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過去からの声

前回の「荒野のストレンジャー」に続いて、
クリント・イーストウッドが「荒野の~」を
セルフ・カヴァーしたとも言える、監督・主演を
再び務めた西部劇「ペイルライダー」を鑑賞
しましたので、本日はこの作品のレビューをば。

カーボン峡谷の所有者であるハルは、集落を
張り細々と金の採掘に精を出していたが、
鉱山成金のラフッドに度々立ち退きの嫌がらせを
受け、集落の心はバラバラになりかけていた。
そんなある日、ハルが麓の町でいつものように
ラフッドの雇ったゴロツキに絡まれていると、
青白い馬に乗った見知らぬ顔の牧師が彼らの
間に割って入り…というのがおおまかなあらすじ。

突然現れた名も無きガンファイターが救世主として
降臨する…というプロットは「荒野のストレンジャー」と
同じですが、「荒野の~」の「呪われた町の呪われた
住民」に対し、今回は巨悪に屈しかけた善良な人々と
共に闘うという勧善懲悪な舞台と背景に移ったことで、
より明快かつエンタメ性を孕んでいるのが本作品。

エンタメ性については作品の流れ全体にも言える
ことで、クリント・イーストウッド作品全般にある
ゆったりとした空気を持ちつつも、今回は特に
「シーンの出し惜しみをしない」印象を覚える、
ポンポンと軽快に展開していくストーリーが心地よい。
そういう中で、オープニングでゴロツキが嫌がらせに
集落を襲うシーンが、いささか監督にしては
冗長なぐらい長く、「ひょっとしてこれ失敗作?」
という懸念を抱かせるのですが、物を盗るわけでも
なく、家畜を撃ち殺し笑いながら去っていく彼らの
不可解な行動と共に、「度々執拗な嫌がらせを
受けている」という理由を明かされた時、なるほど
敢えて不快感を覚えるくらい長く回すことで、集落の
人々の辛苦と受難を表現したかったのかと納得。
こういった細かい気配りも監督ならではの妙味。

キャラクター造形についてはこれまたクリント・
イーストウッド扮する名無しの牧師の厨キャラ
具合全開、ケンカも銃の腕も超一流、決して
誰にもひるまない度胸と聡明な知恵を持ち、
当然女にもモテまくるという完璧超人っぷりを
発揮しているわけですが、クリントだから全て
許されてしまうのもまた相変わらずズルい。
しかし、彼の厨キャラだけが走っているわけでは
なく、「3時10分決断の時」におけるダンのような、
西部開拓時代の黄金の精神を持つ男・ハルの
顔もちゃんと立てるところに好感が持てます。

「荒野のストレンジャー」や「アウトロー」の異色な
臭いに比べると、正統派西部劇の色合いを濃く
感じる本作ですが、横切る機関車と共に消える
人影のショットや、クライマックスの壮絶な
ガンファイトにおけるいささか臭すぎるまでの
演出等々、所々から「ウェスタン」に代表される
レオーネ大好きリスペクトとむせかえるほどの
マカロニ臭が感じられてゾクゾクします。
「荒野の~」「アウトロー」と本作に共通するのが、
ラストで必ず主人公は馬で走り去り、そしてまた
決して振り返らずに消えていくという演出。
この辺は「シェーン」のリスペクトなんでしょうか。
ていうか「シェーン」まだ未見なんですけどね!
観ないと。
それから、彼が酒のグラスを傾けた時、鋭い眼光を
放ち、全身に鳥肌が立つような強烈なオーラを放つ
演技については、「許されざる者」の原点を感じさせる
ということもここにちゃんと記しておきたい。

セルフ・カヴァー的な側面が強く感じられると
いうことも相まって、いつもの「やりたかったから
撮った」というよりは、「荒野の~」「アウトロー」で
「やり残したことを清算したかった」という印象を
本作からは受け、そういう意味では若干のパワー
ダウンも否めませんが、彼の西部劇に対する愛を
更に知るためには本作もまた外せない一本です。
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HELL

まだまだ観るよクリント・イーストウッドと西部劇!
というわけで今回鑑賞したのは、彼が監督を
始めてから二作目にあたる「荒野のストレンジャー」!

