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LOVE&HATE

カルト的人気を誇る古典の名作と言われる
「狩人の夜」が最近になってレンタル化
されたということで早速鑑賞、本日は
この作品のレビューを行いたいと思います!

銀行強盗に伴い二件の殺人を犯した
ベン・ハーパーは、盗み出した1万ドルを
息子のジョンとその妹パールへ、「決して
誰にも隠し場所を告げてはいけない」と
密かに託し、間もなく絞首刑にかけられる。
ベンの拘留中に同じ牢屋にいた男、自称
伝道師のハリー・パウエルは彼から言葉
巧みに、強奪した1万ドルと間もなく未亡人と
なる妻の話を聞きだすと、これこそは「神の
御心」と解釈し、釈放後に一家へと魔の手を
伸ばすのだった…というのがあらすじ。

大恐慌時代、家族のためによかれと思って
やった父親の至極単純な強盗事件の顛末に、
何の神の悪戯かキチガイが絡んでしまった
ばかりに何の罪もない母子が恐怖のズンドコに
陥れられてしまう様を描いた本作は、スリラーの
先駆けとも言える衝撃の内容となっております。

何と言っても一番に特筆すべきはやはり
主人公であるクレイジーサイコキラー・ハリーを
演じるロバート・ミッチャムの怪演で、普段は
IKEMEN牧師を装いつつ、裏では妄執に囚われ
まるで狐のように1万ドルを追い求めるという、
天使と悪魔の顔の使い分けにゾクゾク。

話の構成や細かい配慮も素晴らしく、ハリーの
話術へジョンの母親をはじめとして次々と篭絡
され骨抜きにされていく街の人々と、そうして
寄る辺なく徐々に追い詰められていく二人の兄妹を
丁寧に描いていき、中盤であっと驚く衝撃の展開と
共に明かされる、1万ドルの意外な「隠し場所」。
これを転機にして、スリラーから突如パノラマの
ような広大な「童話の世界」へと兄妹が飛び出して
行く大胆な構成には驚嘆させられる他ありません。

「童話の世界」を描くにあたり、演出を徹底している
点についても見逃せず、ミュージカルのように
合間合間に歌を織り交ぜ、残酷なまでに美しい
抜けるような空が刻々と移り変わる様を描くことで、
独特の世界観を構築することに成功しています。

「父や母」という概念が存在しない中、所謂
「善人」が集団となり「正義」を振りかざすことで
暴徒と化す危ういバランスの世界の中、終盤に
現れる、たった一人本当の「善」のために闘い続ける、
ツンデレのお節介ババァの存在と、彼女が導き
出してくれるハッピーエンドも本当にありがたい…。

脚本と、視聴覚的アプローチの両面において、
鮮烈すぎるほどに強烈なインパクトを1時間半という
短い上映時間で叩き込んでくれる本作品、カルトと
いう言葉で括ってしまうにはあまりに勿体ない、
もっともっと評価されるべき素晴らしい逸品でした。
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結果を追い求めた末路がこれだよ!

別にめっちゃチェックしてたわけじゃないんですが
っていうかバートンのリメイクぐらいしか観たこと
ないんですけど、たまたま他に観たいもんも
なかったんで新作DVD「猿の惑星:創世記」を鑑賞、
本日はこのレビューをしたいと思いまーす。

認知症の父を持つウィルは、猿を実験に用いた
認知症治療薬の開発に取り組み、あと一歩で
人間への臨床実験に手が届くというところで、
効果を上げていたメスのチンパンジーが突如
暴走した果てに警備員に射殺されてしまう。
プロジェクトは中止、実験に使われた猿は全て
殺処分という結果に悲嘆に暮れるウィルの元へ、
メス猿が興奮していた理由は子供を身ごもって
いたからだという事実を飼育員から密かに
告げられ、またその小猿が彼の手に託される。
「シーザー」と名づけられたその猿は、成長と
共に猿にあるまじき異様な知育の発達を見せ…
というのがおおまかなあらすじ。

「猿の惑星」の名前を冠する本作はサーガ
とも言うべき「何故知能の発達した猿が地球を
乗っ取るに至ったのか」を丁寧に描いています。

主人公・ウィルを演じるのは「127時間」でも
主演を果たし、ここ最近の活躍も目覚しい
ジェームズ・フランコなのですが、wikiによると、
なんでも当初トビー・マグワイア起用予定からの
交代劇だったそうで、スパイダーマン繋がりかよ!
なんて突っ込みをせざるを得ないのは余談。

