みんなは一人のために!

最近になって新作DVDが出た「三銃士/王妃の
首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」を鑑賞しましたので
本日はこの作品のレビューを行いたいと思いまーす。

時は17世紀のフランス。
父親の暗殺により王位を継ぐこととなったルイ13世で
あったがその力は弱く、彼を補佐するリシュリュー
枢機卿は実権を握ろうと策略を巡らせていた。
一方、王の命によってダ・ヴィンチの兵器設計図を
手に入れたアトス・アラミス・ポルトスの三銃士で
あったが、枢機卿と結託した仲にあるバッキンガム
伯爵が差し向けた女スパイ・ミレディに設計図を奪われ、
それが原因となって三銃士の任を解かれてしまう。
希望も未来も絶たれ、半ば自棄になっていたそんな
三人の元へ、銃士を志しているという生意気な青年・
ダルタニアンが現れ…というのがおおまかなあらすじ。

「バイオハザード」シリーズや「AVP」で知られる
ポール・W・S・アンダーソンが今回手がけた作品は、
お馴染みの小説「三銃士」に大幅な脚色、というより
レイプに近い改変を加えたファンタジーアクション巨編。

邦題にもその名を関している通り、本作の目玉の
シーンというか呼び水は「ダ・ヴィンチ設計の飛行船に
よる空の戦い」だと思うわけですが、ぶっちゃけ
客寄せパンダ的な色気の使い方で、作品を通して
見ると「別に飛行船出す必要はなくね?」となって
しまうのが残念ポイントで、飛行船としての設定が
特に何か生きてくるわけでもなければアクションも
とりたてて面白いものがあるわけでもないという。
多勢に無勢で剣を携えて切り込むというオールド
スクールなシチュにおける殺陣は普通に手に汗
握る面白さがあったんで、変にハッタリ効かせるより
質実剛健に手堅くいけば良かったんじゃないかと
いう残念な思いが益々強まってしまいました。

あと監督はミラ・ジョボヴィッチが好きすぎて、
ヒロイン役のミレディばっかりスポットをあてることに
必死なんでダルタニアンと三銃士が霞みすぎ。
そりゃまー、アクションもこなせる女優だから
絵にしやすいってのはあるかもしれないけど、
既に齢40を控えたアラフォーをこれだけブン回す
のはちょっと無理があるんじゃないかな…と思って
wiki見たら監督とジョボって結婚してたのね。
こりゃアカンわオナニーすぎる。

三銃士に相対する敵として用意されたのが
オーランド・ブルームやクリストフ・ヴァルツと、
それなりに見栄えのする面子を引っ張ってきた
感じですがはっきり言ってキャストの無駄遣い。
「イングロ」で注目を浴びたクリストフですが、
「グリーンホーネット」といい今一つ娯楽作品で
良いタイトルに恵まれない印象があって可愛そう。
そういったキャラの薄さやキャストの生かしきれて
いない中にあって、一番感情移入できる・印象に
残るキャラは、どちらかというと端役に近い、
徐々に国王としての自覚を芽生えさせていく
ルイ13世っていうのも正直どうなんだろう。

監督は元々「バイオハザード」や「AVP」の頃から
人気タイトルを下敷きにした上で「自分のやりたい
ことを好き勝手にやらかす」ことに定評がありましたが、
今回に至ってはその悪い癖がただひたすら駄目な
方向、駄目な方向にばっかり働いちゃった上に、
あから様に「続編への引き」を意識しているもんだから
はっちゃけ具合も低く、何もかもが中途半端な印象。
なんかね、興業的にも失敗したっぽいしね、いいよ。
こんなもん続編作らずそのままなかったことにしてくれ。

心に咲く花

最近レビューした「スリーデイズ」を受けて…
というわけでもないのですが、クリント・
イーストウッド主演作を追う上で今回手に
取ったのが「アルカトラズからの脱出」。
本日はこの作品のレビューをしたいと思います!