湖畔に面した、鉱山で栄えた町・ラーゴへ突然
現れた来訪者に、住人は訝しげな視線を投げる。
彼が酒場で絡んできた荒くれ者三人を見事な
銃捌きで瞬く間に射殺すると、住人たちは彼を
町の用心棒にしようとにわかにざわめきたつ。
住人たち曰く、かつて鉱山の金を横領し、保安官
殺しで禁固されていたクインシー一味が間もなく
釈放され、町へ報復に帰ってくるとのことだった…
というのがおおまかなあらすじ。

自らが監督して名作や異色、数々の西部劇を
世に輩出しているクリント・イーストウッドですが、
まず一番最初に手がけた西部劇にあたる本作品。

幽鬼のように突如現れた凄腕のガンファイターが、
町の住人と協力して悪漢を撃退する…という
基本的なプロットはどことなく「荒野の用心棒」や
「荒野の七人」における黒澤リスペクトを臭わせ、
「ウェスタン」の「マン・ウィズ・ア・ハーモニカ」の
メロディを連想させるおどろおどろしいBGMや、
印象的な台詞「Who are you?」の使い方から
セルジオ・レオーネリスペクトも全開な印象を覚え、
ここでもクリント・イーストウッドの「俺の撮って
みたかった西部劇」があるわけですが、そんな
どっかから持ってきた剽窃だけで塗り固めた
薄い中身で終わるわけがないのが彼の作品。

キャラクターの造形や設定自体はまごうことなき
マカロニ・ウェスタンを踏襲したものですが、
「無法天に通ず」を地で行く主人公が好き勝手に
振舞った結果として住人との確執を生み、
お互いにドンパチやらかしたにも関わらず
要求は更にエスカレートし、いよいよ「こいつは
キチガイか」という奇行に走っていく様は
マカロニという括りで一言に語れない異色作。

突飛な展開とビジュアル的なインパクトに反して、
「何故そこに至ったのか」という過去の設定の
骨子がしっかりしているために、作品が破綻して
いないのも素晴らしく、ラーゴという町に荒くれ者が
溢れ、そしてまた主人公が現れたのは、町が
最初から「呪われていた」が故の必然だったという、
衝撃の事実が徐々に明らかにされていきます。
そして、町の住人が影でおびえて暮らすのは、
かつてあった「正義」を見て見ぬフリをしたが故の
因果だという強烈なメッセージを、主人公の奇行の
果てにようやく、そして突然突きつけられる衝撃!

その中盤のタネ明かしまでは、ひたすら「こいつ
本当に何がしたいのかわからねえ!」ってな具合で
丸っきりちんぷんかんぷんなんですが、これで
観客は寝込むどころか作品にグイグイ引きこまれて
行くのがクリントマジックというか、映画の妙を知り
尽くした彼の恐ろしいところで、冒頭の間延びした、
しかし彼と町の住人の性質をよく表した無言の
ショットの連続から、突然のセックス&バイオレンス
展開というメリ・ハリのつけ方、そしてクリント・
イーストウッドが自ら演じる、自らのキャラクターを
完全に理解して造形された、傍若無人なストレンジャー
という男の振る舞いだけで間をもたせてしまうの
だからもうすごいというかズルいというか。

「正義不在」という舞台設定や、クライマックスの
壮絶・迫真の決闘シーン等、「許されざる者」の
原型もまた思わせる作りになっており、本作もまた
クリント・イーストウッドと西部劇、両方を語る上で
外せない作品に違いありません。

これがスパイナル・タップだ!

以前紹介した「セレニティー」同様、海外では
カルト的なオタ受けする映画ということを聞き
今回鑑賞したのが「スパイナル・タップ」!
本日はこの作品のレビューを行いまーす。

世界を熱狂させたHR/HMバンド「スパイナル・
タップ」が再び全米横断ツアーに乗り出した!
これはその「スパイナル・タップ」ツアーを追った
貴重なドキュメンタリー映像である…というのが
あらすじなのですが、実は「スパイナル・タップ」
という架空のバンドとアドリブの演技を交え、
ドキュメンタリー風の映画にデッチ上げた、
「モキュメンタリー(うそドキュメンタリー)」なる
手法を用いて撮影・編集されたのが本作品。

確かに「架空」であると最初からわかっていれば、
のっけから胡散臭さ爆裂の演出で思わず失笑が
漏れようというものですが、いささかわざとらしく
手ブレするカメラや凝ったセット、そして何より
実際に演奏もこなせるバンドのメンバーを見ると、
何も知らなければ「スパイナル・タップってバンドは
実在するんだよ」と教えられたらコロっと騙されそう。

