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刺身にしちゃる!

他に観る物も思い当たらないなーってことで、
今回は黒澤明の「用心棒」を鑑賞しましたので
本日はこの作品のレビューをしたいと思います!

行く当てもなく彷徨う浪人が立ち寄った宿場町は、
二つのやくざ勢力がにらみ合い寂れきっていた。
悪人を斬るだけで金になると踏んだ浪人は、
それぞれの組へ自らを売り込みに行くのだが…
というのが大まかなあらすじ。

最早説明不要な巨匠・黒澤明が放つ名作中の
名作!とか言っておきながら、なかのひとが
今まで観てなかったってのもお笑いですが、
まあ古典作品にはよくあることだよね。

さておき、「荒野の用心棒」というオマージュ作や
「ラストマン・スタンディング」といったハリウッド
リメイクが多数出ていることからもわかる通り、
原典に立ち戻ると色々見えてくるものがあります。

まずはやっぱりこの人がいないと始まらない、
名優三船敏郎の独特の存在感で、どこにでも
いそうな素浪人の立ち振る舞いをデフォに、
時にはひょうきんな、時にはシリアスな千差万別に
顔を使い分け、一度刀を抜けば誰にも負けない
無頼漢という完璧超人っぷりに一切の嫌味や
臭さを感じないのは、彼の演技があってこそ。

ゆったりとしたカメラワークで無言のまま進み
ながらも、丁寧に作品の背景と舞台を説明する
監督の手腕は、後にクリント・イーストウッドが
自ら監督として手がけた西部劇「荒野の
ストレンジャー」をそっくりそのまま思い起こさせ、
なるほど、クリント・イーストウッドはレオーネの
枠組みを超えて、監督としての目指すところは
黒澤に、キャラクターとしての憧れは三船に
あったのではないかと思わされることしきり。

作品としての出来やストーリーの内容については
最早語る是非もなしというところで言及する点も
大してないのですが、黒沢作品に共通する、傍目
からは娯楽作品を追及しつつも、つまらないいさかい
から人間がお互いに醜く殺しあう様と、それでも
人は生きていくのだという強いメッセージ性が
本作でも見られ、安心・安定感を覚えます。
主人公の三十郎がちょっと情に弱いところを見せ
つつも、完全な善人とは言い難いアンチ・ヒーロー然
としたキャラクター造形をしていたり、女っ気ほぼ
ゼロでヒロイン枠が飯屋のくたびれたオッサン
だったりと、ストイックな作りにも好感。

「荒野の用心棒」や「ラストマン~」にはない、
オリジナルの存在「刀での斬り合い」が故に、
本作で登場するチート武器「拳銃」からはより
強み・重みが感じられ、この辺からも所詮リメイクに
オリジナルは越えられないという高い壁が見れます。

50年以上の歳月を経ても未だに色褪せない名作に
加え、数多くの監督や作品に多大な影響を与えたという
という意味でも、歴史に残る偉大な作品であります。
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犬が好き

以前レビューしたハワード・ホークスの
「ヒズ・ガール・フライデー」に続いて、
「スクリューボール・コメディ」というジャンルに
興味を抱き、本日は同監督の「赤ちゃん教育」を
鑑賞しましたのでこの作品のレビューをば。

生真面目な考古学者・デイヴィッドが、
破天荒な娘・スーザンに気に入られてしまい
振り回される様を描いたラブコメディが本作品。

ヒロインのスーザンが強烈すぎるキャラというか、
のっけからキチガイ全開で胸クソ悪さを通り越し、
段々清々しさすら覚えてくるのが本作の特徴。
悪気はゼロ、むしろ好意が100%、意外と抜けて
いるところはあるが基本的にはひどく知恵が回り
行動力のあるキチガイってことで、よくもここまで
悪意のある造形ができるもんだと感心してしまいます。

その彼女に振り回されるデイヴィッドが、「アラバマ
物語」のアティカス…とまでは行きませんが、
クラシック映画然とした古き良きアメリカの良心を
体現したような眼鏡の学者で、なんのかんのと
スーザンに付き合ってしまう彼の姿が観客に
鑑賞をさせるための心を引きとめ、そして喉元を
過ぎれば笑いを提供するのに役立っています。

