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悪魔の毒々アベンジャーズ

「愛、アムール」と一緒に観てきたのが「キャビン」。
よくよく考えるとすごい食い合せだわ…。
それはともかく本日はこの作品のレビューをば。

人里離れた山奥のキャビンで馬鹿騒ぎに興じる
男女五人の学生は、政府関係者と思しき謎の
組織によって秘密裏に監視・管理されていた…。
組織が巨額の予算と設備を投じたプロジェクトの
目的とは一体…?というのがおおまかなあらすじ。

「クローバーフィールド」のデビュー作でその名を
知られることになったドリュー・ゴダードが監督、
共同脚本には今や「アベンジャーズ」で一気に
不動の地位までのし上がったジョス・ウィードン。
そんな二人が今回挑戦したのは、未だかつて類を
見ない、観客の予想を尽く覆すホラー映画。

予告編を観た時点で、例えば普通に良作でも
逆にとんでもないクソ駄作でも、どっちに転んでも
「ろくでもねぇ~!」と安心して観れそうだという
ことで実際に鑑賞に踏み切った本作品、「今まで
誰もやらなかった」っていうのは「皆考えるけど
誰も行動には起こそうとは思わなかったんだよ」と
言い換えることもできる、頭の悪い中学高校生の
考えそうなプロットをそのまま映像化してしまった
ような内容に仕上がっていて、こんな作品が映像化
できるようになってしまったVFXの技術の進化と、
そしてハリウッドから巨額の予算が投じられてしまう
という現実がある意味一番ホラーかもしれない。

んで、「徹底的なリサーチにより尽く『お約束』を
外すことに努めた」という問題作「ザ・フィースト」や、
「ゾンビ映画の『フラグ』を踏まえることによって生存率を
高める」というある種のメタ的作品「ゾンビランド」の
系譜にあるのが本作品で、「お約束」の名の下に次々と
学生が殺されていくと同時に、「お約束」を踏み外す
ことこそ生存の道だと気づいた主人公たちが突っ走った
結果、とんでもない大惨事の展開へと発展してしまうと
いうのが本作最大の見どころであり笑いどころです。

しかし結局のところ、本作がとんでもないバカ映画に
仕上がっているのは、オタク映画オタを伺わせる
ドリューとジョスの、やり過ぎ感溢れまくりな悪ノリに
あって、「13金」や「死霊のはらわた」を思わせる
「あるある」で幕を開けたかと思ったら、中盤の
怒涛の展開で「ヘルレイザー」やら「ブギーマン」やら
「IT」やら何やらありとあらゆるホラー映画の殺人鬼を
一箇所に集めてブチ撒け、それに加えてなんでか
知らんけど「CUBE」っぽい演出も交えつつ最後は
「遊星からの物体X」で締め、そもそも組織運営の発端が
人類誕生より遥か昔から存在した「宇宙的恐怖なアレ」を
どうにかするためっぽいし、そんな管理組織のトップに
立っているのが、最近では政府関係者最強のラスボス
として君臨することが多すぎる「あの人」ってことで、
笑い転げるんですけど正直戸惑いも大きいです。

終盤突然出てくる「あの人」とは双璧を成す、冒頭から
登場して笑いを誘ってくれる出オチ要員にソーさん役の
クリス・ヘムズワーズがいて、魅惑の性格俳優、
リチャード・ジェンキンスも終始シニカルな笑いを
提供してくれるという、キャスティングの妙味等の
細かい作り込みや気配りなんかからは、本作がただ
「いい加減に作られた」わけではないことも伺わせ、
そこがまたなんだか妙に腹が立ってきますねー。

良い意味悪い意味を超越してすごくろくでもない、
「馬~ッ鹿じゃねぇの!?」と大声で罵るしかない
本作品、ホラー映画への愛に溢れまくっているし、
酒でも傾けながらお友達同士で笑って観るには
この上なく最適な一本ではありますが、作品全体が
総じて多大なホラー及び関連作品のクリシェで
成り立っている以上、通して観れば実は斬新さには
ほど遠い内容であり、その一点にだけは苦言を呈したい。
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人生は美しく、かくも長い

地元の映画館で「愛、アムール」が公開されましたので、
本日はこの作品のレビューを行いたいと思いまーす!