アドリブを交えて語られたという、バンドのメンバーの
過去も、彼らの個性を浮き彫りにしていくと同時に、
作品へ強烈なリアリティを刻み込んでいるのも事実で、
ロックバンドの「あるある」ネタを散りばめることで
これまた失笑を交えつつうんうんと頷きつつも、その
「あるある」はやがてメンバー間やプロデューサー、
女性における人間関係の不和というシャレにならない
ネタへと発展していき、そこで観客は、目の前で
起こっている出来事が架空か実在かなどは最早
どうでもよく、作品に引き込まれてまるで我がことの
ようにハラハラさせられていることに気づかされるはず。

メンヘル女に引っ掻き回されてあっけなく瓦解し、
みるみるうちに落ちぶれていくバンドだが、しかし
最後の一線で思わぬ救世主が…なんて終盤の
展開はベッタベタな脚本なんですが、作品の持つ
奇妙なリアリティに呑み込まれた後となっては
これがどれほどの救いと清涼感を持たせることか!

「あるある」を追う上で外せない、当時の音楽シーンを
考察し、丁寧に追っているというのも面白く、イギリス発
ロックバンドということでビートルズを踏襲したような
ポップソングからサイケに移行、そこから突然の
ヘヴィメタ路線に鞍替えという、いささか迷走したような
スタイルなのがまた「スパイナル・タップ」という
バンドの駄目さと愛しさを増幅している一因でして。
産業ロックの落とし子であり被害者であり末路である
彼らが、90年代にやってくる「オルタナ/グランジ」の
大きな波にどう対応していくのだろうなんてことまで
考えてしまうあたり、完全にハマり込んでます。

なるほど、ファンが妄想で勝手に一人歩きさせるには
十分過ぎるぐらいの余地がある、カルト人気も頷ける
面白ネタ満載のおもちゃ箱をひっくり返したような映画でした。
小ネタにニヤリとさせられ、最後には暖かい気分になる、
ちょっとした息抜きや気分転換にはうってつけの作品。
たまにはこんな一本もいいね!

異文化コミュニケーション

最近の個人的西部劇ブームに加え、「パーフェクト・
ワールド」でケビン・コスナーと遭遇した以上は、
ついにこの時が来たか!ということで、180分
という長編作品故に長いこと敬遠してきた映画
「ダンス・ウィズ・ウルブズ」を鑑賞しましたので、
本日はこの作品のレビューをしたいと思います!

時は1860年代、南北戦争の最中。
北軍のジョン・ダンバー中尉は足を負傷し、半ば
自暴自棄に敵陣地目掛け単騎駆けを決行する。
結果として生き残り、味方の士気を鼓舞したことで
英雄として祭り上げられた彼は、「一目見たかった」
ことが理由で開拓地への転属を希望する。
しかし辿り着いた砦は何者かに襲われ、無人の
廃墟と化しており、にも関わらず彼は愛馬と共に
たった一人で駐屯地を再建することを決意する。
大自然における動物との触れ合い、インディアンとの
出会いはやがて彼の意識に変化をもたらしていく…
というのがおおまかなあらすじ。

ケビン・コスナーが自らの進退を駆けて巨額の
私財を投入し、監督・主演・製作を務めた本作は、
インディアンと邂逅し、彼らと共に生きた一人の
白人を描いた異色の西部劇となっています。

寄る辺なく一人荒野に残された男の開拓史や異人
との出会いは、さながら「ロビンソン・クルーソー」を
連想させますが、ネイティブ・アメリカンの「草木や
大地、人間や動物全てを含めて一つの命」という
思想を色濃く伺わせる、ゆったりとした情景の中で
行われる大自然の営みから、馬に、インディアンに、
そして狼に萌える映画と言ってもいいかもしれません。

白人から見た消え行く一つの文化や人種という、
ある種の上から目線から、そうして荒野の中に一人
佇む男の孤独や疎外感にシフトしていく流れや、
白人がどんなに羽飾りをつけようが白人でしか
ないはずなのに、それすらも受け入れてしまう
ネイティブ・アメリカンという懐の広さと、同じ
人種でありながらお互いにいがみあう白人という
コントラスト等、メリハリのつけかたもなかなかに優秀。

しかしまあ、なんというか、穿った見方をすれば
移民故に帰る場所を持たない米国人特有の
コンプレックスが透けてしまっているというか、
いささか「白人はこんなにクソなんだぜ!?」
っていうねちっこい描写はそんなにしつこく
描かなくてもいいんじゃない?と思わないことも。
西部劇における「西部開拓史」は必然であり、
そしてまた本作においても絶対に外すことは
できないテーマである以上、開拓者の白人側にも
ある程度の言い分はあっても良かったのでは。

