ズブ濡れボーイズ・ラブ!

コーエン兄弟作品レビューシリーズ!
と勝手に銘打ったりする今回ご紹介の作品は
ジョージ・クルーニーやジョン・タトゥーロといった
コーエン兄弟ではお馴染みの面子主演で
お送りする「オー!ブラザー」です。

1930年代のアメリカ・ミシシッピ州。
囚人のエバレットはある場所に隠した120万ドルが
あと4日でダムの底に沈んでしまうと言い、
同じ鎖で繋がれたデルマーとピートに
山分けを持ちかけ、三人で脱獄を試みる。
トロッコを漕ぐ盲目の不思議な老人をはじめ、
悪魔に魂を売ったと自称する黒人ギタリスト、
これまた盲目のスタジオオーナー、
無能な息子や部下に囲まれた州知事、
躁鬱の激しい牛嫌いの銀行強盗等々、
様々な人々と出会いながらも旅を続ける三人組。
果たして彼らは警察の追っ手を振り払い、
無事に宝を手にすることができるのか…?
というのがおおまかなあらすじです。

ギリシアの叙事詩「オデュッセイア」を下敷きに
現代劇として脚本を書き上げたとのことで、
全体的に童話・寓話的な雰囲気を湛えています。
口が達者で整髪に異様な拘りを見せるエバレット、
朴訥で心優しいデルマー、乱暴者だが実は涙脆いピートの
三人組を筆頭に、あらすじに挙げたような個性豊かにして
フリークスなキャラが次から次へと登場し、
皮肉とブラックジョークが入り乱れた展開ということで
本作品はティム・バートン、特に「ビッグ・フィッシュ」を
連想させる内容となっています。

先の読めない展開と、散りばめられた複線を
全て綺麗・丁寧に回収する見事な手腕は相変わらず
なのですが、今回はコーエン兄弟にしては
毒っ気がかなり抑えられている内容であり、
まさかコーエン兄弟の作品でボロボロ泣かされて
しまうとは思っていませんでした。
この辺も「ビッグ・フィッシュ」的。
一番泣けるシーンでいらん茶々を入れてくるのも
確かにコーエン兄弟的なのですが、ある種の照れ隠し
とも取れてこればっかりは妙にクスリとしてしまいます。

興行収益的には後の「ノーカントリー」が抜くものの
当時のコーエン兄弟の作品では最大のヒット、
サウンドトラックもかなりのセールスを上げた
というのも頷ける内容です。

ひねくれたファンならば毒が足りないという
側面もあるわけですが、それでも「ファーゴ」と
並んでコーエン兄弟入門作品、それ以前に
名作として万人にオススメできる内容です。

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