夫婦円満な生活を続けてきたジョルジュとアンヌ。
しかし齢八十を超えた二人には病の陰が忍び寄り、
動脈硬化の手術を受けたアンヌは死の危険こそ
免れたものの、右半身麻痺にかかってしまう。
ジョルジュやその周囲の人々によってアンヌは
献身的に介護されるが、そのことがかえって
彼女の精神に重荷となっていき…というあらすじ。

「えっあのハネケがアカデミー!?」と、恐らくは
彼のことを知っているファンほどありえない話題に
のけぞったであろう本作は、病に倒れた妻と
その彼女を必死に介護する夫を描いたドラマ。

無音のOPロールに始まり、何の説明もなく断片的に
カットが散りばめられ、それでありながら長回しが
多用されるという、いつものハネケのいつもの
ぶっきらぼうな編集に妙な安心感を抱かされますが、
これは即ち彼の得意とする「次の瞬間何か恐ろしい
ことが起こるのではないか」という、張り詰めた
空気もまた本作に健在するということであり、
今回はこれに加え、最も重要な衝撃の事実を一番の
冒頭で提示してしまうことにより、「どうあがいても
逃れられない絶望」という諦観のオーラまで醸し出す
ことで、観客は始まりから真っ暗ならば、鑑賞すれば
するほど深き闇へと放り込まれるハメになります。

ハネケというと「人間の得体の知れない気持ち悪い
部分」を切り取って見せることに定評がありますが、
今回は「長年連れ添った老夫婦とその介護現場」
という舞台設定からか、「得体の知れなさ」は薄れ、
むしろキャラクター各々の心情も明快になっていると
言っていいと思います…が、それだけに剥き出しの
牙というか攻撃性抜群の仕上がりになっていて、
ストレートに観客のハートをドスドス貫いてきます。

そもそもが高齢化社会を迎えた日本人にとって、
老人介護は最早避けて通ることのできない道であり、
身の上話を交えれば、半身麻痺に陥ったアンヌの
姿は、私の今は亡き祖父・祖母の姿を連想させました。
「酒も煙草も一切やらないのにどうして彼女が癌に」と
家族で泣いた祖母の姿、半身麻痺と老齢による衰え、
闘病生活による痛みに苛立ちを募らせていく祖父、
それぞれがアンヌの姿にダブって、「もっと何か
してあげられることはなかったのだろうか」という
自責の念に苛まされ、この文打ってる今もうっかり
思い出してちょっとどころじゃなく泣いてます。

とは言え、比較的明快なテーマに付随する形で
ひとまずの「感動のオチ」をつけてくることまで
ハネケにしてはの珍しいことづくめなのですが、
この内容に関しても一つ視点を変えればホラー一歩
手前だし、本人たちがどうあれ「それが正しかったか
どうか」の判断は残された者や観客たち個人々々に
一任されたすごく突き放したもので、作品全体だって
「最強になれなかったふたり」とも言えるような
「大多数の人間が迎える暗い現実」を突きつけてきて、
そうなるとこれを「アムール」という大仰なタイトルで
出してくるっていうこと自体にまでもが変な勘ぐり
入ってきて、最終的にはやっぱりいつもの
すっごい意地の悪いハネケ作品だと思うんですよ。
だからこそ敢えて私は言いたい、アカデミーよ、
世界よ、ひょっとして騙されていないか!?と。

良い話ですよ、確かにボロ泣きしました。
しかし、本作も「ピアノが弾けなくなってしまった
ピアニストのお話」なので、これを受けて過去作の
「ピアニスト」とかまでチェックしてしまった人とかが
ショックで心に深い傷を負ってしまわないかどうか
とても心配ですね…(いやらしい笑みで

ならば死ねい!