本作は「ヒズ・ガール・フライデー」の前年の作品に
あたり、その基盤になったであろうことは想像に
難くないのですが、キャラと舞台の破天荒さ、
転じて支離滅裂具合が輪をかけて酷い!
この「キャラクターがキチガイなら何が起こっても
不思議じゃないだろう」という開き直りっぷりが
もう笑うしかなくて、この突き抜けた具合に関しては
小綺麗にまとまった「ヒズ・ガール~」よりも本作の
ラフな質感の方が個人的には好感を覚えました。
タイトルの「赤ちゃん」とは「ベイビー」と名づけられた
豹だったりするわけですが、大層チャーミングな
アプローチをするこの子や犬といった動物を使って
萌え路線をアピールするのもあざとい、大変あざとい。

大概過ぎて全面的に許容、肯定できるものではない
ヒロイン像ではありますが、その強烈なキャラクター性に
加えて「こいつと一緒にいれば人生退屈せずには
済みそうだな」というラストまで一貫した展開を見るに、
決して嫌いにはなれない、魅力的な作りなのも確か。

内容がアレ過ぎて当時興業的に惨敗だったという話
らしいですが、IMdbにおけるハワード・ホークスの
評価では、本作が彼の作品の中で上位にランク付け
されていることもまた確かで、世に出るのが早すぎた
内容であったことも裏づけされています。
というか、まあなあ。これはほんと早すぎたよ…

ハワード・ホークスというと、西部劇監督の雄という
イメージをずっと持ち続けていましたが、実はこっちの
畑の方が強烈な名作を放ってたりするんですねえ。
これだから映画は面白い。

粗末な料理か、綺麗な皿か

海外のオタ受けする映画の一つらしいって
ことで今回鑑賞したのが「クラークス」!

休日に仕事をねじ込まれてしまった不幸な
コンビニ店員、ダンテ・ヒックスの一日を描いた
本作品は、後にマット・デイモンとベン・アフレックの
「グッドウィルハンティング」コンビで世に送り出された
問題作「ドグマ」で知られることになる、ケヴィン・
スミス監督が低予算で作り上げたデビュー作。

コンビニ店員の日常を描くということで、観客の
期待するところと見所は当然「あるあるネタ」に
集約されると思うのですが、奇妙な客の繰り広げる
ビミョ~なネタは接客業を一度でも経験したことが
ある人ならば必ずクスッと来ると同時に、胃にも
キリキリとちょっとした痛みが来ること請け合い。

隣のビデオ店のバイトでありながら、しょっちゅう
すっぽかしてコンビニへ遊びに来るダンテの友人、
クズ野郎のランドルもカスなだけにかなりいいキャラ
していて、「あぁ~こんなクソな店員いるわ」と
これはこれで妙な親近感を覚えてくるから不思議。

海外の接客業の基準がわからんので、劇中の話が
一体どのぐらい誇張された内容なのかわからなくて
変なところでドギマギさせられたりもしますが、
現実のコンビニにも魔物が潜んでいるので大概の
ことは実際に有り得そうなところがまた怖い。

不必要なまでに過剰な下ネタ分を含んでいるので
多少の不快感も覚悟しなければなりませんが、
終盤では「バカな客とアホな店員」という構図と
その箱庭で胡坐をかき続けるバイトというダンテの
立場や、自分が招いた男女関係のもつれで苦悩する
ダンテのプライベートに対する「過ち」が指摘され、
なんだか妙にいい話にしようとする流れが卑怯。
一見ふざけてる、というか確かに全力でふざけてる
割には、作中で散りばめておいた伏線を変なところで
回収させるテクニックや、映画オタクならば吹かずには
いられない小ネタ等、ディティールの懲り方が作品に
深みとリアリティを与えているのも好印象。

ちなみに、それこそ10年ぐらい前にたまたま観た
駄目なコメディ「ジェイ&サイレントボブ」は本作の
スピンオフだったことを知ってまた変なとこで吹く。
「ジェイ&サイレントボブ」は完全にキャラの濃さで
勝負してるような作品で、内容はこれっぽっちも
覚えてませんが、本作が気に入ったらチェックして
おくのもいいかもしれません。オススメはしない。
あ、でも、「スターウォーズ」のルークを演じた
マーク・ハミル本人がヤケクソな演技を披露して
いるのは一見の価値があるかもしれません。
あんまりにあんまりでいたたまれなくなりますが。

それこそコンビニバイト感覚で、ヌル~く90分を
まったり過ごせる本作品、サクッと息抜きするには
うってつけのちょっとした佳作でした。
決して万人受けする内容じゃないけどね!

