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キャップには内緒だぞ!

マーベルの新作映画「アントマン」を鑑賞してきましたので、
本日はこの作品のレビューをしたいと思います!

大企業の不正から義憤に駆られ、得意の電気工学の
知識を用いて義賊の真似をした結果、妻には逃げられ
刑務所で五年を過ごし、今は無職のスコット・ラング。
やがて彼は元仲間の誘惑に屈し、ついには再び盗人
稼業に手を出してしまうが、偏屈な天才科学者、ハンク・
ピムはそんな彼の行動の一切を密かに監視していた。
ピム博士はシールド創設メンバーの一人であり、原子を
操作することであらゆる物体の拡大と縮小を可能に
する「ピム粒子」の発明者でもあったが、その危険性
から化学式は誰にも公開していないとラングに語る。
だが噂は人の欲を呼び込み、ピムの弟子であるクロス
博士もまた粒子の再現に取り憑かれてしまい、このまま
技術が軍事転用されれば世界は取り返しのつかない
混乱に陥るとして、クロスがピムから実権を奪った会社
「ピムテック」の研究データを破棄して欲しいというのだ。
使命の重さに尻込みするラングだったが、ピム博士が
娘を想う姿と、自分が愛娘のキャシーを想う姿を重ね
合わせ、彼はついに戦士となるべく厳しい特訓を己に
課すのだった…というのがおおまかなあらすじ。

原作であるアメコミにおける「アントマン」と言えば、
アベンジャーズ創設メンバーの一人で、しかも例の
「ウルトロン」の産みの親でもあるヘンリー”ハンク”
ピム博士の方がメジャーなのですが、マーベルシネマ
ユニバースでスポットライトが当たったのは、そんな
彼の屋敷に盗みに入ったことがきっかけで「二代目
アントマン」を名乗ることになったスコット・ラングの方。
原作のキャラクター性や関係を踏襲しつつ、設定や
展開に大幅な改変を加えることで、原作ファンでも先の
読めないワクワクするストーリーが本作では提供されます!

さて、スーパーヒーロー「アントマン」の特徴については
三つあって、一つはピム粒子を用いた「巨大化」、一つは
同じ技術を用いた「小人化」、そして残り一つはヘルメットに
仕込んだ特殊な電磁波発生装置で「あらゆるアリを従える
ことができる」というもので、雷鳴を打ち鳴らすハンマーと
共に空を飛ぶ神や、拳一つでビルを灰燼に帰す緑の巨人に
比べると、有り体に言ってしまえば「地味」さは否めません。
ところが、同じく「地味」と言われがちなキャップが「ウィンター
ソルジャー」で彼こそ実写における肉体派アクションで
最も映えるヒーローであることを証明したのと同じように、
ミクロの世界で蟻を従え、所狭しと画面を縦横無尽に
駆け回る彼こそが、近代のVFX環境をフルに扱える、最も
相応しいヒーローであるということを見せつけてくれました。

滝のように落ちる水道水や轟音を立てて埃を吸い上げる
掃除機、巨大怪獣のように暗闇から姿を現すネズミという
特訓シーンに始まり、ペンや携帯が飛び交う落下中の
鞄の中やトーマスのプラレールを舞台にしたラストバトルは、
我々の日常が少し視点を変えれば如何にスリルで溢れて
いるかを説き、そしてまた同様に日常のありとあらゆる
場所に潜む蟻を従え、それぞれの役割を使い分け一つの
軍隊のように蠢かせる様は「キモさ」と「可愛さ」を見事に
両立させており、ユーモアとアイディアの玉手箱のような
本作は、SF・スパイアドベンチャー・ヒーローアクションを
新たな切り口でもって見事に融合させたことを意味します。
軽薄とも取られかねないスコットのノリの良さも話の
テンポに貢献していて、彼のキャラや作品全体の雰囲気に
ついては、途中降板が惜しまれたエドガー・ライト監督の
名残もあってのことなのではないかとも思えたりします。