数々の刑務所を脱獄した男、フランク・モーリスが
行き着いた先は難攻不落の要塞アルカトラズだった。
彼は施設の経年劣化によるコンクリートと鉄筋の
腐食に目をつけ、数人の仲間と共に入念な脱獄の
計画を練るのだった…というのがおおまかなあらすじ。

「ダーティーハリー」をはじめとして、数多くの作品で
クリント・イーストウッドとタッグを組んできたドン・
シーゲルが、アルカトラズの脱獄に挑んだ男たちの
実話を元にして製作に臨んだ本作品。

実話の脱獄もの、というと「パピヨン」を連想し、
かの名作に比べるとドラマ性は若干薄れ淡白な
印象は否めませんが、ひたすらに脱獄までの
手順を追っていくソリッドでタフな質感はドン・
シーゲルならではと受け取ることもできます。

その脱獄劇に色を添えているのが数々の個性的な
刑務所の面子で、フランクのアルカトラズにおける最初の
友人、どこか憎めない禿げ頭の中年「リトマス」をはじめ、
図書管理員の黒人「イングリッシュ」、物静かな絵描き
「ドク」等との友情が育まれていく過程を描くことで、
フランクが脱獄することが単なる意地ではなく大きな意味を
持ちはじめ、熱いドラマが展開されていくのも見逃せません。

その、ぶっちゃけてしまうと、脱獄って時点で基本的には
駄目な方向にばっかり頭の回ってしまう犯罪者たちと
看守とのいたちごっこが描かれるわけなんですが、
善悪は置いておいてプロ根性のすごい脱獄者や、
彼らを所謂「手負いの虎」に仕立てあげてしまう
管理者側のあまりに感情的でお粗末な囚人の扱い等、
見るべきポイントや見ごたえはかなりあります。

なんというかどこまで行っても「あー、ドン・シーゲル
作品してんなあ!」という感じだし、フランクのキャラも
クリント・イーストウッドだからこそ許される強キャラっぷり
というところがありますが、だからこその安心、安定で
サクッと観ることができる一本に仕上がってます。

ゴーストにだって心はあるんだーッ!

ライダーじゃないよ「ライター」だよ。
映画「ゴーストライター」が最近になってようやく
ソフト化されたということで、早速鑑賞しました!
本日はこのレビューを行いたいと思いまーす。

とあるゴーストライターが、代理人の強引な推薦と
取り付けによって、元英国首相アダム・ラング氏の
自叙伝を執筆させられることとなる。
数々のスキャンダルにまみれ、苦しい立場に置かれた
元首相は最早自叙伝どころの騒ぎではなかったが、
それでも彼は仕事を進めるうちに、草稿や数少ない
資料から、元首相の不審な過去に気づきはじめる…
というのがおおまかなあらすじ。

「チャイナタウン」「戦場のピアニスト」で知られる
ロマン・ポランスキー監督が今回送り出した作品は、
名もなき一介のゴーストライターが運悪く政界の
陰謀に巻き込まれてしまう様を描いた、いささか
ブラック・ジョークの側面も強いポリティカル・
サスペンススリラーと言える内容になっています。

本当に作中に名前の出てこない「ゴースト」を
演じるのはユアン・マクレガーで、巻き込まれ型の
主人公としてはこの上なくハマリ役と言えましょう。
これに対して元英国首相を演じたのは、これまた
「007」のボンド役でも知られるピアース・ブロスナン。

このある意味安易とも言える、あまりにコッテコテな
キャストの取り付け方に加えて、スキャンダラスな
政界の裏側を大袈裟に描いた様は、あまりにハッタリが
効きすぎていて、そしてそのハッタリも一周回ると
かえって奇妙なリアリティが生まれ、「あれ?これって
もしかして実話?」と錯覚してくるのだから不思議
というか、ポランスキー監督の腕ならではと言うべきか。

「チャイナタウン」で見せた、監督の持つ「無常観」と
「滲み出る世界の悪意」が今回は大きく増幅されており、
物語の登場人物はそれぞれ何かに抗っていながらも、
それが何の意味も持たないことも理解していて、そうして
あっけなくバタバタと斃れて行く様が淡々と描かれます。
このねじまげることのできない「運命の歯車」とでも
形容できましょうか、完成されきった「システム」と
いうものが、善悪を超えてある種の芸術的な輝きすら
放ち、思わず感涙すら覚える美しさを有しています。

「ハッタリ」に関して話を戻しますが、雰囲気を保つために
意識して話を地味に地味に動かしているという印象を
抱きつつも、光の加減やカメラの角度に至るまで細部に
拘った数々のショットが観客の心を退屈させず、本作を
「名作」と思わせる、その地位に押し上げる働きをしています。