あとはコスナーの演技ってやっぱ何処かへっぽこ。
ジョン・ダンバーという奇人・変人の類が「たまたま
神に愛されてしまった男」故に行く先々で何となく
生き残ってしまう異能生存体っぷりを発揮してしまう
ので、彼に都合の良いように話が小気味良く展開
していくのも鼻につく臭さを加速させています。

コスナー主演じゃなくて、ガイ・ピアースあたりを
当てはめたらしっくりくるんじゃないかなあ…なんて
ボーッとTV画面を眺めてたりしたわけですが、
wikiによると原作者はヴィゴ・モーテンセンを
モデルに描きあげたという記述があるのを目撃。
そうか、ヴィゴか!そうだよ、ヴィゴなら滅茶苦茶
しっくりくる!っていうか彼が主演だったらもっと
もっと素晴らしい名作になってたんじゃね!?と
膝を叩くと同時に、非常に悔まれることしきり。
コスナーには悪いけどさ。

斬新な視点からの描写により、西部劇に新たな
1ページを刻み込んだという功績や、コスナーが
180分という長編を綺麗にまとめ上げたという
手腕の話題性等、評価するべき点は数多くあり、
傑作・名作と呼ぶに値するだけの物はありますが、
個人的にはあと一歩!あともう一歩欲しかった!
という至らない点が散見された惜しい作品でした。

心臓破りの丘

クリント・イーストウッド過去の名作を探求する
という趣旨に移りつつありますが、本日は
彼が監督・主演を務めた「ハートブレイク・リッジ」の
レビューをしたいと思いまーす!

三度の戦争を渡り歩いた男、トム・ハイウェーは
平和な日常の中にあっては居場所がなく、
既に軍人としては引退間近の老齢にも関わらず、
再び海兵隊に志願し現場への復帰を果たす。
彼が配属された隊は、エリート気取りの中隊長の下、
すっかり腑抜けたボンクラ集団と化していた。
時代遅れだと上司と部下両方から嘲笑われ
ながらも、彼の地獄のしごきの日々が始まると、
やがて部下の意識も徐々に変化が現れ始め…
というのがおおまかなあらすじ。

86年公開当時、既にクリント・イーストウッドは
56歳を回っていたにも関わらず、自らの身体を
徹底的に鍛え上げて鬼軍曹を怪演、まさに
「やるなら今しかない」という絶妙なタイミングを
見計らって世に送り出した彼ならではの作品です。

「特攻大作戦」のリー・マーヴィンばりの、いささか
前時代的な身の振りや、ベトナム帰りの社会には
居所のない、結局軍に戻るしかないという男の
アンチ・ヒーロー然とした態度、そんな彼に徐々に
魅かれていく部下たちとの熱いドラマ等々、
そんなところからも「とりあえず俺も一度こういう
映画撮ってみたかったんだよ」というクリント・
イーストウッド節がプンプンと漂ってきます。
そして「やってみたかった」というだけで、毎度毎度
とんでもなく素晴らしい作品を撮り上げてしまうのが、
彼が生粋の天才と呼ばれる由縁であるということを、
本作を観ても改めて感じ取ることができるはず。

実は内容自体は上記の通り、戦争映画としては
ステロタイプ的なキャラクターやテンプレ展開で
「ああ~戦争映画やってんな~」という感想以外
あまり書きようがないのですが、そのベタベタさが
クリント・イーストウッドという男にこの上なく
マッチしていて、とにかく彼は映画の撮り方のみ
ならず、自分がどういう風に思われているか、
どういう風に振舞ったらいいのかという、自分自身に
求められるキャラクター像すら理解しているんですね。

戦争パートとは別に、離婚した妻とのよりを
戻そうとする、既に甘い時期を通り越した、大人の
渋いラブ・ストーリーも物語に彩りを添えています。
そしてまた、物事を柔軟に受け止め、「世の中の
全ては簡単に割り切れるものではない」とする
元妻のアギーという女性を対照的に描くことで、
0か1かでしか判断できず、そしてまた有事の際には
色恋を捨て即任務へとつく、時には非情にも映る
そんなトムという男の軍人気質の印象をより一層
強め、本筋の骨子をより強固なものにもしていきます。
端々に男と女の色恋沙汰を織り込みながら、本筋に
戻すためであれば有無を言わさずスッパリ切り上げる
という、ややもすると素っ気無さすら感じられる脚本の
一貫した「ブレ無さ」、そしてそこから生じる力強さと
無言の説得力にも、思わずうならされてしまいます。