特撮ファンの間でも評判が結構アレなんですが、
まあ自分も直撃世代だし…ということで今回
チェックしたのが「宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」。
レビューも、多分、ファンの間では「そうだね」
くらいの当たり前の感想になりそうですが、一応ね。

日本初の有人火星探査宇宙船が突如謎の爆発を遂げた。
銀河パトロールによって奇跡的に命を救われた搭乗員の
ゲキは、その強い正義感を買われ、一年後には新人
宇宙刑事「ギャバン」として任務に就いていた。
一方、何も知らされていないゲキの幼馴染・イツキは、
彼の帰還を頑なに信じ続けていたが、そんなある日、
謎の怪人が現れ、彼女を何処へと連れ去ろうとする。
初代ギャバンによって壊滅させられたはずの宇宙犯罪
組織「マクー」が復活し、再び地球を標的にしたのだ。
彼らの目的とは一体…そしてギャバンは果たして
マクーの陰謀を阻止することができるのか!?
というのがおおまかなあらすじ。

あらすじだけ書くとすごいワクワクする、「宇宙刑事
シリーズ」生誕三十周年記念作品にあたる本作品。

決してIKEMENとは言い難い主人公のいささか演出
過剰気味な暑苦しい演技に、決して美人とは言えない
パートナーとか、そんなとこを初代リスペクト
しなくてもいいのに!というキャラクター造形や、
「宇宙刑事三部作」において外すことのできない
影の立役者「コム長官」の続投には弥が上にも期待が
高められ、ファンにはお馴染み「マクー空間」の
クスリでもキめてんじゃないかっていうキチガイ
演出も感涙モノなのですが、褒められるのは
そのくらいで…(というか主人公とパートナーの
キャスティングは別に褒めてるわけではない)。

今更自分も同じように口を揃えて言う必要も
あんまりない気がするんですが、やっぱり前半
45分使って延々昼メロされるのはかったるい。
井上脚本かテメー!って言いたくなるような
三角・四角関係挟むのはものすごく無駄で、
というかぶっちゃけヒロインの存在そのものを
オミットして主人公とその幼馴染・トウヤを
ホモにした方が話ずっと綺麗に回るよねこれ。

そしてうじゃうじゃくだらん展開やりつつも
申し訳程度にアクション挟んでくるんですが、
「よえー二代目ギャバンよえー」ってとこに
飛び込んで来るのが、初代ギャバンにして
一条寺烈、即ち大葉健二本人の存在でして、
滅茶苦茶な強キャラオーラ発して実際に
半端ない強さを開幕2分で見せつけてくれる
烈っちゃんは確かに面白すぎるんですが、でも
こういう方面で面白さ出しちゃうと本編が潰れて
作品そのものが駄作になっちゃうんですよね…

烈っちゃんと初代ギャバンはただでさえアクが
強すぎるんだから、出演なんてのは本当にただの
5分程度でも全然構わなかったし、狂気の作り込みを
するならいっそのこと父・ボイサーこと千葉ちゃん
まで引っ張ってくるぐらいの気概が欲しかった。

烈っちゃんの割食ったせいでゲキのライバルである
幼馴染・トウヤの扱いがえらいぞんざいで残念な
存在になっちゃってるのも問題で、過去の特撮には…
自分の記憶にある中では例えばダークナイトとか
シルバとかマッドギャランとかシャドームーンとか、
主人公を食っちゃうようなカッチョイイデザインの
ライバルキャラがいたわけで、初代ギャバンなんか
よりもこっちの方によっぽど注力すべきだったと
いうのは至極真っ当な意見だと思うし、W主人公って
スタンスを取るなら、不完全体のドン・ホラーに
ギャバンとブライトンの光と闇の力が合わさり
最強に見えて撃退するって展開が見たかったし、
トウヤ殺す必要性も全然なかったよねこれ!?
ついでみたいに出てくるシャリバンとシャイダーも
なんかうーn…って感じだったし、とにかくギャバン
以外の新生メタルヒーローの姿を確認したかった。

私は小学生の頃の時点で特撮関係は殆どすっぱり
切れてるので、特撮厨とかそういう話以前に、
やっぱり一本の映画として観ても色々勿体ない・
不味い料理の仕方してるなあって印象受けました。
これは過去の遺産食い潰してると言われても仕方ない…

俺たちご近所ウォッチャーズ!

