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親切は一度やるとクセになる

「ケーブルホーグ」を借りるならもう一本
西部劇でまとめておきたいなあということで
今回借りたのが、「3時10分決断のとき」。
本日はこのレビューをしたいと思います。

南北戦争直後のアリゾナ。
戦争で片足を失い、現在は牧場を営んでいるダンは、
町の有力者ホランダーに様々な嫌がらせを受け、
借金の抵当として土地を奪われそうになっていた。
彼はホランダーと借金の話をつけに町へ赴いた際、
強盗22件・被害総額40万ドル以上という強盗団の
頭領、ベン・ウェイドが逮捕される瞬間に偶然立ち会う。
ベンを絞首刑の地へ送るための護送隊が組まれる
話になった時、ダンは借金のあてとして200ドルの
報酬を切り出し、隊に加わることになるのだが…
というのがおおまかなあらすじ。

かのタランティーノも敬愛しているという作家、
エルモア・レナードが脚本を書き、57年に映画化
された同名作のリメイクだという本作品は、
主演にラッセル・クロウ、助演にクリスチャン・ベイル、
さりげにピーター・フォンダなんかもキャスティング
されている、豪華な布陣で構成された西部劇。

元々「ザ・ファイター」同様に「チャンベが凄い」という
噂を聞いて本作を借りるに至ったわけですが、
相変わらず自分を出さずに徹底的にキャラクターを
作り込むというタイプの役者なもんで、これまた
「ザ・ファイター」同様にどのキャラがチャンベ
なのか最初よくわからなかったりするんですよ。

そんでもって、強盗団の頭領であり、理知に長けると
同時に冷酷な男、ベン・ウェイドという厨キャラと、
何もないところから何とか「誇り」を掴み取ろうとあがく、
西部開拓時代の、或いはアメリカという国の「良心」を
代表するような男、ダンという二人のコントラストこそが
本作を彩る要素なわけですが、観客からしたら
どちらにシンパシーを覚えて感情移入するかは
一目瞭然、主演のクレジットこそラッセル・クロウに
なってますが完全にチャンベが全部食ってます。

そんな具合でチャンベが凄すぎることがかえって
欠点になってしまっているということを特筆するのも
ほどほどに、西部劇としてはこの上なく確かに
丁寧な作りになっていて、名作には間違いありません。

広大でおおらか、時として過酷な土地に変貌する
西部という場所で、それぞれの面を表したような
ダンとベンという二人の男がいがみあい、幾多の
追っ手をかわしていくうちに奇妙な友情が芽生えて
いくという主軸に絡まりあう、父親としての誇り、
その父親に認められたいという息子の冒険、
そこから生まれる親子の心の交流と、西部劇としての
王道というかテンプレをキッチリおさえています。

で、じゃあテンプレだからコテコテか、単調かと
言えば全然そんなことはなくて、捕らえたベンを
護送するまでの過酷な道のりにおいて、本当
びっくりするぐらい人が死ぬわ死ぬわのオンパレード。
たまたま銃に当たり、そして当たり所が悪かった
奴から死んでいくという具合で、所謂フラグが
殆ど存在しない世界観に観客は常にハラハラ、
一瞬たりとも気の抜けない緊張感に満たされます。

そういう中、順当にフラグを積み立てて当たり前の
ようにブッ殺されちゃう子がいるんですが、
それが「リアル・スティール」でもやっぱりアレな
末路になるへっぽこカウボーイ、ケヴィン・デュランド
だってんだからまた吹かされるのは余談。
っていうかこの人結構有名作品出演歴あるのね!
「レギオン」だとガブリエルかよ!覚えてなかった。
オースティンパワーズとかスモーキンエースとか
ウルヴァリンZEROとかロビンフッドにもいたとか
これまた全然覚えとらんよ…今後は留意しとこう。

ネタを抜きにしてもキャラクターが皆これでもかと
いうぐらい立っているのも特徴で、ピーター演ずる
頑固な老兵や、ベンを狂信的なまでに崇める
強盗団のキチガイ副リーダー、専門は獣医なのに
護送隊に組まれてしまう不幸属性の医者等々、
濃い面子のやりとりは飽きさせず、だからこそ
そんな愛おしさすら感じる彼らがあまりに突然
フェードアウトしてしまう衝撃の展開の連続に、
観客の目はスクリーンへ釘付けにされること必至。

そして極め付け、クライマックスの、かのセルジオ・
レオーネをどこか連想させる壮絶なガンファイト、
そして「仁義」を思わせる二人の男の友情を描いた
ラストに、男ならば涙を流さずにはいられないはず!

