泣いているのは、誰?

数多くの群像劇的なサスペンス映画に
おいて、必ずと言っていいほど
引き合いに出される映画「羅生門」。
一度は観ておこうということでレンタルした
この名作のレビューを今回は行います!

時は平安時代、天災と飢饉で荒れ果てた京。
雨の降りしきる下、「羅生門」で雨を凌ぐのは
一人の僧と、「わからねえ、わからねえ」と
うわ言のように呟き続ける百姓。
たまたま通りがかった薄汚い下人が
百姓に何がわからないのかと問うと、
百姓は京に名を馳せる大悪党・
多襄丸(たじょうまる)と一組の夫婦の、
複雑な糸のように絡み合った刃傷沙汰に
ついて語り始めるのだった…
というのが大まかなあらすじです。

一つの事件を異なる視点、
それぞれ違う人物の口から語らせて
やがて真実に辿り着くという複雑な構成…
とは言え、今では既に使い古されて手垢で
べっとりな手法なため、現在ではそれほどまで
混乱は招きませんが、50年代の当時としては
かなり珍しい・小難しい内容だったであろうことは
想像に難しくありません。

そして多くの映画に多大な影響を与えたという
だけあって、本作で語るべき点は逆に
あまりないのですが、特筆すべきは
クライマックスとラストに至るまでに
人間の生き死に、奪うこと与えること、
食らうこと食われること、「人生」とは何かを
1時間半という短い尺の中にぎゅっと濃く
凝縮していることにあるのではないでしょうか。

人の弱みからくる浅ましさ、いじましさを
ありありと描写し、その様を見て思わず
なかのひとはボロボロ泣いてしまいました。
羅生門で泣く人ってどんくらいいるんだろう…
ちょっと涙もろくなってたりしないかしら。

とにかくここまでの名作とは思って
いなかったので正直舐めてました。
DVD観る前は記事の中で「海外だと
『羅生門』は発音の関係で『ラショモーン』
って言われてるらしいぜ」なんて
書こうかとかそんなこと考えてたんですが
正直そんなんどうでもよくなりました。
古典的名作としてオススメの一本です。

あと三船敏郎ってよく品行方正な
「SAMURAI」的なイメージを抱きがちですが
(少なくともなかのひとはそうでした)、
七人の侍の菊千代といい今回の
多襄丸といい、山賊プレイが得意な人
だったんだなあ…と見識を改めました。
しかしそれにしても殺陣が上手い
ことには変わりありません。
一歩間違えば大事故のチャンバラを
見事な立ち回りで演じています。

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