端々の台詞回しや、様々な個性溢れる魅力的な
キャラクター、それに監督の得意とするゆったりと
した余裕を感じさせるカメラワーク、終盤にかけて
これでもかとエンターテイメント性を詰め込んでくる
展開から感じるサービス精神等々、どっかりと
腰を落ち着けて安心して観ることができる本作品。
でもやっぱ、一番の見所はクリント演じるトムで、
基本ツン9:デレ1、加えて終盤で巧みにツンデレを
使い分けるという萌えキャラっぷりにローリング。
そんなわけで万人にオススメできる良作でした。
っていうかこんなことならもっと早く観とけば良かった。

キシドー!OKITE!

もう一本くらいボンクラ作品観ておくかーってことで、
いい加減「ブレイブハート」と混同しておくのも
よくないので今回手に取ったのが「ドラゴンハート」。
本日はこの作品のレビューを行いたいと思います!

10世紀末のイングランド。
暴君の圧制により各地は農民の反乱によって
小競り合いを繰り返し、王はその最中命を落とす。
同時に王子であるアイノンも致命傷を負い、
見かねた王妃は洞窟に住むドラゴンへ助けを請い、
ドラゴンは「良き王となるように」との誓いを王子に
立てさせることで、自らの心臓を半分彼へ譲り、
一度は死んだ彼を蘇生させることに成功する。
しかし、誓いなど気にも留めないアイノンは
父親にも勝る暴虐ぶりを見せ、父王の時代から
側近として仕えてきたボーエンはこれをドラゴンの
呪いによるものと思い込み、城を飛び出して
憎き竜を屠らんと足取りを追うのだった…
というのがおおまかなあらすじ。

ショーン・コネリーがドラゴンの声優を担当していた
のは知っていたんですが、デニス・クエイドが
主人公である騎士・ボーエンを演じていたのは
知らなかった本作品は、騎士道を貫き続ける
硬派な男と優しきドラゴンの熱き友情を描いた
笑いあり涙ありのアクション・ファンタジー。

96年公開作品ってことで、昔過ぎず今過ぎるって
わけでもない年代に位置する作品なんですが、
同年には「インデペンデンス・デイ」や「ツイスター」が
代表作として存在するらしく、「ツイスター」で
牛飛ばして喜んでる間にこっちではドラゴンの
獅子奮迅の活躍と愛嬌のある顔を使い分ける
表情がよく描けており、特撮面でも結構派手に
ドッカンドッカン爆発シーン多用してたりして、
VFXの内容的にも予算的にも結構頑張ってる感じ。

予想以上にグリグリ動くドラゴンに加え、主人公
ボーエンが序盤「ドラゴンスレイヤー」として戦う姿
だとか、ドラゴンの秘術で蘇る命っていうファンタジー
ならではのアクションや設定は、男の子ならば
弥が上にもワクワクしないわけがないんですが、
いささか設定が先行し過ぎちゃってて、それに話が
引っ張りまわされちゃってる感がなきにしもあらず。

そもそもドラゴンが自らの心臓を差し出しました!
という壮大な振りにも関わらず、それを受け取った
バカ王子はバカ王子のままでしたー!っていう
展開は物語のとっかかりにしたらいきなり足払い
食らわせられたようなもやもやした気分になるのは
必然だし、「ワシはドラゴンを見つけたら片っ端から
殺す!」と息巻いていたボーエンはなんか話が
なし崩し的におちゃらけていくのに同調していって、
「結局お前はどうしたいんだ」と言いたくなる具合に
アンチヒーローにもなりきれず今一つキャラが弱い。

端々にエンタメ路線を意識しちゃってたり、尺稼ぎか
と言いたくなるような無駄に冗長なシーンがあったり、
そのくせ騎士と竜の友情と、暴君を民衆が倒すという
(中世という舞台に加えこの辺の設定が「ブレイブ
ハート」と混同する一つの原因ということが判明)
二つのテーマを並行させるために詰め込み過ぎ
という印象を受けたりで、全体的に構成はちぐはぐ。

そうは言っても、本作の目玉であるドラゴンの
魅力はたっぷりだし、ボーエン自身も言うほど
悪くなければ、吟遊詩人のくせに弓の名手、でも
ハゲっていうギルバートや、最終的には自分も
斧持って闘い出す武闘派ヒロイン・カーラとか
キャラはいいし、なんか色々あったけど強引に
良いお話に持っていこうとするラストの力技も
うっかり騙されそうになる程度には感動的。