ポランスキーならでは、ポランスキーだからできる、
ポランスキーだから許されるといった、悪意にまみれた
作品に仕上がっているわけですが、それだけに今回の
完成度は非常に高く、個人的には「チャイナタウン」や
「戦場のピアニスト」を超えた傑作のように思えます。
ポランスキー作品のファンや、コーエン兄弟のような
意地悪なスリラーが好きな人には是非オススメしたい。

クルミあげる

新作DVD「インモータルズ」をレンタルしましたので
本日はこの作品のレビューをしたいと思います!

神々を憎み、人間を支配しようと目論む蛮族の王・
ハイペリオンは、かつて神々の戦争が行われた際、
地底深くに幽閉されたタイタン族を解放するべく、
大軍を率いて神器「エピロスの弓」を探し求めていた。
その魔の手は、農民としてつつましく暮らすテセウスの
島にも及びはじめ…というのがおおまかなあらすじ。

CMやPV畑出身、「ザ・セル」で衝撃的なデビューを
飾ったターセム・シン監督の最新作にあたる本作は、
神とその神器を巡る神々や人間の戦いを描いた、
スタイリッシュアクションムービーとなっています。

本作の基本的な人名(神名?)やキャラクターは
ギリシア神話にちなみ、テセウスの名を冠する
主人公が登場しますが、ことストーリーに関しては
神話になぞらえたような彼の武勇や賢者の王の
エピソードからは大きく外れた、むしろオリジナルと
言っていいぐらいの大幅な改編がされているのが特徴。
「ハイペリオン」も蛮族の王という設定でテセウスの前に
強大な敵として立ちはだかるし、あれ?そもそもこの人って
神様じゃなかったっけ?という感じで軽く混乱をきたすので、
あまり元ネタには深く拘らない方がいいと思います。

しかし本作の真髄は「ギリシア神話の皮を被って
好き放題しました」というところにあるんで、ぶっちゃけ
ストーリーなんか途中で本当にどうでも良くなってきます。
ターセム・シン監督の映像は、まず最初に「撮りたい画」が
あって、そこに「理由」を後付けするという印象を覚えるという、
いかにもPV畑の監督ならではな感触がありますが、そんな
彼が神々が跋扈する超常的かつ神秘的な世界観を得た
時点で、一つの勝利を手にしたと言っても良いでしょう。

「300」のスタッフが集結したというのが本作の一つの
売り文句になっているそうですが、実際のところ人間
同士のスタイリッシュアクションはザック・スナイダーの
ソリッドな質感に遠く及ばないところは否めません。
しかし、人間の枠を超えた神が好き勝手に暴れまわる
シーンになると、ホームグラウンドとばかりに俄然輝きを
放ち、天然なのか狙ってんのかわかんない(多分監督は
天然)数々の残虐ファイトには爆笑させられること間違いなし。

「ザ・セル」から全くブレていないのは独特な世界観と
映像美にとどまらず、なかのひとがこの監督を好きな
理由にして困ったところでもあるのが「この人ろくな性癖
持ってないんだろうなあ」っていうリョナ気質があることで。
やっぱり隙を見ては「ただこういうことしたかっただけだろ」
とばかりに、あれこれ理由つけて拷問される人たち可哀想!

本作のキーパーソンであるゼウスがまたろくでもない
キャラクター造形してるのもポイントで、ラテン系の
冴えないチョビ髭のおっさんってだけで十分面白すぎるのに
そんなおっさんが粘着質でテセウス好き過ぎるからズルい。
あと突然興奮する。
ハイペリオン役のミッキー・ローク(鑑賞後にwiki見て
ロークだって知った)も、残虐な性質を存分に見せ付ける
堂に入った演技をしながら、要所要所で萌えキャラっぷりを
発揮するという大変魅力的なキャラに仕上がっています。
そういう中で、質実剛健な勇者テセウスが没個性で
埋もれてあんま印象に残らないのは仕方ないね。

ろくでもないというか、良い意味で「ものすごい駄目な
映画を観てしまった」という本作品、息抜きしながらも
同時にぐったりもするというこの感覚は「ヴァン・
ヘルシング」に通じるものもあるので、ダメダメで
へっぽこな作品が好きな人は是非どうぞ。

三日後百倍

前回レビューした「告発のとき」を観た勢いで、
そのままポール・ハギス監督最新作にあたる
「スリーデイズ」を鑑賞しましたので、本日は
この作品のレビューを行いたいと思いまーす!