前から気になってた新作「エイリアン・バスターズ」を
鑑賞しましたので本日はこの作品のレビューをば。

オハイオ州の田舎町・グレンビュー。
「善き人は報われて当然」が信条の男、エヴァンは
地域活動に奉仕し、妻を愛するその誠実さが認められ、
コストコの店長にまで昇進も果たしたが、ある時
警備員のアントニオが何者かに惨殺され、ひどく
心を痛めた彼は、自ら犯人探しへ乗り出そうとする。
近所を見まわる「ウォッチャーズ」の自警団を
募集したところ、集まったのはたったの三名。
冴えない中年四人組がなんの手がかりもないまま
車で走り回ったところで得る物はないと思われた
その時、彼らはとんでもない未知との遭遇を果たす…
というのがおおまかなあらすじ。

ベン・スティラー主演のSFコメディ映画である
本作は、邦題のまんま「ゴーストバスターズ」
エイリアン版といった内容に仕上がっていて、そこに
「ゼイリブ」や「MIB」等といったへっぽこエイリアン
映画のフレーバーがふんだんに散りばめられています。

特筆すべきは「スーパーバッド」の脚本タッグ、
エヴァン・ゴールドバーグとセス・ローゲンが
本作にも関わっているということで、エイリアンとの
対決もほどほどに、夜の夫婦生活や年頃の娘に頭を
悩ませる父親と、それと同時に「いい歳こいて
バカ騒ぎに興じるダメなおっさん」といった
等身大のキャラクターの描き方がすごく上手い!

主人公・エヴァン役のベン・スティラーは小皺も
増えてきて、歳食ったことをスクリーンからも実感
させられますが、そんな彼が冒頭で「友人の死に心から
涙を流せる」誠実さを見せる「いい歳の取り方をした
親父」の姿を思わせつつも、ややもすると行き過ぎた
うざったい正義感も持ちあわせており、一方ヴィンス・
ボーン演じる巨漢の放蕩男・ボブは娘の素行に対して異様な
執着を燃やしているストーカー一歩手前の危険なおっさん。
そしてこれも「スーパーバッド」組のジョナ・ヒルが演じる
フランクリンは常にナイフを持ち歩くマザコンボーイ
という、どいつもこいつも一歩間違えたらクレイジー
サイコ野郎に変貌しかねないキャラ造形をしていて、
アイコン的なキャスティングが上手く作用しています。

小気味良いテンポの編集と会話の応酬、合間合間に
挟まれる下ネタの連続、クライマックスの畳み掛ける
展開と、とにかくまずは脚本の秀逸さがあって、
そこから予算の使い方もよくわきまえている、
エンタメとして申し分のない、感心させられる逸品。

最初に前置きした通り、真新しさは見られませんが、
そんなこと言ったら「スーパー8」とか「宇宙人ポール」
だって似たようなもんやん?とも言えるし、それらに
比肩する面白さを本作も持っていると断言できます。
というか、SFものとして観たらあかんと思うんですよね。
「ショーンオブザデッド」や「ホットファズ」のサイモンと
ニックの二人が舞台変えても結局ホモ映画だったように、
本作も中年四人がホモホモするギャグ映画として観るべき。

TO DIE!

新作ソフト「悪の教典」がレンタル開始
されましたので本日はこの作品のレビューをば。

頭脳明晰、容姿端麗。
全てにおいて非の打ち所がない英語教師・蓮実は
生徒から慕われ、全面の信頼を勝ち取っていた。
ある時、彼自身も頭を悩ませていたモンスター
ペアレントの家が不審な全焼をしたことを受け、
蓮実に疑いをかける者が同僚や生徒の中に現れる。
蓮実の隠された過去が暴かれていくと同時に、
彼の中に眠る凶暴性もまた露わになっていく…
というのがおおまかなあらすじ。

元々は小説が原作だという本作を映像化したのは
奇才・三池崇史で、有り体に言ってしまえば
この手のハッタリが効いたゲテモノを調理する
には彼はうってつけの人材だったと言えましょう。
実際、三池だから観たってのが理由の大半ですし。