月が出ている

3DSソフト「ファイアーエムブレム覚醒」が
面白すぎて他のことが手につかない…という
話はさておき、何がきっかけかは失念しましたが
名作らしいという話を聞いて今回鑑賞したのが、
本日ご紹介する「ヒズ・ガール・フライデー」。

元・敏腕女記者のヒルディは、元・上司にして
元・夫であるポスト紙編集長・ウォルターの前に
突然現れるなり、保険セールスマンである実直で
誠実な男・ブルースと再婚した旨を打ち明ける。
寝耳に水のウォルターであったが、黒人警官を
射殺した男が選挙前というタイミングで処刑される
という特ダネを控えていた彼は、ヒルディをなんとか
現場に復帰させ、このネタで記事を書かせようと
あの手この手で工作に回るのだった…というのが
おおまかなあらすじ。

巨匠、ハワード・ホークスが挑んだ、事実をも都合よく
捻じ曲げてしまうタブロイド業界を舞台に、かつて
仕事とプライベート両面でパートナーだった男女の
激しい衝突を描いたロマンティック・コメディが本作品。

特筆すべきはいささかやり過ぎ感すら溢れる
濃いキャラクター群と、そんな魑魅魍魎が混在し
成り立ち得るタブロイド新聞社という舞台にあり、本作の
登場人物は7割8割がなりふり構わないキチガイで、残りの
2割3割がそんな狂った世界の中でどうにか真面目に
生きようと努力している面子だったりするのですが、
そんな彼らもどこか間が抜けているというか、どちらか
と言うと「間の悪い」可愛そうな人たちばかりで、
マトモと呼べる人間がほぼ存在しないのが実情。

しかし、出版業界の裏側を描いた作品というと、最近
レビューした近年の作品「ゴーストライター」にも
全く同じことが言えたわけですが、「事実は小説よりも
奇なり」という言葉が如く、あまりに強烈なキャラクターや
突飛な事件を一度にワッと浴びせかけると、一周回って
かえって現実味を帯びてくるのだから不思議なものです。

ロマンティック・コメディということで一にも二にも
ヒロインの存在感やキャラが重要になってくるわけ
ですが、ヒルディの「デキる女記者スタイル」を持ち
ながらにして「人並みの主婦の姿」にも憧れるという
二面の間を揺れ動くキュートな姿は申し分なし。
それはどうしようもないクズのブン屋の中にあって、
唯一の良識・良心を持つ高嶺の華という存在という
ことを同時に際立たせたりもするのですが、キチガイ
編集長のウォルターと結ばれていたという経歴に
嘘はつけず、特ダネの連続を前に彼女もどんどん
馬脚を現していく…という演出もひどすぎて面白い。

そうしてキャラクターが極端に極端に、どんどん壊れて
いく様を描いておきながらも、更なるドタバタを予感させる
軟着陸のラストを見せ、「彼らはこうやって生きてきて、
そうしてこれからもこんな風に生きていくんだろう」という
活き活きした空気を吹き込んで〆るのも文句なし。

めまぐるしく押し寄せる怒涛のコメディ展開の中に
紛れ込むようにして、死刑が執行されるかどうかという
事実を前に、とにかく特ダネを面白おかしく書きたて
られたらそれでいいという新聞社の他、面子を守ることに
躍起な警察や、市民の票を得ることしか考えていない
市長等、人命軽視に対する皮肉のメッセージが
それとなーく込められていることも好印象を覚えます。

ハワード・ホークスというと「赤い河」や「リオ・ブラボー」の
ような西部劇のイメージが強くある監督ですが、
キャラクターの作り込みとその人間関係の描きこみさえ
しっかりしていれば、舞台設定の違いにさしたる問題は
ないと思わせる、巨匠と言われるだけある名作でした。

みんなは一人のために!