「ワイルドバンチ」や「許されざる者」ときて、
実は「最後の西部劇」なんて売り込みは通用しなく
なってきてるんじゃないかと思わされる、
まごうかたなき珠玉の一本でした。オススメ。
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砂漠を愛した男

「わらの犬」や「戦争のはらわた」といった
サム・ペキンパーの名作に触れるにあたり、
もっと彼の作品をチェックしておこうということで
今回鑑賞したのが、彼自身”ベスト・フィルム”と
称していたと言われる、「砂漠の流れ者/
ケーブル・ホーグのバラード」です!

西部開拓時代末期、ケーブル・ホーグは
仲間のタガートとボーウェンに裏切られ、水と
馬を取り上げられ砂漠に放り出されてしまう。
四日間の放浪の後、最早これまでかと彼が
地に身を横たえた時、偶然湧き水を発見する。
一命を取り留めたと同時に、一攫千金の
糸口を掴んだ彼は、なけなしの金をはたいて
土地を購入し、駅馬車の中継地点
「ケーブル・スプリングス」を建設する…
というのがおおまかなあらすじ。

焼け付くような暴力描写に定評のある
サム・ペキンパーが、西部のおおらかな大地を
舞台に、コミカルなキャラクターと心温まる
タッチを交えて描いた異色のドラマが本作品。

人ごみに揉まれて生きることを嫌う、頑固で
偏屈で強がりでケチでスケベ、時には仲間から
「腰抜け」と嘲笑われることもある変わり者の
オッサン、ケーブル・ホーグを中心に、
これまたスケベなインチキ牧師や、美しい
外見とは裏腹にお転婆で生活観溢れる娼婦、
妙に太っ腹かつ肝っ玉の据わった、シャレの
わかる銀行屋、それからケチな悪党二人組と、
魅力的なキャラクターが織り成す笑いあり
涙ありのドタバタ活劇は、思わずペキンパー
作品であることを忘れるほどのエネルギーに
溢れた、一流のコメディに仕上がっています。

何はともあれ一番に注目するのはタイトルからも
表れているように「ケーブル・ホーグ」という
オッサンの萌えキャラっぷりにローリングせざるを
得ない一連のエピソードで、女性のおっぱいに
釘付けにされるオッサン(しつこいぐらいカメラが
胸の谷間にパンするのがまた腹筋に悪い)、
土地の権利を手に入れて意気揚々、しかし銀行屋
からホラ吹きだと一蹴されて融資を受けられず
捨てられた子犬のような眼をするオッサン、
お気に入りの娼婦、転じて恋人となるヒルディの
誘い受けに対し「お前にいて欲しい」の一言が
どうしても切り出せないオッサン、長年機会を
伺っていた復讐をその場のノリで「まあいいや」と
なあなあにしてしまうオッサンと、萌えポイントが
びっしり詰め込まれ枚挙に暇がありません。
そのおっさん以上にいい加減な生き方をしている
インチキ牧師や悪党も、隙あらば萌えキャラを
気取ってくる上になんだかんだで最終的には
おいしいポジションについているのがもう許せん!

そういう中で、何者でもなかった、何者にも
なれなかった一人の薄汚れた男が、例え
タナボタだとしても両手に星条旗を託される姿と、
そうして少しずつ人間的に成長していくドラマや、
積年の恨みを果たすに至るカタルシス、
産業の発達により移り変わる時代の描写と
そこから生まれる郷愁、そして突然襲い来る
あまりにも残酷な神の悪戯等々、その時代・
その土地に生きる人々と歴史的な変遷から生まれる
様々なドラマを随所に散りばめることで、感情の
触れ幅を上下に大きく揺さぶってくるのは、
やはりペキンパーならではの手法と手腕です。

”自分のベスト・フィルム”と称するには十分な、
確かに一連のサム・ペキンパー作品の中に
あっては恐らく一番の完成度の高さを伺わせる
だけのものがあると同時に、「これぞ古き良き
アメリカ!」と言える味わい深い優しい西部劇に
仕上がっている、まごうかたなき傑作です。
オススメ!