前述の通り原作をきちんと踏まえた上での噛み砕き方も
すごく上手くできていて、ピム博士の変人偏屈ぶりや
スコットの娘大好きぶりはそのままに、既に故人にされて
しまったヒーロー「ワスプ」に代わる映画オリジナルキャラ
「ホープ」がまるで原作のワスプことジャネットをそのまま
漫画から引っ張ってきたような外見になっているのと同時に、
ラストではちゃんと思わせぶりな引きを用意してくれたりと、
全ては原作愛ありきだということがきちんと汲み取れ、ファン
なら全編至る所でニヤニヤが止まらなくなること請け合い。
忘れた頃、丁度話が落ち着いた頃になって例のジジィが
きちんと登場する演出も吹くし、ほんと抜かりない。

長い間企画のまま映像化が危ぶまれていた作品とあり、
「そろそろマーベル凋落の一端になるんじゃないか」なんて
いらない杞憂を抱かせる不安な一本だったわけですが、
「全然知らないヒーローたち」で作られた超名作・GotG同様、
そんな心配は全く無用で、過去のマーベル映画と比べても
屈指の面白さを誇る、今後のヒーロー映画のみならず
SF作品にも何かしら影響を与えるであろう逸品でした。

シネマバースはこの後なし崩し的にシビルウォーへと
突入していくことが示唆され、ついに満を持して登場する
スパイディの存在にも期待がかかるところではありますが、
もしアントマン個人で続編が作られるのならば、地球や宇宙
規模の危機とは無縁な、中小企業の社長の苦労を描いた
原作スコットの名作コミック「セカンド・チャンスマン」を元に
製作されないかなあ、というのが今最も希望することです。
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アメリカのために!

新作レンタル「フォックスキャッチャー」を鑑賞
しましたので、本日はこの作品をレビューします!

シュルツ兄弟は二人揃って金メダリストとして
かつては一世を風靡した存在だったが、実力・
コーチング能力・人気全てにおいて兄のデヴィッドに
頭一つ落ちるマークの生活は底辺を極めていた。
そんなある時、彼は大富豪のジョン・デュポンが
設立したというチーム「フォックスキャッチャー」に
招致され、これこそがチャンスだとばかりに
飛びついたマークは、ジョンの期待に応えるように
メキメキと頭角を現し、再びメダルを手にする。
しかしたった一つの成功が彼に堕落をもたらし、
そしてまたデュポンの精神にはとある問題が
秘められていたこともあって、二人の歯車は
徐々に狂い始めていき…というのがあらすじ。

「事実は小説よりも奇なり」とは言ったものですが、
センセーショナルな実在の人物にスポットを当て
「カポーティ」や「マネーボール」といった佳作を世に
送り出してきたベネット・ミラーが今回描いたのは、
大富豪と兄弟が一つのレスリングチームを巡る
上での衝突と、三者三様の栄光と挫折の様でした。
その熱きスポーツドラマと冷徹なスリラー&クライム
ムービーの両面を演出するにあたり、チャニング・
テイタムとマーク・ラファロ、スティーブ・カレルの
三人がスクリーン上で激しく火花を飛ばします!

「メダルだけでは食べていけない」という悲惨な
懐事情は実は日本だけではなくアメリカも同じで、
だったら富豪が例え道楽だとしてもきちんとした
サポーターになってあげるのはいいことじゃないか、
なんて話もほどほどに、本作では「チーム」が一つに
結束することの難しさをありありと描いています。

登場人物であるマークには「葛藤」、ジョンには
「狂気」、デヴィッドには「家族愛」のテーマが
それぞれ割り当てられていて、全員が「メダルを
獲りに行く」という目的こそ一致してはいても、
その先にある利害がてんでバラバラなために、
得られたパイをどういう理屈で、そしてどういう
切り分け方をするかを各人が頭の中で計算した
結果、本来はシンプルなはずの一つの勝利が
どういうわけか複雑な様相を示していきます。