最近になって新作DVDが出た「三銃士/王妃の
首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」を鑑賞しましたので
本日はこの作品のレビューを行いたいと思いまーす。

時は17世紀のフランス。
父親の暗殺により王位を継ぐこととなったルイ13世で
あったがその力は弱く、彼を補佐するリシュリュー
枢機卿は実権を握ろうと策略を巡らせていた。
一方、王の命によってダ・ヴィンチの兵器設計図を
手に入れたアトス・アラミス・ポルトスの三銃士で
あったが、枢機卿と結託した仲にあるバッキンガム
伯爵が差し向けた女スパイ・ミレディに設計図を奪われ、
それが原因となって三銃士の任を解かれてしまう。
希望も未来も絶たれ、半ば自棄になっていたそんな
三人の元へ、銃士を志しているという生意気な青年・
ダルタニアンが現れ…というのがおおまかなあらすじ。

「バイオハザード」シリーズや「AVP」で知られる
ポール・W・S・アンダーソンが今回手がけた作品は、
お馴染みの小説「三銃士」に大幅な脚色、というより
レイプに近い改変を加えたファンタジーアクション巨編。

邦題にもその名を関している通り、本作の目玉の
シーンというか呼び水は「ダ・ヴィンチ設計の飛行船に
よる空の戦い」だと思うわけですが、ぶっちゃけ
客寄せパンダ的な色気の使い方で、作品を通して
見ると「別に飛行船出す必要はなくね?」となって
しまうのが残念ポイントで、飛行船としての設定が
特に何か生きてくるわけでもなければアクションも
とりたてて面白いものがあるわけでもないという。
多勢に無勢で剣を携えて切り込むというオールド
スクールなシチュにおける殺陣は普通に手に汗
握る面白さがあったんで、変にハッタリ効かせるより
質実剛健に手堅くいけば良かったんじゃないかと
いう残念な思いが益々強まってしまいました。

あと監督はミラ・ジョボヴィッチが好きすぎて、
ヒロイン役のミレディばっかりスポットをあてることに
必死なんでダルタニアンと三銃士が霞みすぎ。
そりゃまー、アクションもこなせる女優だから
絵にしやすいってのはあるかもしれないけど、
既に齢40を控えたアラフォーをこれだけブン回す
のはちょっと無理があるんじゃないかな…と思って
wiki見たら監督とジョボって結婚してたのね。
こりゃアカンわオナニーすぎる。

三銃士に相対する敵として用意されたのが
オーランド・ブルームやクリストフ・ヴァルツと、
それなりに見栄えのする面子を引っ張ってきた
感じですがはっきり言ってキャストの無駄遣い。
「イングロ」で注目を浴びたクリストフですが、
「グリーンホーネット」といい今一つ娯楽作品で
良いタイトルに恵まれない印象があって可愛そう。
そういったキャラの薄さやキャストの生かしきれて
いない中にあって、一番感情移入できる・印象に
残るキャラは、どちらかというと端役に近い、
徐々に国王としての自覚を芽生えさせていく
ルイ13世っていうのも正直どうなんだろう。

監督は元々「バイオハザード」や「AVP」の頃から
人気タイトルを下敷きにした上で「自分のやりたい
ことを好き勝手にやらかす」ことに定評がありましたが、
今回に至ってはその悪い癖がただひたすら駄目な
方向、駄目な方向にばっかり働いちゃった上に、
あから様に「続編への引き」を意識しているもんだから
はっちゃけ具合も低く、何もかもが中途半端な印象。
なんかね、興業的にも失敗したっぽいしね、いいよ。
こんなもん続編作らずそのままなかったことにしてくれ。

心に咲く花

最近レビューした「スリーデイズ」を受けて…
というわけでもないのですが、クリント・
イーストウッド主演作を追う上で今回手に
取ったのが「アルカトラズからの脱出」。
本日はこの作品のレビューをしたいと思います!

数々の刑務所を脱獄した男、フランク・モーリスが
行き着いた先は難攻不落の要塞アルカトラズだった。
彼は施設の経年劣化によるコンクリートと鉄筋の
腐食に目をつけ、数人の仲間と共に入念な脱獄の
計画を練るのだった…というのがおおまかなあらすじ。

「ダーティーハリー」をはじめとして、数多くの作品で
クリント・イーストウッドとタッグを組んできたドン・
シーゲルが、アルカトラズの脱獄に挑んだ男たちの
実話を元にして製作に臨んだ本作品。

実話の脱獄もの、というと「パピヨン」を連想し、
かの名作に比べるとドラマ性は若干薄れ淡白な
印象は否めませんが、ひたすらに脱獄までの
手順を追っていくソリッドでタフな質感はドン・
シーゲルならではと受け取ることもできます。