さて置き、件のウィルが割りとどうしようもない
人間で、「理想を追い求める」という前提を盾に
ペットをちゃんと躾けられないだの開発中の
新薬を実の父親に注入するだのやりたい放題。
この勝手な振る舞いが悪い方に転ばないわけが
なくて、徐々に知恵をつけ野生に目覚めていく
シーザーが「猿の王」へと覚醒していき、
最終的にはなんかもう細かいこと放り投げて
モンスター・パニックムービーへと変貌していく
という、これでもかとエンタメ要素を放り込んだ
上で、メリハリの効いた展開と懇切丁寧な説明の
過程を両立させるという、かなりスッキリとした
コンパクトなまとまりに仕上がっていると思います。
「でも一握りの猿が知能つけたぐらいじゃ人間は
別に滅びたりしねーんじゃね?」という観客の
思惑をあらかじめ予想していたかのように、
ちゃんとしたオチをラストに持ってくる演出も良し。

ただ、まあ、なかのひとが所謂その「猿惑」フリーク
じゃないという部外者なんで、そういう奴が口を
出しちゃうのがおこがましいんですが、やっぱり
どうしても「ぼくの考えたサーガ」と言いますか、
あくまでファンに向けた二次創作的な側面が
強まってしまうのは避けられない事態であることと、
その印象を強めている要素、前述の通り主人公の
ウィルをはじめとして人間の主要な登場人物は
基本的に全員性格チンカスなんで、製作側が
あらかじめ猿に対してシンパシーを覚えているから
そういう作りになってしまったのか、或いは猿側に
観客がシンパシーを覚えているように仕向けて
いるのか、どちらにせよちょっと人間がおバカ過ぎる
というのが救いようがないというか面白くないというか。

とは言え、10年来となるシリーズ完全オリジナルの
新作という位置づけのプレッシャーの中にあって、
これだけ綺麗にまとめられたのは素直にすごいと
賞賛すべき内容なんじゃないでしょうか。
ちょっと綺麗にまとめ過ぎなんじゃないかなー
なんて思ったりするけど、じゃあってはっちゃけ
過ぎるとそれはそれでまた別の議論に発展
しちゃったりするし、そういうのはもう長年続けてきた
シリーズものの弊害として受け入れるしかないね。

サボテンの花

ジョン・フォード作品の中でも、もう一本
気になっていたのが、今回ご紹介する
「リバティ・バランスを撃った男」。

鉄道の通り道として栄えた街・シンボーンに、
かつての地元名士・ランスが突如訪れる。
スクープに胸を躍らせる新聞記者が、彼の
突然の来訪の理由を問いただすと、彼は
一言「トム・ドニファンの葬儀に来た」と告げる。
耳慣れないその人物とランスの関係を、
記者たちが更に問い詰めると、彼は閉ざしていた
過去の記憶の扉を開き、ついに重い口を開く…
というのがおおまかなあらすじ。

ジョン・フォードとジョン・ウェインがコンビを
組んで撮った西部劇はこれが最後になった
という本作品は、「タフな男」の代名詞で知られる
リー・マーヴィンが、タイトルにもある「リバティ・
バランス」というキャラクターとなり、ウェインに
比肩する体当たりの演技で、一躍スターダムに
のし上がった作品でもあります。

しかし、ジョン・ウェインを主演にクレジット、
「リバティ・バランス」の名をタイトルに冠して
いるものの、物語の中心的人物はむしろ
「素晴らしき哉、人生!」や「めまい」で知られる
「アメリカの良心」とも揶揄される名優、
ジェームズ・スチュアート演じるランス役という、
鑑賞前から既に観客の様々な思惑を外しにくる、
奇をてらった構成が話への興味を掻き立てます。

シンボーンの、そしてアメリカの英雄と呼ばれる
までに出世した男、ランスの回想によって本作は
語られていくわけですが、江戸の下町人情話の
ような、優しき人々と古き良きアメリカの営みが
生み出す、笑いあり涙ありの情景が大変心地よい。