マークはコーチを兼ねている兄のデヴィッドに
手柄を独り占めされたくなく、一人でも勝てると
証明したくて躍起になり、ジョンは自らが成し得
なかったレスリング金メダリストの夢をチームの
選手に投影し、まるで自分が一人で栄誉を勝ち
取ったかのようにして世間に権威を誇示したい。
そんな自己顕示欲と名声の奪い合いが邪念と
なってメンタルの障害となり、囚人のジレンマか
はたまた強欲は袋を破ると言うべきか、二人は
あるべきポジションを見失うことでかえって勝利への
道が益々遠のいてしまうわけですが、こういうことは
程度の差こそあれ現実にあるあるすぎる問題すぎて
おつらぁい話ならば、ただ一人「妻と子に安定した
暮らしをさせてあげたい」「弟を勝たせてあげたい」
という純粋な一念の下、二人の間に立って苦労する
デヴィッドお兄ちゃんが一番の犠牲者となるのも、
皮肉が効きすぎてやるせない気持ちになります…。

基本的には「かつてこんな凄惨を極めた事件が
実在した」という伝記映画なのですが、別の視点では
「個人を色眼鏡で評価してはいけない」「能力以上の
ことはしない、必要以上のものは求めない」といった、
本来の人間としての立ち居振る舞いに関して、
改めて襟元を正すための教訓を含んだ話として
観ることもできるありがたい映画だと思うのですよ。
冷淡な事実を語りながら、一方では人間の持つ
可能性やその暖かみを提示するという意味では、
「カポーティ」や「マネーボール」に正しく続く作品に
間違いないし、監督のファンのみならずスポ根
映画好きならば是非オススメしたい逸品でした。

どっちゃの、先生?

新作レンタル「インヒアレント・ヴァイス」を鑑賞
しましたので、本日はこの作品のレビューをば!

カリフォルニアで私立探偵を営むラリーの元へ、
ある日突然かつての恋人・シャスタが現れる。
彼女は現在不動産王・ミッキーと愛人関係にあり、
そのことが原因で彼や自らの命をも危ういトラブルに
巻き込まれたためラリーへ助言を求めに来たという。
ラリーは状況を洗い出すため早速調査に乗り出すが、
それは個人が手を出すにはあまりに大きすぎる
ヤマだった…というのがおおまかなあらすじ。

既に巨匠の領域に入っていると言っても差し支えない
であろう映画監督、ポール・トーマス・アンダーソンが
前回の「ザ・マスター」に引き続きホアキン・フェニックスを
主演に据えて製作された本作は、70年代の西海岸で
ヒッピーくずれの探偵が底の見えない闇を垣間見、
そして引きずり込まれていくサスペンス・スリラー。

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド以降、人間の作り出した
あまりに深すぎる闇や業にテーマを絞り、そしてまた
ザ・マスター同様に巨大なカルト組織への興味を
表面化させたような内容の本作では、あまりに肥大化した
コミュの中でお互いがお互いに噛み合い利用することで
回転する歯車のような奇妙な共生関係が築かれており、
際限なく風呂敷が広がり続けながらも、誰かが誰かを
利用する傍ら、その誰かもまた誰かに利用されている
という性質のために、話としての全ての罪を背負って
くれるような都合のいい「真の黒幕」は存在しません。
そんなんだから、滅茶苦茶わかりにくい話なんですけどね!

タイトルの「インヒアレント・ヴァイス」とは直訳すると
「生来備えた悪」であり、そんな人間性悪説を前提として、
終盤で明かされるダブルミーニングと共に救われない
破滅の未来へ突き進むのかと思いきや、ここでまた
ザ・マスター同様に闇の中でもがく人間の一筋の光、
個人が個人を思いやることができればいつかは世界も
よりよくなるという性善説を説いたことこそが、監督の
最も描きたかったメッセージなのではないでしょうか。

麻薬絡みのコネクションや全容の見えない巨悪という
構図、作品全体から溢れる質感は「ノーカントリー」や
「悪の法則」のコーマック・マッカーシーが原作や脚本に
関わった作品を思わせ、両作品に共通する「全ては
神の意思かはたまた単なる偶然に過ぎない」という観念に
対し、「そんなわきゃあねぇよ人間だってきっと世界を
変えられるに決まってる」というアンチテーゼを示したい
のかなという雰囲気も感じられたように思えます。

まぁ~とにかく難解だしキャラの相関さえ掴むのが
一苦労なら自分が話をきちんと理解できているのか
どうかも怪しい本作ですが、ホアキン・フェニックスを
はじめとしてジョシュ・ブローリンやオーウェン・
ウィルソン、ベニシオ・デル・トロといった通好みな
面子が顔を揃えたアンサンブル作品としての趣も
あって、豪華な面子が自然な立ち振る舞いで次々と
スクリーンにスッと割り込んで来るのは素直に楽しい。

でも、まあ、その…元々難解な作品に定評のある
監督の作品で、「ゼア・ウィル~」「ザ・マスター」の
時点で結構ギリギリだったのに、今回はもうかなり
ブッチ切っちゃった感じで、ファン以外の人が観たら
「意味わかんねーなこれ!」とクソ認定されても
ちょっとしょうがない部分あるんじゃないかな!