さて、ではお話の内容はどうかって言うと、
学生が次々とバタバタ死んでいくって展開な以上
「バトロワ」の系譜って前置きしていいんじゃ
ないかなって思うのと、目指したのは和製の
「アメリカン・サイコ」なのかなってことで、すごく
乱暴に言えばこれを二つ混ぜたのが「悪の教典」。

全編を彩る「三文オペラ」の劇中歌や、突然
「スカーフェイス」の有名な一文「THE WORLD IS
YOURS」が目に飛び込んできたり、そもそも
蓮実のジサクジエン劇場自体が「スクリーム」
っぽいし、手当たり次第にオマージュかますのは
よせーっ!ってなったりしないこともないです。

あとは、合間合間に挿入される、蓮実の断片的な
過去と、そこから彼が妄執に捕らわれていく様、
そしてあまりに彼が思うがまま、望むがままに
生徒の一人一人を殺戮していく様は、既に彼は
精神病棟で拘束服を着せられ白い壁に囲まれて
いるのか、はたまた何処かで今際の際にあるのか
なんて「ポイント・ブランク」的な白昼夢のような
話と見てとることもできますが、つまりそんなに
真新しいお話や斬新な展開があるわけではなくて。

キャラの立て方に関しては面白くて、本作主人公で
ある蓮実はJOJO四部の「吉良吉影」を明らかに
劣化コピーしたような造形をしており、彼の恐るべき
知能の高さを伺わせる過去の経歴が語られつつも、
とてもそうは思えない残念な迂闊ぶりを見せて
あたふたするっていう様に突っ込みどころを用意して
くれるのは、流石三池と褒めるとこなんだと思う。
ぶっちゃけ蓮実演じる伊藤英明の怪演があってこそ
本作は全部もってると言っても過言ではありません。

他人よりほんの少し狡知に長け、そしてまたアウトロー
寄りな故に犠牲者となってしまう先生とか生徒とかの
方に感情移入できて、終盤突然の感動的なドラマと共に
ここで主役交代劇なのか!?と散々煽っておきながら
「そんなことはなかった」と文字通り「的を外して」
くれるアーチェリー部員君の退場とか、質の悪い
ギャグも盛大に吹かされますが、好き嫌いは分かれそう。

延々と長回ししてくるホモネタとか、三池だな~
っていうとこはかなり感じるんですけど、やっぱり
極道が突然サイボーグになったり、元気玉飛ばして
地球崩壊させたりするわけじゃないんで、こんなんでも
エンタメ寄りだし、というかこういう「エンタメとして
ギリギリ出せそうなもの」を世に送り出していくのが
今の三池のスタンスで、それは商業的には物凄く
正しいことなんだと、ここ最近の三池作品を観る度に
自分にも思い込ませているのですが、やっぱり寂しい。

たまたま殺された

第84回アカデミー外国語映画賞ノミネート作
「ソハの地下水道」が新作レンタル開始
されましたので、本日はこの作品のレビューをば。

ドイツ占領下のポーランド。
”副業”として空き巣を行う、地下水道検査官の
ソハは、ゲットーからの抜け穴を掘るユダヤ人を
偶然発見し、口止め料をせしめることに成功する。
やがてナチスによる大規模なユダヤ人狩りが
始まると、人々は次々に下水へと雪崩れ込み、
成り行きからソハは彼らをかくまうことに
なるのだが…というのがおおまかなあらすじ。

ナチスによるユダヤ迫害から逃れる人々と、
その手引きをした一人の男を描いたポーランド映画
である本作は、同年にアカデミーにノミネートされた
「別離」「闇を生きる男」「ムッシュラザール」
といった精鋭とトップの座を競い合ったという
だけあって、鑑賞前から嫌でも期待が高まります。

さて、そんな本作で終始重くのしかかってくるのが
「謂れの無い迫害を受ける人々の姿」であり、
全く説明のつかないまま、理由もないままに責め
立てられ、ある者は強制的に収容所へ入れられ、
ある者はまるで虫けらを踏み潰すかのように
簡単に銃殺されてしまうという様は、映画という
一本の「お話」として見れば全く体を成していない
とんでもない理不尽な内容であり、それがまた
狂ったリアリティを帯びて戦慄させられます。