物語に深く関わってくる三人の男が象徴する
それぞれのキャラクター性は、そのまま物語の
内容と密接な関わりをもっており、西部を力づくで
開拓した古き「男の価値観」を持つトム、その
行き過ぎた武力にしがみつき、横暴の限りを
尽くす男にリバティ(このキャラクターに「自由」の
名を冠するところも最高にセンスいいです)、
そして「法」を用いて「新しいアメリカ」のために
奮起する男のランス、それぞれが己の存在をかけ、
激しい火花を散らすことで熱いドラマが生まれます。
これに、ジョン・フォードの大好きなタイプである
気の強い女・ハリーを巡り、トムとランスが対立する
恋話も加わり、物語はより味わい深くなっていきます。

アメリカの良心を体現したジェームズや、お山の
大将が堂に入っているリーの演技に目を見張る
ものがあるのは当然のことながら、やっぱり
ズルいキャラクター付けとそれを見事に演じきった
ジョン・ウェインこそ賞賛する他になく、トムという
偏屈なくたびれたツンデレ中年にローリング。
「捜索者」で見せた「寄る辺なき一匹狼」という
スタンスを更に強め、「新しい世代に時代を託す」
という、最早地上に居場所をなくしてしまった男が
かもし出す悲哀のオーラにも涙を禁じえません。
そんな彼の演技があるからこそ、トムからランスの
双肩へと託されたある種の「義務」が、残酷なほど
重いものであることが観客にも伝わってきます。

西部劇において「移り変わる時代」というテーマを
描く場合、「古き男の価値観」は切っても切れない
関係にあると思うわけですが、三者三様の男を
描き、お互いが激突する熱いドラマという意味では、
後年のレオーネの名作「ウエスタン」を連想させます。
大勢の濃いキャラクターを巧みに捌きながらも、
同時に数多くのテーマ性をキッチリと描ききる、
巨匠ジョン・フォードの手腕に改めて脱帽。
これまた西部劇としての枠を超えて映画史に残る
名作、リーが出演していることもあり、個人的には
「捜索者」よりも気に入った作品です、オススメ。

…コマンチ族を潰す!

西部劇マイブームってことで今回ご紹介
するのは、巨匠ジョン・フォード発表作において
最高傑作の声も高い「捜索者」です!

南北戦争が終わって間もないテキサス。
兄の下を訪れた、放蕩者の弟・イーサンは彼の
家族から手厚く歓迎を受けるが、そんな折に
レンジャー隊から牛泥棒が現れた知らせを受け、
家族の拾われ子だと言う、インディアンの1/8混血児・
マーティンと共に、イーサンは犯人捜索に乗り出す。
しかしこれこそは土地を追われたインディアン、
コマンチ族の仕掛けた狡猾な罠であり、レンジャーを
おびき出され警備が手薄になった兄の家が
彼らの手によって焼かれ、家族は虐殺されてしまう。
連れ去られた、安否もわからない二人の姪のため、
そしてコマンチ族への復讐に燃えるイーサンは
足取りを追って長い旅に乗り出すのだが…
というのがおおまかなあらすじ。

インディアンに対する復讐の鬼として、命がけの
捜索者となる男を演じたのは名優ジョン・ウェイン。
後の「アンチ・ヒーロー」というキャラクター造形に
多大な影響を与えたというその演技は、これも
巨匠ハワード・ホークスの「赤い河」からインスピを
得て演じられたということもあって、「ワシは
インディアンであれば誰であろうと殺す!」と突然
興奮するキチガイっぷりが実に堂に入っています。

叔父と拾われ子という、「家族」からは一つ間の
空いた二人の男が一人の娘を長い時間をかけて
探し出すというドラマで、ロードムービーや
バディ・ムービーのような旅情的な描写を
メインに据えていくわけですが、話の転がし方と
次々に現れるキャラクターの絡ませ方がすごい!
マーティンに好意を寄せ、それを隠そうともしない
お転婆娘ローリィと、インディアンとの行商で
敷物を買ったつもりが、うっかり中年の女を
娶ってしまったマーティンという行き違いを描いた
喜劇や、マーティンと恋敵の殴り合いを経て芽生える
熱い友情のドタバタ活劇等の寄り道を交えつつ、
本筋で徐々に明らかにされていく、離れ離れに
されていた娘の、辛く悲しい残酷な現実。
右から左に、左から右に、次々と話は思わぬ
方向に転がっているのに、全く支離滅裂な印象を
受けない、一貫したブレのなさは驚嘆の一言。