運命に抗うことはできないとするならば

クレイジーサイコリベンジャーシリーズとか
勝手に銘打って「復讐捜査線」と一緒に
レンタルしたのが、本日レビューする
「完全なる報復」でございます。

二人組みの強盗に自宅を襲われ、クライドは
最愛の妻と娘を殺された上に自らも重傷を負う。
間もなく強盗はお縄となるが、検事のニックが
主犯の司法取引に応じたため、共犯者は死刑と
なるものの主犯は禁固5年に落ち着いてしまう。
それから10年後、共犯者の男は薬物による
安楽死の刑を執行されるが、彼は突然もがき
苦しみ全身から血を滲ませた末に死亡する。
同時期、綿密に復讐の段取りをつけていた
クライドの手に落ちた主犯の男は、凄惨な
拷問を受けて文字通りバラバラにされてしまう。
かくしてクライド自身が監獄へ投げ込まれる
こととなるが、これは彼の「計画」の序章に
過ぎなかった…というのがおおまかなあらすじ。

本作品の主演を務めるのは「300」や
「ゲーマー」で知られるジェラルド・バトラー。
マイホーム・パパが強盗に襲われ全てを
奪われることで狂気に囚われ、世界を憎む
復讐の鬼へと変貌していく姿を描いていきます。

しかし当初予想していた、「復讐捜査線」や
「96時間」のようなキチガイ親父路線かと
思いきや、クライドが強盗殺人犯のみならず
裁判に関わった人間や、時には無関係な人間
まで巻き込んで、こんなんどうやってこさえたんだ
という面白ギミックを使い次々と処刑していくのは
「SAW」のスラッシュムービーを想起させます。

その衝撃的な映像と、彼の超人的な行動力を
前にしてしまうと、なんかもう細かいことなんか
全部スッ飛ばして笑けてきちゃって、本作の
メインテーマである「穴だらけの司法制度という
問題」もまたなんかどうでもよくなってきちゃって。
本作のもう一人の主人公である、検事のニックが
有罪確定率を高めるため犯罪者と取引に
甘んじたことから軋轢が生じた、というとっかかり
自体はいいんですが、いかんせんクライドが
キチガイに振る舞い過ぎたことと、そのキチガイに
対してニックが拮抗するどころか殆ど無能に
振り回され続けるので、観客としてはどちらにも
感情移入ができず、ただ傍観するしかないのも難点。

クライマックスの展開も「まあそうなるよね」って
観客の読めるベタベタなところに落ち着くんですが、
ここでもクライド大暴走、結局キチガイは最後まで
キチガイでしたというオチに終わってしまってガックリ。
クライドお前、超人並の頭脳があるんだからニックが
逆転の一手に立った時点でもうちょっと気づけよ!とか、
ようやくニックがクライドの一歩上を行ったという時点で、
二人で現行の問題に取り組む「歩み寄り」を見たかった
とか色んなモヤモヤを残すこととなってしまいました。

「殺しの芸術家」と言えるような、面白ギミックによる
復讐というとトニー・スコットの「マイ・ボディガード」、
「法と悪の対決」というと、リドリー・スコットの
「アメリカン・ギャングスター」を連想したわけで、
主演をデンゼル・ワシントンとかに据えてスコット兄弟
どっちかが撮ったらもっと面白くなるんじゃないかなー
なんてごくごく個人的な感想を抱きました。

題材としてはすごく面白いのですが、映像的な
迫力と物語としてのテーマが剥離してしまっていて、
今ひとつピントが絞れていない印象を受ける
非常に残念な惜しい作品でした。

「俺は全てを失った恐れを知らぬ男だ」

軽いノリで観れてなおかつ失敗しない
鉄板そうな映画はないかなということで
今回突き当たったのが「復讐捜査線」。
本日はこの作品のレビューを行いまーす。

初老の刑事、トム・クレイブンはMIT卒の
優秀な愛娘、エマだけが人生の支えだった。
ある日、娘の帰郷に胸を躍らせる彼だったが、
彼女は体調不良を訴え、挙句何者かに
銃弾を浴びせられこの世を去ってしまう。
警察はトムに対する過去の怨恨とその誤射
という見解から捜査に望むが、トム自身による
単独行動から、国家をも巻き込んだ陰謀が
徐々に浮き彫りとなっていく…というのがあらすじ。

ん?ん?ん?あれー?この監督って
先日レビューした「グリーンランタン」と
同じ人じゃん!なんという偶然。
そしてメル・ギブソンが主演を演じる本作は、
かつてのテレビドラマの映画リメイクなんだとか。

導入部の単純明快なプロットと、サックリとした
テンポの良さが大変心地良くて、娘を失った
刑事が徐々に復讐の鬼と化していく過程と
同時に、射殺犯は彼を狙っていたのではなく
娘が何かの陰謀に巻き込まれていたのでは…?
という実にわかりやすいお膳立てをした上で、
じゃあ実際にトムがどうキチガイに振舞って
くれるのか見てみよう!という具合に観客が
安心して構えていられるのが良心的。