ここに登場してくる主人公、ソハという男が
実に味わい深くて、空き巣を行い口止め料を
せしめる彼は決して善人とは言いがたく、しかし
ナチスに密告すれば手軽に大金が手に入るにも
かかわらず、リスクを犯し彼らをかくまう姿は
悪人でもなく、お世辞にも利口とも言えません。

ではそもそもどうして、見て見ぬフリもできたのに
敢えて彼は危険を重ねたのかというと、前述の通り
「筋が通らない」「理不尽」に対する得体の知れない
「気持ち悪さ」に起因していると私は思うのです。

同じポーランド侵攻を描いた「戦場のピアニスト」と
同様に、本作もまた「人間が人間であるため」という
テーマを別の観点から扱っていて、人が意味もなく
虐げられているのを見た時、正常な人間であれば
「何かがおかしい」と違和感を抱くのが当然であり、
それは良心の呵責とかいう上等なものでも、一言で
説明がつくものでもなく、かと言って生物の本能かと
言われたらまた違う、「人間ならば本来備わって
いるはずのもの」にソハは突き動かされていきます。

ここがまた興味深いところで、ユダヤ撲滅を訴えては
いたものの、尚更几帳面なドイツ人たちにとっては
整合性を見て取ることが出来ず、内面では疑問に
まみれていたという節も浮き彫りにされていき、
最初から何もかもが土台実現しない、途方もなく
無理無茶な話だったというようにも感じられます。
まあ実際無理だったわけだし。

しっかしそれにしても、上映時間が約二時間半ある
本作の大半が下水で生活する人々のシーンで
占められているので閉塞感が半端ありません。
こちらは上映時間がわかっているしたかだが
二時間ちょっとの辛抱だからいいものの、おおよそ
人間の生きていける環境ではないクソ溜めの中で、
もしかしたら一生太陽を拝むことができないかも
しれないと思いながら生きていた人が現実に存在
していたと思うと、想像しただけで目眩がしてきます。

そこを通じて一番驚いたのは、本作は体験者の
自叙伝を元にした実話であり、ソハという男も
実在した人物であるという事実で、そこから彼の
人間臭さに納得させられると同時に、過程や理由は
どうあれ正しい行動を取った彼の勇気と、そこから
ちゃんと報われた結果に涙が止まらなくなりました。

感動の名作なんであんまり政治的な話に飛ばしたくは
ないんですが、国内外の動きが今特に胡散臭くなって
きているので、実はこうした戦時下の情景を「まあ
怖い時代もあったもんだわねえ」なんて日本人が
俯瞰してられる状況でもないんですよね…。
もしかしたら日本人だって、近い将来どこかの国と
戦争を起こし、食うものも食えず着るものも着れず、
下水のクソ溜めにまで押し込められる時が来るかも
しれない…そんな「覚悟」まで含めて本作の鑑賞に
臨むのが正しいスタイルなのかもしれません。

スーツ…スーツを着なくちゃ…

毎月1日は映画の日!というわけで
「アイアンマン3」観てきましたよ!

神界の存在、外宇宙生命体の脅威…。
ニューヨークの事件を経たトニー・スタークは、
スーツ開発に対する強迫観念に駆られていた。
時を同じくして、国籍不明のテロリスト・
マンダリンが仕掛ける自爆テロはアメリカを
大きく震撼させており、スターク社の警備主任・
ハッピーが爆発に巻き込まれたことで、
トニーはマンダリンに対し挑発的な声明を出す。
結果として彼は自宅をミサイル砲撃の標的にされ、
トニーとマンダリンの戦争が激化していく…
というのがおおまかなあらすじ。