台詞回しや仕草による、さりげない暗喩的表現が
作品に味わいを与えていて、兄の妻である
マーサとイーサンが密かに心で通じ合っていると
伺わせるところから、彼が異常な復讐心に至るのも
むべなるかなと思わせられるし、本職は牧師の
レンジャーズ隊長がケツを押さえ、「弾や矢に
負傷させられたわけでもない!」と、無駄に軍刀を
振り回すだけが能のボンボンをキッと睨むという
かけあいでは思わず笑わずにはいられません。

こういった描写の細かい気配りが作品の全体に
溢れているので、登場するキャラクター全員に
個性がつけられ、心の移り変わりや心情があます
ところなく観客に伝わり、そして感情移入と共に
自然に愛着が感じられるようになっていきます。
イーサンが復讐の鬼となったのと同様に、土地を
追われたインディアンが白人を恨む理由を
ちゃんと描いているのも、単純な悪のように断じた
「駅馬車」とは違うのも好印象なポイント。

そうして、最終的には家族を得る者、土地を開拓し
守る者、神に身を委ねる者がいる中、ただ一人
寄る辺無く荒野を漂う何者にもなれなかったという、
ジョン・ウェインの悲哀を語る背中が映し出され
物語はジ・エンドを迎えるという締め方もお見事。

ただ、何というか、人種差別や男尊女卑といった、
有り体に言ってしまえばいかにも「前時代の
アメリカ」的な、良い意味と悪い意味両方を
兼ねた力強さも溢れていますので、そういう
点における印象の悪さも否めないのも確か。
これが個人的には若干マイナスで、作品全部を
両手離しに賞賛はできないところでしょうか。

とは言えやはり、西部劇という枠組みを越えて、
映画史に残る名作には違いない、丁寧な作りを
しているという意味では何の曇りもありませんので、
一度は観ておいても絶対に損しないオススメです。

もう黄金はこりごりだよぉ~!

「ケーブルホーグ」や「3時10分」といった
名作西部劇に触れるにあたり、再び
マイブームがやってきましたので今回は
往年の名作「黄金」のレビューをします!

1925年のメキシコ。
ケチな乞食として生きる山師のドブスは、
詐欺師から取り返した飯場の給料と、運良く
入手した宝くじの配当を元に、飯場の同僚の
カーティン、かつて世界を渡り歩いたという
元金鉱掘りの老人・ハワードと共に、山賊の
闊歩する危険な山奥で金脈当てに挑戦する。
見事に金脈を掘り当て、一生遊んで暮らせる
ほどの金を手にする三人だったが、欲深な
ドブスは山を掘り尽くす腹づもりで、なおかつ
二人に対し異様なまでの偏執狂に陥っていく。
そうしている間に現場を脱するタイミングを
完全に失した三人へ、様々なリスクが次々と
襲い掛かってくる…というのがあらすじ。

全世界で巻き起こったゴールド・ラッシュ
ブームは鎮火したものの、それでもなおくすぶった
火の中で一山あてようと、命の危険を冒しつつ
奮起する三人の男を描いたシリアス・ドラマ。

「カサブランカ」や「3つ数えろ」といった往年の
名作において、タフを装いつつも繊細さの
臭いを隠せない男を演じてきた名優、
ハンフリー・ボガードが、悪人になりきれずに
良心を侵され、狂気に染まっていく小心者の
山師・ドブスを迫真の演技で演じきっています。

ドブス・カーティン・ハワードという三人の男の
三者三様のキャラクターと、それぞれの心が
移り変わっていく様の描き方がとても秀逸。
「黄金を得る」という一つの目的の下、固い友情で
結ばれていたはずの三人は、一度金の魅力を
前にしてしまうと、いとも簡単にお互いがお互いに
信用できなくなる疑心暗鬼に陥っていく。
共通の敵を目の前にした場合は、反目を捨て
生き延びるために協力をするが、その障害さえ
取り除かれてしまえば再び関係はあっけなく
瓦解してしまう…というメリハリのつけ方が
とんでもなく上手くて、何時何処で誰かが
殺し合いをはじめても仕方のない緊張感に
終始ドキドキ、スクリーンから目が離せない!