やりたいことは色々あったんだろうけど、
詰め込み過ぎはよくないし調理もちゃんとしなきゃ
駄目なんだねって思わされた作品でした。
あ、「ヒックとドラゴン」は本作を更に洗練したような
内容という印象ですので、「ヒック」が好きなら
こちらも是非オススメしたい作品ではあります。

罪なき世界

西部劇や名作系からはたまには外れて、
ボンクラ映画も観ておこうということで、海外の
オタ受けした作品があるということを小耳に挟み
鑑賞したのが、本日ご紹介する「セレニティー」!

人口増加に伴い、地球を離れ宇宙へと飛び出した
人類は、やがて「同盟」の名の下に統治される。
かつての戦争で義勇兵として名を馳せたマルは、
今や独立推進派として盗賊稼業にいそしんでいた。
ある時、彼の船「セレニティー号」のクルー、医者の
サイモンたっての願いで、幼少の頃同盟に拉致され、
秘密裏に生体兵器として非合法実験を受けてきた妹・
リバーを彼らは研究所から救出することとなる。
高度なマインド・リーディングの能力を持つ彼女が、
同盟の高官との接触により、機密情報が記憶に
刷り込まれていることを危惧する同盟は、当然彼女を
亡き者にしようと「セレニティー号」をつけねらうように…
というのがおおまかなあらすじ。

なんでも、もともとは打ち切りにされてしまったTVドラマの
コアな人気を受けて製作された特別完結編という本作品。
OPの、まるで漫画のコマ割りを見ているようなスピーディー
かつ斬新な場面転換にグッと心を掴まれると同時に、宇宙が
舞台なのに突然日本刀を振り回すこくじんに吹かされ、
「ああ、これすっげーボンクラ映画だ!」とまずは一安心。

しかしまあ、ほんとにもうむせかえるぐらいコッテコテの
スペ・オペ臭とボンクラ臭に特化した作品でして。
タフさが売りだが今一つ冴えないという、ポストハン・ソロ
みたいな船長が、ブレードランナーに代表されるような
日本かぶれのポスト・モダンチックな世界観を舞台に
大暴れという内容を基本に、船長より更に今一つパッと
しない刺身のツマみたいなクルーと、ここぞという場面
以外にはクソの役にも立たない超能力少女(スタントが
売りなのであんま可愛くないしそもそも少女というほど
でもない)の存在とか、聞いただけでワクワクしません?
そうでもない?

「おめーこれがやりたかっただけだろ」という内容が
先行しているものの、TVドラマという下地がある分、
膨大な設定資料が存在していることを伺わせるのが
また卑怯で、謎多き過去を秘めた爺さん「ブック牧師」が
なんかとりあえずそれっぽいこと言ってマルに絡みつつ
勝手に死んだりしつつも、なんかよくわかんない登場の
仕方をする宇宙の荒くれ人喰い蛮族「リーヴァーズ」が
ちゃんと物語の根幹やオチに深い関わりを持っていたりと、
脚本は観客の納得が行くだけの内容に落ち着いており、
総じて抜きん出たものはないものの、キャラクターの魅力と
物語の出来がちゃんとしたバランスで成り立っています。

あとは前述した日本刀振り回すこくじんが本当に萌えキャラで、
理想に燃える冷酷な軍人なんだけど、敵を追い詰める時は
めっちゃはしゃぐしそのくせここ一番の詰めが甘いせいで
めっちゃ焦るし、あとニンジャコスチュームに身を包んで
日本刀背負ったりもするし挙句の果てには最後の最後で
オイシイ役かっさらったりもする主人公食っちまうような
活躍っぷりを見せて、結局こいつもやりたい放題かよと。

ボンクラ作品として、鑑賞前に望むもの以上のものは多分
提供してくれない内容ではあると思いますが、SFとしての
愛に溢れた内容は「ギャラクシー・クエスト」に匹敵する
ポテンシャルを秘めているんじゃないかなーと思います。
しかしまあ、SFという皮をかぶりつつももっとおぞましい
何かだったり、「おめーが死ぬのかよ!」「おめーが
生き残るのかよ!」というフラグが役に立たないっぷりに
すっごい嫌な既視感を覚えていたのですが、やっぱり
「エイリアン4」の脚本も描いた奴だったか!という
オチまでちゃんとつけてくれましたとさ、ちゃんちゃん。

銀色の乗り物

西部劇を追うという趣旨からはちょっと外れますが、
クリント・イーストウッド監督作品を語る上で
外せないという話を耳にして、今回手に取ったのが、
本日紹介する「パーフェクト・ワールド」です!