"確実"など存在しない

新作ソフト「ドラフト・デイ」を鑑賞しましたので、
本日はこの作品のレビューをしたいと思います!

父親でもある監督を追い出し、女幹部であるアリを
妊娠させたサニーは、クリーヴランドを本拠地に置く
NFLチーム「ブラウンズ」GMであり、その破茶滅茶な
公私を反映するかのようにチームの成績は混迷を極め、
彼の評価は名実共に最低の烙印を押されていた。
そんな中、年に一度行われる、前途有望な若者を
奪い合う「ドラフト・デイ」開始までついに12時間を切る。
一発逆転を目論むサニーは、上位チームである
シーホークスのGM・トムの甘言に乗せられ、
とんでもなく相手に有利な条件と引き換えに
今年度一番の注目株であるQB・ボーの指名権を
得ることに成功するが、しかしその後の綿密な
調査によって、ボーが「事故物件」かもしれない
という疑惑も浮上しはじめる…というあらすじ。

「ゴーストバスターズ」や「エボリューション」が
代表作ながら、製作サイドとしては様々な作品に
参加し、マルチな才能を発揮するアイヴァン・ライトマンが
監督を手がけた最新作にあたる本作品は、華やかな
NFLの舞台裏にして前哨戦とも言えるドラフトに
焦点を当て、そこで繰り広げられる男たちの熱い
衝突や高度な心理戦を描いたドラマとなっています。
主演男優はケビン・コスナーで、昔ながらの頑固親父を
装いながらも内心では虚勢を張っておたつく情けない
中年というキャラは、彼以上の適任もいないでしょう。

本作はドラフトの駆け引きと家族や男女のドラマが混在し、
作品としてはそれぞれをきちんとカテゴリ分けしてテーマ毎に
キッチリ描き分けておきながらも、本来はあくまでデータに
基づき冷静に処理されるべきドラフトが、それに関わる人間の
心身のコンディションや状況で決断へ大きく影響を与える
という様まで描写されているのに大変唸らされ、こういった
頭に血が昇った人間同士のやりとりは実に勉強になります。

話の展開や作中の人物の血気にはやった行動は結構
自分にも身に覚えのあることが多くて、追い詰められた人
というのは兎角逆転ホームランを狙いがちになり、一度
思い込んだら周囲の助言など耳に入らず暴走してしまい、
深呼吸して一拍置けば誰が見ても無謀だとわかる賭けに
乗った挙句、思わぬ物件を高値掴みするハメに陥る…。
第三者視点では「うわーコイツバッカだなあ」って思っても、
当人からしたらそれが全く見えていないという、主観と
俯瞰の視点の描き分けが上手くて、観客はそれぞれの
立場に立って複雑な気分が味わえるのが良いポイント。

一方でピンチはチャンスという奴で、一旦自分の波を
取り戻すことが出来れば不良債権すら強力なカードに変わり、
何をやっても上手く行くようになるというのは現実でも
起こり得る面白い事象で、全ての歯車がかっちりと噛み合い
一つの勝利へと突き進む逆転劇には手に汗握らされます。

ドラフトが舞台ながらもスポーツの一部には変わりない
ということで話全体は実にスポ根ドラマしていて、お互いの
本音を突き合わせて議論を重ね、決断をすり合わせることの
大切さを説いていることに始まり、本当の勝利を手繰り寄せる
鍵はチームを重んじる調和、嘘を吐かない健全で愚直な精神、
そして何よりも無謀とは違う冷静かつ熱いハートなんてのもいい。