「アベンジャーズ」から間もない世界の話であり、
「アベンジャーズ2」への布石第一弾でもある本作。
神や宇宙人を目の当たりにし、すっかり神経衰弱に
陥ってしまった社長というのが今回の始まりで、
その雰囲気はさながら「こっそり秘密結社を
立ち上げてハルクを宇宙の果てに追放してしまう
社長」や「独断で超人登録法を推し進めた結果
スパイディを曇らせてしまう社長」を連想させ、
今後に続くシリーズであるソー2における
ラグナロクのような気配や、バッキーと悲劇の
対面を果たすウィンターソルジャー等、原作の
進行に準拠した展開を着実に見せていますが、
これが果たして観客に受け入れられるのかどうか、
マーベル世界の住人にとっても映画作品のファンに
とっても試練の時と言っていいかもしれません。

えらい逸れましたが話を本作の内容に戻すとして、
チタウリとの決戦によって一つの頂上を極めて
しまった社長は「はうあう…スーツを着てないと
安心できない…息が…息が…」って作中で終始
そんなことばっかり言ってんだけど、実際に
スーツ着てると無敵だから何かと不具合の
連続でなかなか万全の状態にしてもらえない
というのが面白ポイントであり、でも今回の
社長は流石に豆腐メンタルすぎて煮え切らず
イライラが募るところも結構多いという印象。
勿論、終盤の「アイアンマン軍団集結」という
カタルシスに対する布石ってのはわかりますけど。

数々のアイアンマンスーツに関する派手な
アクションや多彩なギミックもほどほどに、
今回特に力を入れていると感じたのは
「キャラクターの輪郭を強める」ということで、
社長にとってのかけがえのないパートナー、
グウィネス・パルトロウ演じるペッパーが
終盤では社長も霞むぐらいの観客も全く予想が
つかなかったとんでもない方向で活躍したり、
映画監督よりも社長の運転手役というイメージが
根付いてしまってきているジョン・ファヴロー
演じるハッピーにも強いスポットが当たります。
新キャラ勢も個性が良く出ていて、ハルクに対する
リック・ジョーンズ少年のような、社長の良き
パートナーとなるハーレー少年とのやりとりは、
切羽詰まった雰囲気の本作では一服の清涼剤になるし、
ベン・キングズレー演ずるマンダリンサンもトリッキーな
キャラクターを実に上手く演じ分けています。

そして本作で最も着目すべきは、シンクタンクの
「AIM(Advanced Idea Mechanics)」に所属する
科学者・キリアンを演じるガイ・ピアース!
脳と遺伝子に作用し、肉体の構成を変えてしまう
という禁断の技術「エクストリミス」を、己の
私利私欲と嫉妬によって悪用に走る彼こそ
思わぬ伏兵として今回社長の前に立ちはだかる
わけですが、最近のガイピアースの役柄と言えば
「プロメテウス」では不老不死を夢見る大富豪、
「ハングリーラビット」では神罰の代行者を
演じてきたわけで、真の黒幕としての振る舞いを
堂々と演じてくれていると同時に、また彼が
こうして大作にぼちぼち顔を出してくれる
ようになってくれたのが個人的に嬉しい限り。

1・2の底抜けな明るさが滲んでいた雰囲気に
比べて、今回の一人で勝手に思い詰めて
一人で暴走しちゃうという社長は確かに
社長すぎるほど社長なんだけど悪い一面だよね
ってことで、全てにおいて気持よく観れた
というわけではなかったというのが正直な感想。
それでも、胸につかえていた物(物理的な意味も
含めて)がスッキリ取れる晴れ晴れとしたオチに
加え、映画世界の社長はキャップよりもハルクと
ホモホモしいんだねなんてネタで、後味はスカッと
爽やかに仕上げてくれた点は素直に評価。

今回の作品も位置づけ的にはやっぱりあくまで
「アベンジャーズ2」への布石感で不完全燃焼な
印象は否めませんが、AIM出してきたってことは
ウィンターソルジャーでもまた出番用意されてるの
かなーとか、本作の最後の最後に流れるソー2の
予告で今までの流れ全部持ってく笑いの神とか、
今後の作品に対する期待の高まりは隠せず、見事に
クロスオーバー商法に乗せられてるのも確か。
プロフィール

マイケル・チバ

Author:マイケル・チバ
シルバーレイン
マイケル・チバ(b30277)
薬師寺・米(b41960)
を経て、
現在はエンドブレイカー!
マーヴィン・ジェント(c06527)
にて稼動中。

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