この、当然本作のウリの一つには違いない
「親父のキチガイ具合」の描写も良くて、
娘の幻聴や幻視にうんうんと会話する親父、
原因究明のため全身全霊仕事に傾ける親父、
なりふりかまわない復讐の鬼と化す親父、
この進化の段階を、時には右往左往織り交ぜて
丁寧に描いていくのが大変好印象。
なんかもともと私生活の時点で問題児だと
言われ、そしてまた「マッドマックス」シリーズに
代表されるような、キチガイ役を当てはめられる
ことの多いメル・ギブソンを本作の主演に抜擢した
というのは正解だったと言えましょう。

登場人物に関して言えば、長年国家の安全に
携わり隠蔽工作に関わってきたという謎の人物、
ジェドバーグがただの暗殺者としてトムをつけ狙う
わけではなく、両者の橋渡しをすることである種の
狂言回しとなって、物語と視点変更の自然な
流れを作り出すことに貢献しているのもポイント。
こういう魅力的なキャラクターを一人配置できると
ストーリーもまたグッと引き締まるというものです。

溺愛に近い形で娘を愛する父親の復讐劇というと、
本作の製作にゴーサインが出たのもおそらくは
「96時間」のヒットが背景にあった気がするのですが、
国家をも巻き込む陰謀が、愛する者を失ったただの
一個人のなりふり構わなくなった行動の結果暴かれて
いくという展開はむしろ「ナイロビの蜂」を思わせます。
リメイク作という点も含め、特筆すべき真新しい箇所も
見当たらないのですが、リベンジムービーとしては
この上なく手堅く構築された作品だと思います。
タフというよりはキチガイ寄りな男が暴れるという、
上述した二点の作品が好きな方ならば本作もチェック!

最も光り輝く戦士

「スーパー!」と同時期にリリースされたし
正統派ヒーローも観ておこうねってことで
今回鑑賞したのが「グリーン・ランタン」。
本日はこの作品のレビューを行います!

宇宙全体を守護する惑星オアは、「正しき
意思の緑の力」を行使する「グリーン・ランタン」と
呼ばれる3600人の戦士を率いていた。
ある時、彼らの最強の敵にして宇宙の脅威、
「恐怖の黄の力」を行使するパララックスが
偶然世に放たれ、幾多の星と生命が死滅し、
そしてかつてパララックスの幽閉に成功した
グリーン・ランタン、アビン・サーが戦いの末斃れる。
アビンが脱出ポッドで不時着した先は地球。
そこで「持ち主を選ぶ」とされるグリーン・ランタンの
力の源である指輪が新たな戦士として選定したのは、
空軍の凄腕パイロット、ハル・ジョーダンだった…
というのがおおまかなあらすじ。

DCコミックスにおいてスーパーマン、バットマンと
来て次に代表的なタイツヒーローは誰か、
と言えばフラッシュやワンダーウーマン、
キャプテンマーベルに並んで出てくるであろう
キャラクターがこの「グリーン・ランタン」。
ランタンとリングが持つ「緑の力」を用いると、
その気になれば地球一つを破滅させるのも
再生させるのも自由自在という余りある強大な
パワー故に、クロスオーバーだと何かの理由で
地球にいなかったり力が使えなかったり
することも多いなんてところも含め、地位的に
マーベルの「ソー」に近いのは余談。

さて、コミック史において五~六代存在するという
「グリーン・ランタン」で本作の主人公に抜擢
されたのは、歴代最も人気とされるキャラクター
ハル・ジョーダン(実際なかのひともハルぐらい
しか名前知らなかったりするんですが)。

運動神経と身体能力は抜群ではあるものの、
地球人の不完全さ、脆弱さをまるで象徴するかの
ように心の奥底に一抹の「不安と恐怖」を抱える彼と、
「生物の根源的恐怖」が大好物で、そこにつけこんで
思うがままに人間を操るパララックスという敵の存在が
ストーリーにマッチし、ハルが恐怖に対していかに
打ち勝つかという展開は確かに魅力的に映ります。

「無限の想像力が『緑の力』の無限の創造に繋がる」
というグリーン・ランタンの最大の特徴もまた大変
魅力的なんですが…無限の想像力と創造力を持つ
キャラクターがいても予算は無限じゃなかったのね
というのが本作に抱くしょんぼりポイントで。
自由自在に刀剣や盾、銃器を瞬時に創造させ闘う
戦士たちの姿は最高にエキサイティングなんですが、
全体のボリューム不足感は否めません。