チームを編成する上で本当に大事なのは、例えば全員
四番打者を揃えるということではなく、お互いの欠点を
補い合える最適解を探すことだという話を前提に、GMや
監督が頭を捻って「ぼくのかんがえたさいきょうのチーム」を
編成していく過程も、男の子なら誰もがワクワクするはず。

というわけで、舞台が舞台なので絵面そのものは大変
地味~に展開されていくにしても、話が美しさすら感じる
くらい綺麗にキッチリ整頓されているので、驚くほど
スッキリ呑み込んでいける大変素晴らしい逸品でした。
スポーツ界の舞台裏や楽屋を描いた作品というと
最近なら「マネーボール」を連想しますが、あのノリを
楽しむことができたという人ならば本作もオススメしたい。

もっと長いと思ってた

新作ソフト「6才のボクが、大人になるまで。」を
鑑賞しましたので、本日はこの作品のレビューをば!

夫に愛想を尽かし離婚を申し出たオリヴィア。
その彼女に引き取られた息子・メイソンの成長を
6才から18才までの12年に亘り描写する…
という本作の最たる特徴は、主人公である
メイソンくん演じるエラー・コルトレーンを実際に
リアルタイムで12年追い、即ち映画製作にも
同じだけの年月をかけたところにあります。

まだ物心もおぼつかない6才の少年が、一丁前に
無精髭を伸ばし始める18才の青年へと成長する
までの過程において、実は本作のメインになり得る
要素というのは彼と同様に移り変わっていく二人の
両親の存在にあり、自立した精神と自己実現に
対する野心を持ちながら、どういうわけか本能的に
ダメ男を抱えてしまう傾向もある、息子と娘の
養育に奮闘する母・オリヴィアと、良き友人では
あっても必ずしも良き父親とは限らない放蕩な父・
メイソンパパそれぞれの姿は、恐らく子供を持つ
までに至った父または母の観客ならば自らの
ダメな面を重ね合わせた上で、「それでも子供は
立派に育つ」という結果に心を狙い撃ちされること
間違いなしだと思うのですが、残念ながら今これ
書いてる中の人はその…共感できる立場にない
というか…そういう経験が一切ないから…ね?

なので、ひがみ根性と言いますか、「こんな
素晴らしい話に共感できなくてかわいそう!」
みたいに思われるかもしれないんですけど、
リアルタイムで12年の製作日数をかけて一つの
作品を完成させたというのは偉業に間違いなく、
その上でこれだけのクオリティを保ったことも
十分な賞賛に値すると思いますが、それは
あくまで執念にも似た不断の努力への評価で
あって、この実験的なメソッドが果たして作品
全体における出来や完成度に寄与しているか
どうかというのは、また別の話だと思うのです。

少年の成長を追った作品というと「ニュー・シネマ・
パラダイス」や「アンジェラの灰」があって、それらを
前例とした場合、本作で取った手法がその手間暇に
対し十分なリターンが得られたかどうかということを
考えると、年代別で役者変えても特に困るこたねぇん
じゃねえの!?とか個人的には思ってしまって…
当然、このメソッドだからいいんだ!このメソッド
じゃなかったらダメなんだ!という意見もあるでしょうし、
それについて面と向かって反論するつもりは一切
ないんですが、でもやっぱりリアルタイムで追うなら
もっとドキュメンタリーに寄った方が良くない…?
なんかどっちつかずじゃない…?みたいに、妙に
ボソボソとお小言を呟いてしまう感想が残りました。

話としては十分面白かったんですけど、なんか、
多分、根っこのところで、俺が観客になるべき
作品ではなかったんじゃないかなという気が
してきて…すまん…俺には言葉が見つからない…

あ、それと、それぞれダメな父と母役が元から
プロのハリウッド俳優で、しかもそれがイーサン・
ホークとパトリシア・アークエットっていう、
どうしようもないくらいドハマリなキャスティング
してるのも二人の方が目立つ要因になってて、
主人公のコルトレーンくんがなんだかぼんやりした
立ち位置になってるのもちょっと可哀想だと
思いました!というのも追記しておきます。
プロフィール

マイケル・チバ

Author:マイケル・チバ
シルバーレイン
マイケル・チバ(b30277)
薬師寺・米(b41960)
を経て、
現在はエンドブレイカー!
マーヴィン・ジェント(c06527)
にて稼動中。

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