その脱獄劇に色を添えているのが数々の個性的な
刑務所の面子で、フランクのアルカトラズにおける最初の
友人、どこか憎めない禿げ頭の中年「リトマス」をはじめ、
図書管理員の黒人「イングリッシュ」、物静かな絵描き
「ドク」等との友情が育まれていく過程を描くことで、
フランクが脱獄することが単なる意地ではなく大きな意味を
持ちはじめ、熱いドラマが展開されていくのも見逃せません。

その、ぶっちゃけてしまうと、脱獄って時点で基本的には
駄目な方向にばっかり頭の回ってしまう犯罪者たちと
看守とのいたちごっこが描かれるわけなんですが、
善悪は置いておいてプロ根性のすごい脱獄者や、
彼らを所謂「手負いの虎」に仕立てあげてしまう
管理者側のあまりに感情的でお粗末な囚人の扱い等、
見るべきポイントや見ごたえはかなりあります。

なんというかどこまで行っても「あー、ドン・シーゲル
作品してんなあ!」という感じだし、フランクのキャラも
クリント・イーストウッドだからこそ許される強キャラっぷり
というところがありますが、だからこその安心、安定で
サクッと観ることができる一本に仕上がってます。

ゴーストにだって心はあるんだーッ!

ライダーじゃないよ「ライター」だよ。
映画「ゴーストライター」が最近になってようやく
ソフト化されたということで、早速鑑賞しました!
本日はこのレビューを行いたいと思いまーす。

とあるゴーストライターが、代理人の強引な推薦と
取り付けによって、元英国首相アダム・ラング氏の
自叙伝を執筆させられることとなる。
数々のスキャンダルにまみれ、苦しい立場に置かれた
元首相は最早自叙伝どころの騒ぎではなかったが、
それでも彼は仕事を進めるうちに、草稿や数少ない
資料から、元首相の不審な過去に気づきはじめる…
というのがおおまかなあらすじ。

「チャイナタウン」「戦場のピアニスト」で知られる
ロマン・ポランスキー監督が今回送り出した作品は、
名もなき一介のゴーストライターが運悪く政界の
陰謀に巻き込まれてしまう様を描いた、いささか
ブラック・ジョークの側面も強いポリティカル・
サスペンススリラーと言える内容になっています。

本当に作中に名前の出てこない「ゴースト」を
演じるのはユアン・マクレガーで、巻き込まれ型の
主人公としてはこの上なくハマリ役と言えましょう。
これに対して元英国首相を演じたのは、これまた
「007」のボンド役でも知られるピアース・ブロスナン。

このある意味安易とも言える、あまりにコッテコテな
キャストの取り付け方に加えて、スキャンダラスな
政界の裏側を大袈裟に描いた様は、あまりにハッタリが
効きすぎていて、そしてそのハッタリも一周回ると
かえって奇妙なリアリティが生まれ、「あれ?これって
もしかして実話?」と錯覚してくるのだから不思議
というか、ポランスキー監督の腕ならではと言うべきか。

「チャイナタウン」で見せた、監督の持つ「無常観」と
「滲み出る世界の悪意」が今回は大きく増幅されており、
物語の登場人物はそれぞれ何かに抗っていながらも、
それが何の意味も持たないことも理解していて、そうして
あっけなくバタバタと斃れて行く様が淡々と描かれます。
このねじまげることのできない「運命の歯車」とでも
形容できましょうか、完成されきった「システム」と
いうものが、善悪を超えてある種の芸術的な輝きすら
放ち、思わず感涙すら覚える美しさを有しています。

「ハッタリ」に関して話を戻しますが、雰囲気を保つために
意識して話を地味に地味に動かしているという印象を
抱きつつも、光の加減やカメラの角度に至るまで細部に
拘った数々のショットが観客の心を退屈させず、本作を
「名作」と思わせる、その地位に押し上げる働きをしています。

ポランスキーならでは、ポランスキーだからできる、
ポランスキーだから許されるといった、悪意にまみれた
作品に仕上がっているわけですが、それだけに今回の
完成度は非常に高く、個人的には「チャイナタウン」や
「戦場のピアニスト」を超えた傑作のように思えます。
ポランスキー作品のファンや、コーエン兄弟のような
意地悪なスリラーが好きな人には是非オススメしたい。
プロフィール

マイケル・チバ

Author:マイケル・チバ
シルバーレイン
マイケル・チバ(b30277)
薬師寺・米(b41960)
を経て、
現在はエンドブレイカー!
マーヴィン・ジェント(c06527)
にて稼動中。

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