どんどん性格チンカスっぷりが露になっていく
ドブスに「あーこいつ早く死なないかなー」と
恐らく観客は共通の思念を抱くと共に、あまりに
あっけなく訪れる衝撃の展開と当然の末路。
取り返しのつかない事態で呆気に取られている
ところへ、しかし大自然へ立ち向かう人間の
力強さを見せ付けられることの感動と言ったら!
老人には知識と経験が、若者にはビジョンと
若さ、それぞれに「黄金」などという俗物的な
物質には変えられない素晴らしい財産があり、
それこそが至高だという教えを胸に、清々しい
想いと共にハッピーエンドを迎えます。

序盤の身体を張ったステゴロアクションシーンや
時折生じるガンファイト等、エンタテイメントと
してもちゃんと色気を出しているのも好感触。

人間としての嫌な一面をえぐり出して見せる
ものの、終盤の疾走感溢れる展開やラストの
まとめ方でとてもスッキリした気分で終われます。
なるほど、西部劇にとどまらず映画として名作の
一本として数えられる傑作です。オススメ。

…蝶を殺す!

メジャーマイナーあたりになるのかな?
結構評判の良い渋い作品ということで
今回は「バタフライエフェクト」を鑑賞
しましたので、この作品のレビューをば。

精神に障害を持つ父親と離れ離れにされ、
シングルマザーの家庭で育ったエヴァンは
7歳の頃から断続的な記憶障害に悩まされていた。
同時に彼の周囲には立て続けに不幸な事件が
起こり、ついに地元から離れることを余儀なくされる。
大学生となり、人並みの生活を営むようになった
頃には、忌まわしい過去の記憶が薄れ、数年間は
障害に悩まされることのなかった彼であったが、
7歳の時から障害克服のためにつけてきた日記を
ほんの些細なきっかけから読み直した時、彼の脳に
隠された「能力」が覚醒した…というのがあらすじ。

カオス理論に基づいた「蝶の羽ばたきが大嵐を
引き起こす」という言葉の意味をタイトルに
冠した本作品は、文字通り神のごとき力を持った
青年が世界を変えようと奔走するSFドラマ。

不幸な生い立ちと不幸な事件で散々な人生を
歩み、その不幸な事件に立ち会う度に一時的な
記憶喪失に陥るという設定の主人公とOPから、
これが一体どう「バタフライエフェクト」に繋がって
くるのかというのはネタバレなので伏せます。

んで、ここからは若干ネタバレを含むというか、
本作品のテーマに関わる話にもなってしまう
わけですが、作品の全体の質感・印象としては
98年の「ラン・ローラ・ラン」のようなリフレイン
展開や00年の「メメント」のようなフラッシュバック・
ムービーを思わせ、神のごとき力が介在して
過去の事実を捻じ曲げ、そしてまたその力故に
不幸になる人々も現れるという展開は同00年の
「オーロラの彼方へ」も連想しますし、そうして
最終的にエヴァンの取った苦渋の決断は
01年の「ドニー・ダーコ」のようでもあるし、
能力の使いすぎによって彼自身の記憶が
混濁していく過程については、この手の話で
言えば95年という飛びぬけて早く世に出てきた
「12モンキーズ」という名作の存在もあるわけで、
そういう21世紀初頭の流行があった中、04年に
発表された本作は、若干やり尽くされた・出遅れた
感のあるお話かなという気は否めませんでした。

そうは言っても、よく練られていると同時に、暗く
ねっとりとしたストーリーや、父親の「能力」を
自らも有するという主人公、割と全ての元凶である
どうしようもない近所のクソ親父とか、厨二心を
くすぐる味付けはなるほど、嫌味抜きにファンが多いと
いうのも確かに納得だし、普通に面白かったです。
他人の幸福のためにひた走っておきながらも、
結局自分自身だけが不幸を背負い込むことには
耐えられない豆腐メンタルの主人公とかも
笑えるけど嫌な共感覚えちゃうのもいい。
「風が吹けば桶屋が儲かる」かと思えばラストは
「袖振り合うも他生の縁」で締め、なんていうのは
日本人にこそ親しみやすい内容な気もします。

