ボーリングはKATANAより強し

コーエン兄弟が「ファーゴ」の成功により、
潤沢な資金を得られたことで製作に乗り出したという
作品「ビッグ・リボウスキ」のレビューを
本日は行いたいと思いまーす。

ロサンゼルスのボロい借家に住む無職、
ジェフリー・リボウスキは自らを
「デュード(かっこいい男)」と名乗る変わり者。
ある時彼は同姓同名の別人と間違われ、
借金取りに暴行を加えられた挙句
玄関の敷物に小便をかけられてしまう。
別人に間違えられたという理由を口実に、
敷物の弁償を求めて「ビッグ・リボウスキ」の
元を訪ねるデュードではあるが、取り付く島も
なく口八丁で追い返されてしまう。
デュードも負けじと使用人に嘘をつき、勝手に
屋敷の敷物を一枚自宅に持ち帰る。
やがてデュードと様々な人物の相関や
小さなトラブルが重なり合い、物事は
思いがけない複雑な方向へ転がり出していく…
というのが大まかなあらすじです。

とにかく登場人物が多く、そして序盤から
複線を張りまくるので、物語にしがみつくのに
必死というのが第一の感想。
コメディ色の強いサスペンスなのか、はたまた
サスペンス色の強いコメディなのか判断に
困るというのが第二の感想。

キャラクターが個性的というよりえらい濃く
描かれてまして、ある種の群像劇的な
一面も持ち合わせています。
それから張った伏線をちゃんと一つずつ
丁寧に消化していくのも
見事な手腕であると同時に感心します。

また、この手のサスペンスでは「ストーリーに
合わせてキャラを作って配置する」というのが
普通だと思うのですが、本作品では
まずキャラがありきで、それらが好き勝手動いた
結果としてたまたま全ての歯車がカッチリ
合ってしまった、という印象を受けます。
そういう意味では全く先の展開が読めず、
コーエン兄弟の天才と天然っぷりを伺うことができます。

そして本作品の一番の見所は、デュードの親友にして
ある意味本作品真の主人公と言える「ウォルター」でしょう。
人死にと安息日やボーリングを並列の基準で考える
自称常識人の倫理観が欠如したキチガイで、
味方にしても全く頼りにならないが敵に回すと
これほど恐ろしい奴もいないというタイプ。
ベトナム戦争経験者という設定のキャラはそれなりに
見てきましたが、こいつが一番キレてます。
何処か憎めないっちゃ憎めないとこはあるんですが、
側においてお付き合いは絶対したくないですね!
あとまたまた出てきますスティーブ・ブシェミ。
今回はチョイ役ですがまた悲惨な役どころで…
コーエン兄弟や自分自身がキャラ分かった上で
嬉々として演じている姿を想像すると、
和むと同時になんか変な笑いが出てきます。

で、ラストの引きも相変わらず「う、うーん…
あー、ま、まあ…」というむにゃむにゃ具合で、
世間からも言われる通りどこからどう見てもカルトな一本。
コーエン兄弟好きにはたまらないけれども、
それでもある種の観点ではブン殴らずにはいられない、
そんな危ういバランスと魅力に溢れています。

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