そのくせに全長2時間、ハルがランタンになるまでに
30分を要するというダラダラした尺も問題で、
ハルの恋人・キャロルとイチャイチャするシーンは
中盤に回せば良かったんじゃない?ていうかもっと
ズッパズッパブッタ切って1時間半にまとめれば
スッキリしたんじゃない?と思うことしきり。
3600人からなるグリーン・ランタン軍団がハルを
一流の戦士とするべく教育するシーンがあるの
ですが、多種多様な異星人からなる彼らの
描写をもっと深めて欲しかったなーとも思います。
クソッ!スタッフには予算だけじゃなくて
想像力も足りなかったというオチなのか!
ぶっちゃけると、ゴッサムの重圧感・閉塞感を
徹底したバットマンや、大戦中のアメリカを描いた
キャップ等、近年の実写化作品に比べると
世界観に対する工夫や試行錯誤があまりにも
足りなく、杜撰で薄っぺらい印象を受けます。

一応、続編を臭わせるネタはちゃんとバラ撒いては
いるんですけどねー…続編あんのかなこれ。
ちょっと方向性が見えてこないというか、持て余して
しまった感の溢れる残念な作品でした。

シャラップ・クライム!

新作DVDとしてレンタル開始された
「スーパー!」を鑑賞しましたので
本日はこの作品のレビューをば。

ダイナーで働く冴えない中年・フランクの人生は
不幸続きで、彼の唯一の幸福であった妻のサラ
さえもポン引きのジョックの元へ走り去ってしまう。
暗き絶望の淵に立たされた彼はある晩「天啓」を受ける。
お手製の赤いマスクと全身タイツを身にまとった彼は
自らを「クリムゾンボルト」と名乗り、犯罪撲滅を
訴え世に蔓延る犯罪者たちをモンキーレンチで
殴って回るという行動に出るのだが…というあらすじ。

リメイク作の「ドーン・オブ・ザ・デッド」脚本を
手がけたというジェームズ・ガンが監督として
臨んだ本作品は、近年の「キック・アス」同様
現代の中にあって全身タイツに身を包み
戦いに明け暮れるクライム・ファイターを
描いたストーリーとなっています。

プロットだけを聞くとそれこそ「キック・アス」の
二番煎じ的な響きがありますが、本作の
主人公・フランクがヒーローを演ずる理由に
あたっては、愛妻を取り戻したいというもっと
切実な理由を抱えており、しかし「神の啓示を
受けた」っつってヤクの売人やひったくり犯を
見つけ次第片っ端からレンチでドタマをカチ
割っていくという姿はどう見てもキチガイさん。
これにアメコミフリークのサイドキック、
「ボルティー」が加わり過激度はヒートアップ、
そもそもボルティーはただでさえキチガイの
クリムゾンボルトの三割増しぐらいの
キチガイ度合いなので、いよいよ観客は
どうしたらいいのかわからなくなって
変な笑いを浮かべながら戸惑うばかり。
これが「犯罪の相乗効果」って奴か…

そのいささかやり過ぎ感溢れる内容で
ありながらも、そうした過激で危険な綱渡りを
行ってきた過去の名作に対するオマージュが
ふんだんに散りばめられ、思わずニヤリと
させられると同時になんだか許してしまえる
ような気がしてしまうのが本作のズルい所。
イリーガルなクライム・ファイターという枠組みに
おいてはタイツヒーローを超越していて、
例えば「神の啓示で悪人を罰する」なんて
設定は「処刑人」そのものだし、女が原因で
ポン引きとその取り巻きをブッ殺して回る
なんて話は「タクシードライバー」で、これに
関しては鏡に向かって予行演習をする
フランクや、腕に隠し武器を仕込む演出に
至るまでバリバリに意識しています。
「悪に妥協しない男」こと「ウォッチメン」の
ロールシャッハさんまんまの演出も
一番盛り上がるシーンで決めてくれるし、
変な所じゃヘナヘナなタイツヒーローだの無駄に
ジーザスを絡めてくるのは「オーガズモ」の
テイストも加えてんじゃねえか!?とか
思えてくる狂気の作りこみに驚愕。

ラストのとりあえずちょっといい話にしてみました的な、
なおかつ「本当にそれでいいの!?」といういささか
突っ込みどころのある展開だとか、サラとボルティーの
ヒロインとしての掘り下げが浅く感じてちょっと浮ついて
しまってるだとか、そもそも本作に出てくるキャラクター
全員がすぐキレるキチガイしかいない仕様のせいで
誰にも深く感情移入できないだとか、目立つ粗は
出そうと思えばいくらでも出せると思うんですが。
そんなものを投げ捨てて余りあるこのやり過ぎ感が
やっぱりいいですよね、これを大切にしたい。

正統なB級ヒーローアクションとしてはこの上なく
キッチリと完成させられた作品だと思います。
上述した作品以外にも過去には「ミステリー・メン」とか
ありましたよね、そういったへっぽこヒーローが好きな人
ならば本作も観ておいて決して損はしないと思いますよ!