なんていうか、なかのひとは高校時代の青臭い
ガキだった頃に「グッド・ウィル・ハンティング」を
友人に勧められて、「映画ってすげぇ!」とズブズブ
この道にのめり込むきっかけとなったわけですが、
本作もまた、似たテーマや内容の作品が既に
数多く排出されてはいるものの、映画初心者が
手に取ったらば、この道に目覚めるには十分な
きっかけを与えてくれる、入門的なポテンシャルや
魅力を秘めた作品であり、そういう意味で多くの
ファンを抱えた佳作的な位置にあたる作品に
なるんじゃないかなーなんて勝手に思いました。

奇妙な世界やなw

「ムカデ人間一枚ください」劇場窓口で
その一言を告げる羞恥プレイに耐えられず、
地元で上映していたにも関わらずあえて
見送っていた件の作品がレンタル開始され、
鑑賞しましたので本日はこのレビューをば。

かつて高名な外科医として知られた
ジョセフ・ハイター博士は狂気に囚われ、
三体の生物の口腔と肛門を繋げることで新たな
生命体を作り出そうとしていた(できません)。
博士は三匹の犬を実験に使い(かわいそう!)、
次なる目標として人間に手を伸ばすのだった…
というのがおおまかなあらすじ。

あまりに下らなすぎる題材でちょっとした
話題になった本作品は、キチガイ博士
(クリストファー・ウォーケンとかアラン・
リックマンみたいなアイルランド系の
キチガイ顔)が「三人の人間を一本の管に
繋げたい」→「繋げた!」というだけの
本当にどうしようもない内容でして。
…分類的にはホラーになるのかな?
色んな意味でホラーではあります。

ヨーロッパ各地を旅行して回っている
美女(というほどでもない)女性二人が
森の中で迷ってしまい、キチガイ博士に
捕まって、全く何の説明も脈絡もなく連れて
こられたジャパニーズヤクザ(なんで?)と
結合させられてしまうわけですが、
上映時間90分中50分はひたすら女と
キチガイ博士が鬼ゴッコしてて、多分本作で
一番金かかったであろう手術シーンでケツに
メス入れるとこを経たら、ついにお待ちかね
(というほどでもない)ムカデ人間の登場!
ただ、ぶっちゃけるまでもなくムカデ人間
という存在自体が壮絶な出オチなので、
その瞬間に立ち会えばあとの話はもう
どうでもよくなっちゃうのも仕方のないことで。
なんか、台詞棒読みっぽい女性二人も、
撮影時にはいつも他人のケツに顔を終始
くっつけてなきゃならなかったんだから、
大変だったろうなぁなんてぼーっと考えたり。

で、その後半戦40分も、ラストのオチまで含めて
「お前これがやりたかっただけだよね?」という
シーン以外はてんで場当たり的に展開して
いくから手抜き感がすごいのなんの。
すごいうっかりさんな博士や、それと同じくらい
駄目な二人組の刑事が登場するあたりは
なんかB級っぽい映画の雰囲気が出ていて
とても安心するのですが、監督が天然なのか
狙ってやってるのかどちらなのかと言えば、
私はただの馬鹿なんじゃないかなと思います。

「博士とヤクザが面白すぎる」という点が
際立ってしまい、なんか観客としたら別に
ムカデ人間である必要は全然ないというか。
やりたかったんなら仕方ないけどさ。

評判通り、確かにびっくりするぐらい薄っぺらい
内容でびっくりするぐらい書き出すことないん
ですけど、この場当たり感とか突拍子の無さとか
支離滅裂っぷりとか、山場へ来て申し訳程度に
ドラマを盛り込もうとする浅はかさとか、もろもろ
ひっくるめてエド・ウッドに通じるものを感じました。

1時間半無駄にしたい時とかにたまに観る分には
いいかもね。いややっぱ長いよこれ。60分でいいよ。

ベーコンは足りてる

「ファニーゲーム」や「白いリボン」で知られる
ミヒャエル・ハネケの過去作もポツポツ
観ていこうと思い、今回鑑賞したのが
本日ご紹介する「ベニーズ・ビデオ」です。

共働きの両親を持つ悪ガキ・ベニーは
8mmの撮影が趣味で、父親の持つ農場で
撮影した、豚の屠殺される瞬間を特に気に入り、
繰り返し再生しては歪んだ悦に浸っていた。
ある日、彼は行き着けのレンタルビデオ屋で
度々目にする、名も知らぬ少女を自宅に
誘うことに成功すると、農場からくすねてきた
屠殺用リベットガンを見せびらかし、あろうことか
少女の腹部へ向けて射撃してしまう…
というのがおおまかなあらすじ。