ジョンは妻と子と共に仲睦まじく暮らしていたが、
ある日突然、妻のララは仕事先の上司を殺害した
容疑で20年の禁固刑を言い渡されてしまう。
弁護士もさじを投げる中、ただ一人妻の無実を
信じるジョンは、3年間綿密に練り上げた周到な
計画で妻を脱獄させる行為に打って出るのだが…
というのが大まかなあらすじ。

「告発のとき」同様に、ポール・ハギスが監督・
脚本・製作と作品全面に関わった本作品は、
殺人を犯した罪で監獄に入れられている妻を
死にもの狂いで脱獄させようともがく男を
描いた物語であり、主演にはラッセル・クロウ。
ちなみにフランス映画のリメイクだそうで。

ポール・ハギスが脚本家として「007」の執筆に
携わってから次に当たるのが本作品で、それを
受けてか内容も若干エンターテイメントとして
色気を使っているような印象を受けます。

ただ、まー、率直に言ってしまうと、破天荒な
ストーリーや展開と激しいアクションシーンに、
ハギスの持つ繊細で詩的な脚本と画面作りは
全く相容れる要素がなく、キャスティングにも
失敗しちゃった感がありありと見て取れます。

元々ラッセル・クロウという役者は豪放磊落・
傲岸不遜な一匹狼の俺様タイプが似合うので、
女にだらしのないという態度は大変様になって
いるのですが、マイホームパパの一面を描くに
あたっては若干の役者不足感が否めません。
これが例えば「ヒストリー・オブ・バイオレンス」の
ヴィゴ・モーテンセンや、「完全なる報復」の
ジェラルド・バトラーと言った、キチガイ親父として
実績のあるキャストを嵌め込んでいたら作品の
仕上がりと手触りは全く変わっていたんじゃないかと。
妻のララを演じるエリザベス・バンクスも、話が
どう転んでも良いように無難に配置されたという
印象を受け、不幸属性持ちのケイト・ウィンスレット
とか、いっそのことグウィネス・パルトロワあたりを
思い切って投げちゃった方が面白かったんじゃ。

ハギスの脚本ということもあって、キャラクターの
作り込みやさりげない描写は大変丁寧で、チョイ役で
出てくる警官や医者、或いは裏社会の住人といった
「その道のプロ」が持つそれぞれの腕前や拘りには
美しいオーラが光って見え、思わず溜息が漏れます。
ただね、脚本が美しすぎるってのもこういう破天荒な
お話にはかえって問題で、ディティールに拘りすぎた
弊害で、ジョンが妻の無実を信じるというよりも有罪が
信じられない自分本位な、繊細なキチガイにしか
見えなくて感情移入できず、終始イライラさせられます。

そういう中で、アメリカン・ニューシネマ的な絶望しか
見えない未来に突き進んでいくのかと思いきや、
あれ?なんだか風向きが変わってきたぞ?と思って
いるうちにちゃんとした落としどころを用意されて、
結局悪い意味で期待を裏切られ続けてしまうというか。
なんか、キチガイはキチガイなんだから、それなりに
代償は払うべきなんじゃね!?と思わされるオチに
モヤモヤしながらブツ切り気味にフェードアウト。

焼け付くようなバイオレンス描写やマッシブなアクション、
そして燃えるような愛というと「トゥルー・ロマンス」の
トニー・スコットを連想するわけで、彼が監督として
作品を手がけていたらもっと面白くなったような。

シャマランの「エアベンダー」ほどじゃあないんですが、
欲を出して手を広げても仕方ないというか、餅は餅屋と
言うべきか、とにかくちぐはぐな、ポール・ハギスの
映画にあって珍しく駄目な内容の作品でした。
プロフィール

マイケル・チバ

Author:マイケル・チバ
シルバーレイン
マイケル・チバ(b30277)
薬師寺・米(b41960)
を経て、
現在はエンドブレイカー!
マーヴィン・ジェント(c06527)
にて稼動中。

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