アーロン・ラルストン。土曜日に岩に腕を挟まれ…

ダニー・ボイルの最新作「127時間」を
レンタルしましたので本日はこの作品の
レビューをしたいと思いまーす!

孤独を愛する青年、アーロン・ラルストンは
週末をブルー・ジョン・キャニオンの荒野で
過ごすことを常としていた。
2003年4月26日、いつものように散策を
楽しみ、偶然出会った二人の女性のガイド役を
買って気をよくしていた彼は、二人と別れた後
思いがけぬアクシデントにより、一切の身動きが
取れなくなってしまい…というのがあらすじ。

古くは「トレインスポッティング」、近年においては
「スラムドッグ$ミリオネア」で知られるダニー・ボイルが、
約5日間に亘る孤独と闘い抜いた青年の実話を
元に描いた衝撃のドキュ・ドラマ風映画。

デ・パルマ風の画面分割や細かいカット割、
コマ送り等スタイリッシュなフリはしつつも
あんまり目新しいこともしていないオープニングで
「あ、いつものダニーボイルだ」とまずは安心。
実際のところ撮影や手法そのものについては
あまり観るべき点もあまりないのですが、彼の
最も得意とするところであるテンポの良い編集が
いかんなく発揮されているのもまた然り。
「127時間右腕を岩に固定されてしまった男」
という、ややもすると冗長で退屈になりかねない
題材を、あの手この手で疾走感溢れるスリリング
かつドラマチックな展開に仕上げています。

また、悲惨な状況でありながらも何故か陽気な
雰囲気を醸し出せることにも定評のあるダニーと、
主人公であるアーロン・ラルストンというキャラ、
そしてその彼を演ずる、映画「スパイダーマン」
シリーズの二代目グリーンゴブリンこと
ジェームズ・フランコの融合が素晴らしく、
絶望を前にしていながらもユーモアを交え、
希望を捨てない彼の前向きな姿勢が、鑑賞に
あたってのしんどさを軽減するのに役立っています。

とは言えそれも中盤までの話、水と食料は
尽き体力が奪われることで当たり前のように
彼は衰弱していくわけで、この「調子こいてたら
突然のアクシデント」という掴み、「いやまだ
なんとかなるし」という中盤、「こらあかんかも
しらんね」という終盤、そして衝撃のクライマックスと、
メリ・ハリのつけかたは最早老練の域に達しています。

話は変わって、大自然の脅威とスパイアクションを
融合させた傑作「アイガー・サンクション」において、
この現代にあって「荒野に置き去りにする」という
処刑方が行われたりするのですが(実際やられた
奴は死ぬ)、それが誇張でもなんでもないという
大自然のスケールが本作ではありありと描かれます。
「大自然と共に生き大自然と共に死ぬ」という
テーマにあっては「イントゥ・ザ・ワイルド」も
連想するのですが、自然を前にして生命の危機に
追いやられたのは主人公が調子こいてたから
とかじゃなくて、もっと大事な何かを欠落させて
いたからに他ならない、という共通点が
浮き彫りにされるのも興味深いことです。
その「もっと大事な何か」が何であるかは、
各作品を観て是非確認してください。

多少のこじつけに聞こえてしまうかもしれないけれど、
本作を通じて学べることに、大津波で何千・何万
という命を奪うのも、ほんの偶然の落石で
人一人の命を左右させるのも、自然にとっては
大した差異ではなく、そしてまた神にも置き換え
られる地球の意思に我々は己を委ねなければ
ならないというものがあると思います。
それは呪いだとか災いだとか大仰に畏怖しろ
という話でも、二酸化炭素排出を抑えるとか
原発廃止だとか具体的なエコの話でもなく、
単純に大自然に対して再びリスペクトを覚える、
そういうタイミングに来ているのではということです。

自然の強さ、人間の強さを通じて観客の方も
なんだか元気をもらえたような気になる本作品、
前述の「アイガー・サンクション」「イントゥ・ザ・ワイルド」
共々合わせて観るとまた趣きが深いかもしれません。
オススメ。

背中で語る哀愁

年のはじめに観るにふさわしいおめでたい
映画は何か?ということで突き当たったのが
本日レビューする「蒲田行進曲」です!

