や設定をもっと有効に活用して穴を
埋めるよう努めるべきなのですが、中途半端で勿体無い!

その穴のうちの一つ、キャスティングなのですが、面子自体は
かなり充実していて、「あっこの人どっかで見たことある!」
というような絶妙な顔ぶれで固めてあるのが良い意味でのB級臭を
醸しだしており、FBIのダメなこくじんには「バンテージ・ポイント」の
フォレスト・ウィテカー、副保安官には「なんかいつも画面の隅にいる
メキシコ系の中年と言えばこの人」なルイス・ガスマン、武器キチの
変人には元から「ジャッカス」の変態っぷりで知られ、様々なB級
作品での出演でも名を連ねるジョニー・ノックスヴィルと、
アクの強い面子が画面に出る度楽しい気分にさせてくれるのですが、
最近では「アベンジャーズ」でも妙に強い印象を残したチョイ役、
ハリー・ディーン・スタントンがオープニングでもの凄く勿体無い
使われ方をしているのが惜しくて、シュワの「一人立ち」が無理
だったら、もっと「田舎のキチガイ大集合でこれにはマフィアの
みなさんもタジタジ!」みたいな話にシフトさせていた方が
もっと面白かったんじゃないかなーと思うんですよね。
田舎町のヘンテコな人々を描写してキャラを立て、中盤以降の
保安官たちが「俺たちがこの町を守るんだ!」というテンプレ展開の
結束を見せるなら、いっそ町人も巻き込んだら良かったのに。

ラストバトルで突然プロレス始めちゃうのも苦笑で、今のシュワの
すごくしんどそうなすっとろいアクションを延々見せられるのは
観客的にも結構色んな意味でつらいし、構図的にもレオーネ調の
ガンファイトで一瞬の決着つけてれば良かったんじゃないの!?
あと、折角凄腕麻薬捜査官という肩書きがあるんだから、ラストで
突然「お前の親父はもっと粘ったぞ!」とかそういう過去の因縁を
後付で出してきても良かったんじゃないかなーとか思っちゃったり、
なんか、ほんと、設定が生かしきれてなくて勿体無いったらない。
ラスボスの麻薬王ギャーブリエールも、一人で殆どのことが
立ち回れる厨キャラのくせに、じゃあなんでこんな奴がヘッポコ
FBIに捕まったのかっていう理由は特に出てこないし、ロートルVS
ガキンチョって構図にしたいのはわかるんですけど、やっぱり
カリスマ性が足りんので、「マチェーテ」のように悪のセガール
くらいは引っ張って来ないと釣り合いは取れそうもなくて、あと
キャスティングにサヴィーニやチーチマリンが欲しくなってくる。
流石に実際そこまでやられても困るけど。

なんかね、全体的に「ハリウッド映画ってこんなもんでいいでしょ」
みたいな妥協が見え隠れするというか、脚本や演出に狂気の
作りこみや情熱があんまり感じられなかったのですよ。
シュワが思うように動けない現在だからこそ、その取り扱い
には最新の注意を払わなければならないというのに…。
彼が牛丼みたいなB級アクション世界に再び戻ってきたということ
のみを喜ぶべきで、作品の出来に是非を問うてはいけないのかも。
プロフィール

マイケル・チバ

Author:マイケル・チバ
シルバーレイン
マイケル・チバ(b30277)
薬師寺・米(b41960)
を経て、
現在はエンドブレイカー!
マーヴィン・ジェント(c06527)
にて稼動中。

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