強盗殺人犯のブッチと連続殺人鬼のテリーは
刑務所を脱獄し、逃走用の車を確保するはずが、
ブッチが目を離した隙にテリーは民家へ押し入り、
成り行きで8歳になる幼い男の子・フィリップを
人質として連れ去ることになってしまう。
逃亡の最中、またしてもほんの目を離した隙に
少年へ暴行を加えようとするテリーへ、ついに
業を煮やしたブッチは、彼に銃弾を撃ち込む。
一方、知事からの信頼も厚い初老の警察署長レッドは、
この脱獄及び誘拐事件の捜査に自ら乗り出していた。
彼はブッチに対して、過去のとある事件から
自責の念に駆られていたのだ…というのがあらすじ。

ケビン・コスナー主演、クリント・イーストウッドが
監督と助演を兼任する本作品は、脱獄犯と少年の
旅路とそこから生まれる心の交流を描いたドラマです。

リーゼントとサングラスが特徴的な負け犬が
主人公で、車中やトランクを開ける際の特徴的な
ショット、それに終盤における意外な展開等、
随所に感じられる「ぼくもレザボア・ドッグスを
撮ってみたかった」という監督の思念が的を
射ているのかまるで見当外れかはわかりませんが、
そういう中でレザボアという世界観の中には
存在しなかった、有能な警察署長というキャラ・
レッドをクリント自身が演じているというのが、
どちらに転んでも面白いのもまた事実。

とは言えそんな話は所詮余談に過ぎず、
フィルム・ノワール的な導入を抜け出し、
広大な自然を前にして、監督が最も得意とする
ゆったりとした描写をふんだんに生かした、
ロードムービー・パートこそが本編にして真骨頂。

ストックホルム症候群か、はたまた少年の純粋
無垢な同情からか、犯罪者との奇妙な絆に端を
発し、最終的には年齢や生い立ち、その他の
些細な垣根を全て超越した、二人の「男」の熱い
義理と友情を涙なくして語ることはできません。

この一連の流れに一層の深みを与えているのが、
レッドという男の存在で、本作は言ってみれば「ボタンの
かけ違い」を描いた作品としても良いと思います。
レッドがよかれと思ってやったことが原因で、ブッチの
人生は狂い、そしてまたレッドは自責の念に苦しむ。
どうにかしてブッチを救ってやりたいと願うレッドと、
彼自身が過去や自分の中の悪と抗い続けるブッチ。
努力しようともがき続ける二人の男に、そうして
次の時代を紡ぐ少年たちが関わりを持った時、本作の
タイトル「パーフェクト・ワールド」が何を意味するのか、
まばゆいばかりの輝きをもって観客に教えてくれるはず。

前回レビューした「アウトロー」もそうだったように、
クリント・イーストウッド監督作品は「失われてしまった
何かを、例え元に戻らなくとも埋め合わせようともがく」
人々に焦点を当てて描いた内容が多く見受けられます。
近年の彼の作品が、神に対する贖罪めいた意識を
どんどん強めているのは、こうした過去の作品や或いは
登場人物に対する責任感からなのではとすら思えます。
自らが直接身を呈して若者を救う話「グラン・トリノ」も、
本作が過去にあったからこそ作られたかもしれない
という繋がりが、どうしても頭からぬぐえないのです。

しかしそんな素晴らしい「パーフェクト・ワールド」では
ありますが、後年にラズベリーで何度か最低男優賞を
受けてしまうことからも示す通り、主演のケビン・
コスナーの演技がいささかへっぽこなのが難点で。
子役の演技も取り立てて目を見張るものがないし…
クリント自身も、なんかよく喋る田舎者ってキャラの
せいで、本来の「ただそこにいるだけ」で鳥肌の立つ
役者の持ち味であるオーラを生かせなかったのが残念。
本作は「許されざる者」の翌年に撮られただけに尚更。
キャスト・演技面で、映画史上に残る名作へと至る一歩の
足を引っ張ってしまったかなーという気もなきにしもあらず。

アラバマのバラ

西部劇の名作を探るにあたって、今回は
クリント・イーストウッド監督・主演作品である
「アウトロー」を鑑賞しましたのでこのレビューを!