東映の新進気鋭の大スター・倉岡銀四郎は、
数少ない自分の取り巻きであるヤスに、
妊娠四ヶ月になる落ち目の女優・小夏を
自らの出世の妨げになるとして押し付ける。
小夏は銀四郎の言いなりとなって尽くしてくる
ヤスを訝っていたが、ひたむきな彼の姿に
惹かれていくと同時に、ヤス自身もまた彼女を
本心から愛していることに気づかされていく。
そんな折、銀四郎は現在撮影中の超大作
「新撰組」の現場から突如逃げ出してしまう。
自分の最大の見せ場である「階段落ち」の
シーンを会社側がどうしても承諾してくれず、また
よくて半身不随、命すら危険に晒すそのスタントを
引き受ける者など誰一人いないからだ。
生気をすっかりなくした銀四郎を見かね、ついに
ヤスがその「階段落ち」を引き受けると言い出すが…
というのがおおまかなあらすじ。

つかこうへいの劇作品を原作に、深作欣二監督で
映画化したドタバタ感動活劇が本作品。

一流を夢見るも一山いくらの端役者として
「大部屋」にすし詰めにされ、大スターからは
身重の女を無理やり押し付けられ、踏んだり
蹴ったりの人生だった男が一世一代の人生を
賭けた一大スタントに乗り出す…といういかにも
ハリウッド的なストーリーラインなのですが、
キャラクターの造形と絡みが素晴らしいの一言!

破天荒な私生活でなおかつ身の回りのことは
何一つ世話できない男といういささかステロタイプな
倉岡銀四郎というキャラがまず描かれるのですが、
どこか憎めない、しかしだからこそそんなカスに
振り回されてしまう男女がいるわけで。
設定上は落ち目の女優、しかしそのくせ私生活に
おいてはあげまんっぷりが半端ない、本作の
主人公・小夏がお腹の赤子が成長していくに
つれてどんどんチャーミングになっていく様や、
銀四郎にどんなに殴られようが蹴られようが
「銀ちゃん」と慕う取り巻きのヤスが、銀四郎の
顔を立てて上げたいという思いと、小夏に対する
本当の愛という心、その役者と家庭という二つの
立場に板ばさみにされ苦悩する姿などなど、
ままならない人生の縮図がありありと描かれ
観客もハラハラと身につまされることしきり。

はじめての出産、そしてそれを目前に控えての
「階段落ち」撮影という、二つのビッグイベントが
前提として用意されているのも本作を大いに
盛り上げている一因であると同時に、それらを
如何に調理するのか、ただのお涙頂戴の
三文スクリプトにしてしまうと一気に陳腐化する
というところを無難に着陸させたかと思いきや
そこでまさかの最後の最後で大仕掛け。
嫌味のない悪戯にこいつは一本取られた!と
膝を叩き、そしてまたこれこそが映画!
これこそがエンターテイメント!と感動の涙と
驚きで心が満たされ、幸せで一杯になります。

余談ですが、カメオ出演の真田広之や
千葉真一を「東映のアクションヒーロー」として
本人役として出演させているのが、本作に華を
添えると同時にヤスの立ち位置と対比させるのに
役立っているというすごく上手い使い方で、ただの
話題作りのためにクソみたいな使い捨てをする
昨今の邦画には見習ってもらいたいぐらい。

「仁義」シリーズで知られる(っても実はなかのひと
観たことないんですが)、バイオレンスに定評の
ある深作作品の中にあって、本作を「最高傑作」と
評する人が多いのも頷けるまごうかたなき名作。
ちょっと疲れた時、落ち込んだ時に観たい、元気が
もらえる底抜けに明るい一本です。超オススメ。

いつかミルク缶をシェアできたらいいね

昨年の最後の一本として観ようかと思ってたら
レンタル中だったので今年の最初に回した作品、
それが本日紹介する「メアリー&マックス」です!