メシを食いながらDVDデッキの再生ボタンを
押したわけですが、唐突に農場が映し出され、
泣き喚く豚を引く人々の姿を見た瞬間に
「あっヤベッこれハネケの映画だった!」と
後悔するも遅し、案の定間髪居れず脳天に
リベットガンを撃ち込まれ、白目を剥き痙攣する
豚と、そのシーンをわざわざ巻き戻して再生した
挙句ご丁寧にコマ送りまでしてくれるという、
のっけから最悪な気分にさせてくれる演出に
ある意味安心感すら覚える、ミヒャエル・ハネケの
銀幕デビュー第二作目という本作品。
90年代初期の当時から、現在に至るまで
全く姿勢がブレていないのはある意味すごい。

ハネケが最も得意とする、最大の、或いは唯一
とも言えるかもしれない武器が、誰も得をしない、
誰も望んでいない全く新しい娯楽の型「不快の
エンタテイメント」とでも形容できるような作風であり、
その意味においては本作はもう完成に近い
出来を見せていると言っても過言ではありません。

金持ちの両親から何でも買い与えられ、何一つ
不自由のない生活を送りながらも、そうして
一人っ子の時間を寂しく過ごすうちに人間としての
何かを教えられてこなかった、或いは欠落させて
育ってしまった少年・ベニーを主人公に据えて
いるのですが、話の転がし方や焦点の当て方が
いかにもハネケ的で興味深く、例えばスラッシャー
ムービーにおけるようなサディズム・マゾヒズムとも
違う、ベニーという少年の「わけのわからなさ」を
中心に淡々と描いていくことで、観客は得体の
知れない不安と不快感に駆られていきます。

登場人物の病理的な行動の原因については
徹底的にぼかし、「見たくないもの」を最悪な
形で繰り返して見せる悪趣味、かと思えば
「想像を絶する恐ろしいこと」が見えないところで
行われていることを伺わせる間の取り方と、
監督の得意とする数々の手腕はこの作品の
時点で既に確認することができます。

まるで空っぽな、覗けばきっと永遠に続く
真っ暗な虚無が広がっているような心を持つ、
あまりに無配慮で短絡的なベニー自身の
手によって、ある意味必然の結末を迎え、
結局何が悪かったのか、誰が悪かったのか、
観客はそれすらもわからないまま、何も
得るものもなくただひたすら茫然自失と
流れるスタッフロールを眺めてエンド。
観終えた後にどっと疲れが来るのもお約束。

一人で観るにはあまりにしんどいけど、
だからと言って他人を巻き込むにはあまりに
気まずいというカルト系に半分以上足を
突っ込んだような作風のハネケ作品ですが、
それでも一連の作品をどれもクソだと貶める
気にならず、こうして過去作品も含めチェックを
入れる気にすらさせられるのは、やはり
彼の提示する「不快のエンタテイメント」も
詰まるところは「怖いもの見たさ」のうちに
入るのだろうなということと、一見冗長に
見えて映像や展開のメリ・ハリのつけ方が
秀逸であり、グイグイ惹きこまれる作品の
作りになっていることには違いないわけです。

文字通り言葉にし難いという意味で、彼の
デビュー作「セブンス・コンチネント」は鑑賞後
レビュー記事にしなかったんですが、それに
加えて本作や、最新作「白いリボン」を踏まえると、
ハネケの名を知らしめると同時にリメイクもされる
ことになった話題作「ファニー・ゲーム」は実は
彼なりに色気を出した内容だったんだなーなんて
面白い事実も浮かび上がってくるのは余談。
あんな内容で色気。

前述の通り鑑賞した後は滅茶苦茶疲労するんで、
ハネケ作品は半年に一回ぐらいの頻度でいいや
ぐらいに思えるんですが、半年に一回ぐらいは
こういう作品も悪くないということでもありますので、
「怖いもの見たさ」に興味がある方はたまに
手に取ってみるのもいいんじゃないでしょうか。
決して両手を挙げてのオススメはしないけれども。
プロフィール

マイケル・チバ

Author:マイケル・チバ
シルバーレイン
マイケル・チバ(b30277)
薬師寺・米(b41960)
を経て、
現在はエンドブレイカー!
マーヴィン・ジェント(c06527)
にて稼動中。

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