南北戦争末期、貧しい農夫のジョージーは
北軍の荒くれ部隊「赤足」に略奪の限りを
尽くされ、妻は暴行の末に殺され、息子は
焼かれた家の火の中へ消えてしまう。
復讐に燃える彼はひたすらに早撃ちの腕に
磨きをかけ、南軍の「ブラッディ・ビル」部隊と
同行し仇を探すが、そうしている間にも
北軍が勝利を収め、戦争は終結してしまう。
皆が投降していく中、ジョージーはたった一人
「無法者」として追われる者となりながらも、
執拗に「赤足」の足取りを追うのだった…
というのがおおまかなあらすじ。

1970年代中盤、既に「西部劇」というジャンルが
ほぼ絶滅していた中にあって、あえてかつての
西部劇の雄として知られたクリント・イーストウッドが
監督・主演として臨んだ意欲作・異色作が本作品。

妻と子を奪われた男が復讐に乗り出すだの、
自らも右頬に深い傷を負い、「花の慶次」の
慶さんが「キセルを二回鳴らす」が如く、彼の
不吉のサインが噛みタバコの唾を吐くことだの、
オープニングプロットやわかりやすい単純な
キャラ造形は強烈すぎるほどにマカロニ・
ウェスタンを踏襲しているのに、監督が得意とする
ところの、ゆったりとした旅情的な描写が際立つ
道中では、数々の人々との出会いと別れ、その
最中芽生えていく男同士の熱い友情、そして彼が
望む望まないに関わらず、いつの間にか増えていく
「新しい家族」の存在と、往年の・本来の「西部劇」も
連想させ、本家と亜流それぞれのいいとこ取りを
して融合させたような印象を本作からは受けます。

主人公以外にもある種のステロタイプと言える
コテコテなキャラが顔を揃えていて、反骨精神
溢れる、青っちろいヒゲがキュートな南軍の若造を
はじめとして、インチキ薬売り、若い者にはまだまだ
負けないハッスルジジィのインディアン、従順にして
働き者の女インディアン、うら若き旅の娘から、
寂れた鉱山の村の酒場にたむろする冴えない面子に
至るまで枚挙に暇がないのですが、中でも
ツンデレババァとキチガイババァ、二種類の萌え
ババァが詰め込まれているのは個人的にヒット。
しかしまあ、これに加えてチンカス移民集団との
戦いと、そこからこじれたインディアンの関係まで
盛り込んでしまうので、いくらなんでもいささか
詰め込みすぎだろこれ!という印象もまた実情。

ただ、このやり過ぎ感すら、ある程度監督自身が
意識しているのか、もしくはその上でちゃんと
制御できているのがやはりクリント・イーストウッド
ならではというところで、物語の割を食って終始
キャラがブレまくる、かつてジョージーの所属
していた部隊長のフレッチャーが、なんかとりあえず
上手い具合にオチがついたからなんとなく最後の
最後で男を上げて終わるなんていう展開も、まさに
本流・亜流を越えて存在する西部劇の「あるある」と
いうか、彼こそがある意味「西部劇」を象徴したキャラ
なんで、こうなるともう苦笑しつつ受け入れるしかない!

これは余談ですが、反逆の汚名を被せられ、
尾ひれをつけた極悪人に仕立て上げられてしまう
ジョージーというアンチヒーローの造形や、希望と
一抹の不安を両立させた渋いラスト等、本作の
描写は、かつてのレオーネドル箱三部作同様に、
結果として「許されざる者」の主人公である
ウィリアム・マニーという男に対する想像を弥が
上にも掻き立て、魅力を益々増幅させていきます。
即ち、彼がウィリアム・マニーを演ずるという行為は、
彼がある時点にさしかかった時、「西部劇」というものに
対して出す必然の「答え」だったのではと、今更ながら
往年の名作に触れるにつれわかったような気がします。

この作品自体もまた、「許されざる者」を語る前での
クリント・イーストウッドが導き出した、彼自身の
「西部劇」に対する情念とその結果の表れである
ことに、疑いの入る余地は全くないでしょう。
荒削りな作りをした、名作と言うよりは前述の通り
意欲作・異色作という趣の強い作品ですが、西部劇の
歴史を、そしてクリント・イーストウッドという男の足跡を
追う上ではなくてはならない一本に違いありません。
プロフィール

マイケル・チバ

Author:マイケル・チバ
シルバーレイン
マイケル・チバ(b30277)
薬師寺・米(b41960)
を経て、
現在はエンドブレイカー!
マーヴィン・ジェント(c06527)
にて稼動中。

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