1976年、オーストラリア。
額の茶色いシミをコンプレックスにする8歳の
女の子、メアリーは叔父から「子供はビール
グラスの底から産まれる」という話に疑問を持ち、
役所の電話帳からランダムに選び出した相手へ
質問を記した一通の手紙を送ることを思い立つ。
ニューヨークに住む神経過敏で過食症の男、
44歳になるマックスは突然の出来事に大いに
おののくが、意を決して彼女へ返信を行う。
紆余曲折を経て二人の間には友情が芽生えて
いくが、時の流れと共にメアリーは成長し、
彼女のある種の増長と欺瞞が関係に暗い影を
落としはじめる…というのがおおまかなあらすじ。

オーストラリア発のクレイアニメという本作は、
全くの偶然から知り合った、8歳の女の子と
44歳の男の友情を、時にはブラックユーモアを
交えて描いた感動のヒューマン・ドラマ。

屋根にひっかかったラグビー・ボール、
中庭に脱ぎ捨てられたローラー・スケート。
大らかな大地と古き良き時代を表した
オーストラリアのセピア色に彩られた空間と、
コンクリートと悪臭に囲まれたニューヨークの
灰色の世界という視覚的なコントラストが、観客に
印象を与えると同時に本作を象徴しています。

クレイアニメだからと言ってホンワカした
ファンタジックな内容かと言えばむしろ切実
すぎるほどにシビアな現実を描いているのも
特徴で、例えばオープニングにメアリーとマックスの
キャラクターを描写していく過程で、マックスが
カートゥーンを好む理由が「皆が論理的に動こうとして
かつお互いに仲良くしようとしているから」。
人間、歳を食ってくると、子供向けアニメの
かわいらしいキャラクターがただ仲良さそうに
キャッキャしているというなんでもないシーンで、
何故か涙がボロボロきてしまうという体験もままあって、
この作品はそういうとこをズンズン突いてくるんですよ。

8歳になるメアリー自身が純粋さに溢れていると
言っても、自分のメガネ・そばかす・シミのついた
顔を忌み嫌い、キッチンドランカーにして窃盗癖のある
母親に育てられ、クラスメイトにはいじめられ、
教師には嫌われるという身の上がこれまた切実で、
そうして成長と共に一つの峠を越えても、世間という
型に嵌まっていく過程でかつての純粋さは失われ、
有り体に言えば月並みのつまらない人間へと
落ち着いていく…という描写もキッチリねっちり
やるからまたまたつらい、たまんない。

そうした状況の中にあって、ちゃんとした
メッセージ性を作品に明確に盛り込んでいるのが
本作の救いであり名作たらしめている由縁。
それもまた「悪いことをしたらちゃんとごめんなさい
しよう」「ごめんなさいの後はちゃんと仲直りしよう」
といった、「友達を大切にしよう」という極々簡単な
ヒューマン・ビヘイヴィアーに集約されるのですが、
この醜く、複雑に捻じ曲げられてしまった社会の
中にあってそれが如何に難しいことなのかも事実。
大道廃れて仁義有りなんやな...喜劇なんやな...

キャラクターの作り込み、明確なメッセージ、
上げて落としてまた上がる構成と、脚本の練り込みは
計算され尽くしているのですが、ちゃんとやること
全部やった上でラストは変に物を語ったりせず、
観客へ委ねるようにあっさりと幕を閉じるのも優秀!

純粋さを持っていたかつての自分と、社会に
適合できずどこか浮ついてしまっている自分、
本作を通じて観客は誰もが自分の中にメアリーが
いたことを、そしてマックスがいることを覚えるはず。
鑑賞後は今一度隣人を、そうして何よりも自分自身を
愛してみようと思わされること請け合いです。

ウェス・アンダーソンやポール・トーマス・アンダーソン、
ポール・ハギスといった一連の「幸せになろうと
努力しているのにどうしてもなれないヘンテコな人々」を
描いたドラマが好きな方には是非オススメしたい本作。
完全な人間ではないなら完全ではないなりに
やれるだけのことはやってみようという、新年の
スタートを切るにはふさわしい作品だったと思います。

あけましておめでとうございます2012

なんか古代マヤ文明の予言によると
2012年に地球は滅びるそうですね。
昨年「2012」観ましたけど。
あんまりにもくだらねー内容だったんで
結局レビューしませんでしたが。

いや、まあ、その、そんな荒廃した
大地が舞台の竜退治はもう飽きたRPG
メタルマックス2Rにうっかりドハマリ
してしまったので、それにちなんだ
年賀イラストをという話でございます。

それでは皆さん、昨年度は
大変お世話になりました、
今年もよろしくお願い申しあげます。
プロフィール

マイケル・チバ

Author:マイケル・チバ
シルバーレイン
マイケル・チバ(b30277)
薬師寺・米(b41960)
を経て、
現在はエンドブレイカー!
マーヴィン・ジェント(c06527)
にて稼動中。

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